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川口外務大臣


川口外務大臣のイスラエル・パレスチナ訪問
(概要と成果)

平成14年6月10日

 川口外務大臣は6月8日から9日にかけてイスラエル・パレスチナを訪問し、以下の要人と会談、主に中東和平につき議論した。

1.主な会談相手

(1)パレスチナ

アラファト議長(8日夕、於ラマッラ)
シャアス計画・国際協力庁長官(8日午後、於ラマッラ)
アブ・アラ立法評議会議長(8日午後、於アブ・ディス(東エルサレム近郊))


(2)イスラエル

シャロン首相(8日深夜、於ベン・グリオン空港(訪米出発前の同首相との会談が実現したもの))
ペレス副首相兼外務大臣(9日午後、於テルアビブのダン・ホテル)
ベン・エリエゼル国防相(9日午前、於テルアビブの国防省)


2.会談内容

(1)我が方からの主なメッセージ

 (イ)対パレスチナ:

イスラエル・パレスチナ双方の暴力を停止すべき。パレスチナも国際社会に対して行動を示すべきである。国際社会としてパレスチナを支援しようにも、平和が存在しなければ支援できない。
PA改革が進行中であることを評価。日本はPA改革を支援する用意があるとして、研修の実施や、技術協力に対する具体的ニーズを探るためのミッション派遣の意図につき表明。
政治プロセスの再開・加速化、経済・人道支援、治安回復、の3つを同時に進めることが重要。
(和平プロセスの進展と日本の援助メニューの関係を示した対パレスチナ支援のロードマップを提示しつつ、)日本による支援の過程を円滑にするためにも、日本の政治プロセスへの参画が重要。
有馬中東和平問題担当特使を紹介。


 (ロ)対イスラエル:

(自爆テロの犠牲者に弔意を述べるとともに、)暴力の悪循環を断ち切るべき。アラファト議長に対してテロを止めるよう要請、イスラエル側にも暴力停止を求めたい。
信頼醸成のため、少人数のグループからなる対話の場を設けることを検討中。
事態打開に向け国際会議が早期に開催されるべき、また、日本はこうした会議に出席すべき。
PA改革支援への日本の考えや、パレスチナ支援ロードマップにつき説明。PA改革ができる雰囲気醸成に協力すべき。
有馬中東和平問題担当特使を紹介。


(2)双方の反応

 (イ)イスラエル

<シャロン首相>
暴力の悪循環ではなく、イスラエルはテロに対する自衛権を行使しているだけである。
日本は主要なドナーであり、国際会議に加わるべき。
日本のパレスチナ支援は重要だが、アラファト議長に対してはキャッシュを渡すような支援は避けるべき。


<ペレス外相>
日本のパレスチナに対する如何なる支援も評価。良き隣人の方が銃よりも良い。
今は、平和の計画がないのではなく、パートナーがいないのが問題である。アラファト議長のイスラエルにおける信用はゼロである。アラファト議長がパレスチナの悲劇である。
我々はテロと戦わざるを得ない。しかし、政治的解決の地平線が見えないとテロを止められない。従って、テロと戦いつつ話し合うことをしなければならない。
国際会議のTOR(中身)の問題で時間をかけすぎるのは反対、重要なのはどうやって会議を結論に導くか。


<エリエゼル国防相>
今回のテロ掃討作戦には否定的な面と肯定的な面がある。前者は更なる自爆テロを招来したこと、後者はテロのインフラと指導者達の破壊に成功し政治的な突破口がもたらされたこと。
PAが行わなければならない第一の改革は全てのテロを解体すること。
今日、物事を暗礁に乗り上げさせているのはアラファト議長であり、同議長は紛争を主導している。


 (ロ)パレスチナ

<アラファト議長>
(PA改革について)司法、行政、立法改革等を実施している。明日にでも新内閣を発表予定。各国のアドバイスを受け入れ、治安機関の再編に着手した。地方選挙についてはイスラエル撤退後すぐに、立法評議会・PA長官選挙については、12月又は2003年1月に行うことを決定した。
日本は援助国の中で最も重要な国。日本もカルテットに加わることを望んでおり、これは日本の権利でもある。
G8において、ミッチェル報告、テネット了解、アブドッラー皇太子提案、国連安保理決議1397号等の実施を迅速かつ協力に推進して欲しい。


<シャアス長官>
暴力についてはPA自身も非難しているが、PAの治安維持能力をイスラエルが壊している。
衝突発生後の二年においては、日本の支援は減少している。パレスチナは支援を必要としている。


<アブ・アラ議長>
今夜(8日夜)か翌日、新内閣が組閣されるであろう。閣僚の数は最小限にし、財務庁長官にはファイエット(元IMFのパレスチナ事務所代表)が指名され、またアラファト議長が現在兼任している内務庁長官も新任される。
(日本のPA改革支援の姿勢は)素晴らしい、アラファト議長はPA改革に真剣に取り組んでいる、但しPA改革は明日結果が出る話ではなく、継続的なプロセスである。
日本の関与は、我々が必要としていることであり、日本が国際会議に入っていることが重要。
アラファト議長のみが和平を実現できる、追い詰めるのではなく、もっと勇気付けて欲しい。米にも伝えてほしい。


3.成果

(1)暴力停止への働きかけ

両首脳との会談が実現。一日も早く暴力停止を実現するよう、双方首脳レベルに対し直接働きかけを行った。双方とも相手が暴力を停止すべきとしており、イスラエル側のアラファト議長に対する不信感も強いが、引き続き粘り強い働きかけが必要。


(2)政治プロセスの早期開始と日本の政治的関与

和平に向けた3つのプロセス((a)治安の回復、(b)人道・復興支援、(c)交渉の加速化等の政治面の取り組み)の一環としての政治プロセスについて、早期実施を働きかけた。国際会議の開催については、双方は基本的には支持(但し、会議の中身、出席者、時期等につき依然見解が一致せず)。国際会議への出席等日本の政治プロセスへの参画については、双方から支持が得られた。


(3)パレスチナ支援(人道支援、PA改革支援、今後のロードマップ)

人道支援を継続し、PA改革を支援する意図表明とともに、プロセス進捗に応じた支援ロードマップを提示した。双方ともに、日本の対パレスチナ支援の重要性を認識しこれを評価。アラファト議長は改革に積極的に取り組む姿勢を示した。


(4)総括

政治プロセス再開に向けた国際的な動き、パレスチナ側の改革への動きが活発化している時期に、双方への働きかけと意見交換を行い得た。今後、G8外相会議等でも議論を行うとともに、有馬特使らを通じて関与を継続していくことになる。


目次


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