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川口外務大臣


江沢民国家主席との会見(概要)


 8日、北京訪問中の川口外務大臣は、本邦時間午後6時から1時間、江沢民国家主席との会見を行った(於.中南海)ところ、概要は以下のとおり。

1.日中関係全般

(1) 川口大臣から以下のとおり述べた。
 日中国交正常化30周年の機会に唐家セン外交部長の招きにより訪中できた。唐部長とは二国間問題、国際問題等について過去2回会談を行い、率直に意見交換できる間柄になっている。自分の思いとしては「歴史を鑑として未来に向かう」、これを共通認識として30周年、そしてその後の日中関係を深め、広げていくために努力したい。2002年30周年に様々な文化交流活動が行われる。1万人の交流等の様々な文化交流や経済界の交流を通じて、各層における日中間の交流が深まっていくことに期待している。

(2) 江沢民国家主席から以下のとおり述べた。
 大臣の暖かい言葉に感謝する。日中間の交流の歴史は数千年に及び、その中には友好の期間もあれば戦を交える時期もあった。中国の古い言葉には「明鏡をもって形を照らし、故事をもって今を照らす」(明らかな鏡で形を照らし、古のことを以て今を照らす)あるいは「前事を忘れず、後事の師とする」という言葉がある。最後に自分が述べたのが「歴史を鑑とし未来に向かう」ということで、これが広く受け入れられている。この教訓を遵守すれば両国の人民にプラスとなり、逆にこの教訓に背けば有害である。貴大臣は自分とは15歳離れている。自分はこの20世紀の歴史の転換を自分の目で見てきた。同時に、自分は文学も大変好きであるが、中国の長い文学の歴史を見たときに日本との交流に思いが至る。小学生のとき唐詩を読むと、阿倍仲麻呂が出てきて、中国の詩人である王維の友人であることが分かった。古代において日本は中国より文化を学び、明治維新後は中国が日本からいろいろなことを学んだ。中国の有名の文学者である郭沫若や魯迅は二人とも日本で学んだ方である。このような長い両国の文化交流の歴史を見ても判るとおり、歴史を鑑として未来に向かえば、将来は開けていくと思う。2002年9月下旬に1万人が北京に集う。これは両国の歴史の中でも例を見ないほど大規模なものであり、非常に重要な活動であると考えている。


2.小泉総理の北朝鮮訪問

(1) 川口大臣から以下のとおり述べた。
 小泉総理が9月17日に北朝鮮を訪問される。これまでの日朝間の関係改善に向けての動きについて、中国から歓迎と支持が示されていることに感謝する。今回の訪朝の目的は3つある。第一に、日朝関係の改善、日朝国交正常化への努力は日本の歴史的責任であるということ。第二に、日朝関係の改善は、この地域の平和と安定に資する形で行われることが重要であること。第三に、諸懸案に正面から取り組みつつ国交正常化が行えるか見極めるために小泉総理が訪朝するものである。北朝鮮が国際社会と対話を行うことが重要であると考えており、そのために引き続き中国が北朝鮮に対し国際社会との対話について働きかけを行い、また日朝の対話促進につき働きかけていただくようよろしくお願いしたい。

(2) これに対し江沢民主席から以下のとおり述べた。
 9月17日の小泉総理訪朝を非常に支持している。日本にとって、これは重大な外交上の行動であり、日本の総理として初めての訪朝となる。したがって、円満な成果が上がるよう期待している。日朝間の問題を一度にすべてを解決することは困難と思うが、まずは日朝間の交渉をスタートすることが重要。我々の態度は非常に明確であり、今回の小泉総理の訪朝を重視している。報道等では北朝鮮も積極的な態度をとっていると承知している。


3.中国のWTO加盟

(1) 川口大臣から以下のとおり述べた。
 21世紀にかけて、中国が行ってきた決断の中で最も重要な決断の一つはWTO加盟である。これにより、日中間の経済、人的交流が増加し、考え方も共通なものになっていくと考える。

(2) 江沢民主席から以下のとおり述べた。
 WTOについては、15年の長きにわたる交渉を乗り越えて加盟を果たした。自分は国内の関係者にWTO加盟は中国にとって新しい試練であると言っている。これは広い海で水泳を覚えることであり、2、3回は口に水が入ることは避けられない。自分は加盟前から、中国は途上国であり途上国として見なすよう言っている。


4.環境

(1) 江主席より、いつから環境保全の概念が出てきたのか教えて欲しい旨述べたのを受け、川口大臣から以下のとおり述べた。
 日本では70年代に環境保護について大きな方針転換を行った。高度成長の経験、その後の日本の考え方を各国とともに分かち合うことが重要。先のヨハネスブルグ・サミットでもこの点をグローバル・シェアリングという考え方で紹介している。米国は自然保護の観点から19世紀中頃より環境保護の考え方を示してきた。

(2) 江沢民主席から以下のとおり述べた。
 自分はクリントン米元大統領との間でこの話をし、京都議定書についても話している。自分としては、オゾン層を破壊したのは先進国であり、現在は国民の生活レベルの向上から環境の問題が強く意識されるようになり、中国はこれに対し賛成するが、他方、問題を起こした責任は先進国にあり、資金協力、技術協力については先進国に責任があると考えているがどうか。

(3) これに対し、川口大臣より以下のとおり述べた。
 中国の京都議定書の締結を高く評価しているし、ヨハネスブルグの文書、気候変動枠組み条約の中にも「共通だが差異のある責任」という表現が出ており、今貴主席が述べられたことを意味している。まさに責任を有する先進国が資金援助や技術援助を行うべきとの考え方である。自分の考えからすると日本の円借款の大きな部分が環境分野に向けられているのもそのような背景からである。一方、温暖化ガスの排出という点で、中国は米国に次いで第2位である。中国がいろいろな課題を抱える中、人類の次の世代のために温暖化、排出ガス防止に大きな役割を果たすよう努力していただきたい。


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