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川口外務大臣


東アジア開発イニシアティブ(IDEA)
(概要と評価)

平成14年8月12日

1.日 程: 8月12日(月)(於:帝国ホテル)

2.参加者: ASEAN+3の13カ国の外務大臣及び開発担当大臣。日本よりは、川口外務大臣(議長)及び、杉浦副大臣が参加。


3.意義と評価

(1) IDEA閣僚会合は、小泉総理が2002年1月に東南アジアを訪問した際、「共に歩み共に進む」精神を開発分野で打ち出すものとして提唱した構想が今回実現したもの。

(2) 3月のモンテレイ開発資金国際会議を皮切りに、開発への取り組みが国際的な関心を集める中、ODAを活用しつつ開発に取り組んできた東アジア諸国が、これまでの開発経験を振り返り、知見・教訓を共有し、今後一層の開発を達成するための方途について率直に意見交換を行った。このような意見交換の内容は、閣僚共同声明(英文、和文仮訳を別添)という高次の政治的共同意思の表現として発出された。

(3) これによって、東アジアにおける新しい開発課題と開発の向かうべき方向性についての認識が政治レベルで共有され、東アジア諸国が共同して開発問題に取り組む決意が表明された。

(4) また今回の会合は、地域協力の側面とは別に、東アジアが自らの開発知見に基づいて、今月下旬に開催される「持続可能な開発に関する首脳会議(WSSD)」や2003年の「第三回アフリカ開発会議(TICAD III)」等、国際的な開発議論に対して知的貢献(国際的発信)を共同して行う初めての試みであり、この観点からも共同声明の発出は意義深い。

(5) 約半年という短い準備期間にも拘わらず、各国より閣僚の出席が得られ、会議を開催できたことは、これまでの日本ODAへの評価が高いこと、特にASEAN諸国が、日本のODAに引き続き高い期待を有していることを示すものと思われる。

(6) 本件会合の模様はNHKが大きく取り上げ、新聞社、通信社の報道もそれなりの紹介振りで、比較的大きく取り上げられたが、ODAを維持すべきとの論調が多いことが注目される。


4.議論の概要

(1) 開発のオーナーシップの重要性が強調される中で、経済のファンダメンタルズ(マクロ経済、為替及び金融政策)にきちんと取り組むことの重要性が指摘された。

(2) 開発経験を振り返る中で、人材育成が開発の鍵となってきたこと、貿易と投資の連携が東アジアの経済発展の特色であること、開発という目標に向けて経済改革がエンジンとなり、その過程でODAとともに貿易と投資と金融を総合的に活用していくことの意義が改めて指摘された。

(3) 特に2001年の9月11日以降、平和と安定が経済開発の前提となっていることの認識が深まっていることが強調された。現在地域が直面する問題として、グローバリゼーションの負の側面への対応として貧困削減、社会的弱者への配慮が必要であり、この面でもODAが活用できることが指摘された。

(4) 地域的視野から見た開発課題への対応や、地域としての開発協力のあり方についても議論が及ぶ中で、様々に展開する地域協力のイニシアティブも取り上げられた。特に、地域最大の関心である域内格差の問題との関連で、ASEAN側の自主的取り組みとして展開する例として、ASEAN統合イニシアティブ(IAI)に対する支援への期待が表明され、IDEAはこうした地域協力を後押しするものとしての期待が寄せられている。東アジアにおける南南協力及び三角協力の重要性についても指摘された。

(5) 日本ODAに対しては今回、ASEAN、中国、韓国のいずれからも高い評価と多くの期待が寄せられ、ODAのレベルを少なくとも維持してほしい、という強い希望が述べられた。これに対しわが方からは、ASEANを中心とする東アジアの開発に対する日本のコミットメントを改めて確認し、日本としても構造改革に努めること、透明で、有効的かつ効率的なODAの活用を含めて、協力していきたい旨述べた。

(6) 市場アクセス改善(特にLDC産品)、研究開発支援、南北対話(中国:途上国が犠牲となってはならない)、インフラ開発国際基金構想(マレイシア)、地域・国際レベルの良い統治(マレイシア:IMF等国際金融機関の意思決定の透明性と途上国の参加)、財・サービスの共通の基準に向けての域内協力等にも言及。

(7) 川口議長総括:川口議長よる今次会合総括の発言概要以下の通り。

(a) 開発における自助努力とパートナーシップの重要性。その要素として、人材育成や能力開発、貧困削減や社会的弱者への配慮、域外からの協力を得て開発資源を動員し(:この関連で議長よりIT、WTOにも言及)、国際社会とパートナーシップの中で開発を推進していくべきとの観点を指摘した。
(b) 包括的開発アプローチの重要性。ODAと民間セクター(貿易・投資・NGO)との連携を進めるべきこと、また開発を実効的たらしめるための環境整備の要素として、グッド・ガバナンス、制度整備、インフラ整備、紛争予防、説明責任や透明性といった要素の重要性を指摘した。
(c) 開発の補完性と相乗効果。東アジアに特徴的な南南協力や三角協力が地域協力を補完し促進してきたこと、こうした協力が域内格差是正に果たしてきた役割に言及した。


5.今後の予定

(1) IDEA閣僚会合で高められた共通認識を具体的行動に結びつけるため、フォローアップとして(イ)IDEA Projectの検討(プロジェクト形成のガイダンスにつき合意)、(ロ)知的発信の強化:開発協力・ODAの有効性について知的コミュニティーによる専門的分析と政策提言などを想定)、(ハ)国際的発信の強化(WSSDではIDEAのサイドイベントを開催)、の三つの方策が提示され、各国の賛同を得た。

(2) 次回会合の見通し:今次会合が、東アジアの一層の開発と地域協力の推進について非常に有益かつ生産的であったとの評価を得たことから、当方より、IDEAはASEAN+3の地域協力を強化する上で非常に有益な枠組みであること、このような試みを、東アジア全体の持続可能な成長、開発、繁栄の為に続けたい旨述べたところ、各国の賛同を得た。


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