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川口大臣の韓国訪問(概要)
平成16年5月
川口大臣は、5月29日(土)~30日(日)の日程で韓国を訪問し、潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官との間で日韓外相会談を行い、また、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を表敬したところ、概要以下の通り。
I.日韓外相会談
1.日韓関係
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潘長官から、(a)両国の議員交流活性化のための支援、(b)官民合同の政策対話の場の立ち上げ、(c)両国首脳の交流活性化、(d)来年の「日韓友情年2005」に向け、両国政府で努力して準備を進めていくことを提案。(川口大臣より同意。)
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| (2) |
川口大臣から、質の高い、互恵的な日韓FTAを妥結したい旨発言。併せて、ITER(国際熱核融合実験炉)につき韓国の引き続いての支持を要請したのに対し、潘長官から、引き続き日本を支持していく旨発言。
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| (3) |
川口大臣から、領土問題のように互いの立場がある問題はあるが、このような問題が、日韓間で未来志向的な関係を強化するための事業の妨げとならないよう、また国民感情が抑制されたものになっていくよう、引き続き緊密に協力したい旨発言。
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2..北朝鮮情勢(小泉総理訪朝)
| (1) |
川口大臣より、以下に言及しつつ、小泉総理の訪朝結果につき報告。
| (イ) |
日朝双方が日朝平壌宣言を誠実に履行していくこと及び関係正常化に向け努力していくことを再確認。朝鮮半島の安定は、両国だけではなく、地域全体、世界の平和と安定に結びつくものであり、今回の訪朝は意味ある一歩。
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| (ロ) |
拉致問題:一定の前進があったことは、韓国および国際社会の支援によるものであり、韓国のこれまでの支援に感謝。
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| (ハ) |
核問題:核廃棄へ向けた具体的な進展は未だみられないものの、北朝鮮による六者会合への参加の姿勢が示されている。朝鮮半島の非核化が最終目的であり、六者会合を活用した平和的解決を志向している、また、凍結は非核化の第一歩であり、当然検証を伴う旨の金正日国防委員長の発言をふまえ、六者協議の進展につなげていきたい。その過程で、日米韓三カ国の連携を一層強化して取り組んでいきたい。
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| (2) |
潘長官より以下に言及しつつ、最近の南北将官級会議等の結果を説明。
| (イ) |
小泉総理訪朝は、日朝平壌宣言を再確認し、日朝関係の改善に向けた契機となったと評価。拉致問題の進展を歓迎。この進展は正常化交渉の再開に向けた転機であり、六者会合プロセスにも前向きの意味があると考える。
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| (ロ) |
金正日委員長が、六者会合の有効性、朝鮮半島の非核化、検証を通じた核開発凍結の意思、ミサイル発射のモラトリアムを約束したことは意味ある成果。
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3.イラク情勢
情勢全般は厳しくなっているものの、6月30日の統治権限移譲、新たな国連決議に向けて、諸国が協力していくことの必要性で一致。
4.日中韓協力
北東アジアにおける協力を一層進めていくとの観点から、6月22日に青島で予定されているアジア協力対話(ACD)外相会合を実り多いものにしていくことで一致。
5.米国との同盟関係
日韓両国及び北東アジアの安全保障にとって米国との同盟関係が重要であり、世界的な米軍の軍事態勢の見直し(Global Posture Review)は、この地域、更には国際社会の平和と安定に資するものである必要があることで一致。
6.国連改革
イラク情勢等も踏まえて、国連が国際社会のニーズに応え、効率化のために改革していくことの重要性につき意見が一致。
II.盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領
1.冒頭発言
| (1) |
川口大臣より、4月の総選挙における与党ウリ党の勝利、盧武鉉大統領の職務復帰に祝意を表しつつ、訪朝の結果も踏まえ、引き続き盧大統領と協力していきたい旨の小泉総理のメッセージを伝達。
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| (2) |
盧大統領より、今次総理訪朝は素晴らしい御決断である、日本の取り組みは、六者会合の進展にも大きな貢献となり、北東アジアの平和と繁栄の基盤作りにつながると考える、今次訪朝により対話の道を開いた小泉総理の御決断に対しては、格別の敬意を表したい旨発言。
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2.日韓関係
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川口大臣より、「日韓友情年2005」の成功へ向けて盛り上げていきたい、日韓FTAの妥結に向けて盧大統領のお力添えを得たい、ITERについて協力の強化を期待する旨発言。
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| (2) |
盧大統領より、友情年、FTA、ITERについて積極的に協力していきたい、これらを通じ、北東アジアの平和と安定がより高まって行くことを期待する、そのために相互信頼を損なわないよう努力をしていきたい旨発言。
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3.北朝鮮情勢(小泉総理訪朝)
川口大臣より、外相会談の際と同様に小泉総理訪朝につき説明したのに対し、盧大統領より以下のとおり発言。
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拉致問題につき、更に良い成果を期待。日朝関係の進展のため努力するよう北朝鮮に伝えたい。
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| (2) |
小泉総理訪朝に際し、北朝鮮の核問題、ミサイル問題につき前向きな発言を引き出したことを肯定的に考えている。北朝鮮が、最近、開放に向けた変化を示す中で、小泉総理が訪朝したことはより肯定的な意味がある。
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| (3) |
日米韓の連携は引き続き重要。今後とも協力を継続したい。
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