外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 会談・訪問 川口外務大臣
川口外務大臣


川口外相の中央アジア歴訪
(概要と評価)


平成16年9月


1.訪問の概要

(1) 4カ国歴訪

 8月25-31日、川口外相はウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、キルギスの中央アジア各国を訪問した。4カ国歴訪は初めて。タジキスタンは日本の外相初訪問。
 92年カザフスタン、キルギス(渡辺外相)、99年ウズベキスタン(高村外相)

(2) 政策スピーチ

 8月26日、第1番目の訪問国ウズベキスタンで川口大臣は政策スピーチを行い、日本の新たな対中央アジア政策を表明した(於、世界経済外交大学、タシケント)。

二本柱の新たな方向性(中央アジア各国との二国間関係の増進、中央アジア地域全体との対話)
「新たな次元へ」(中央アジアを巡る協力の枠組みとして「中央アジア+日本」対話という新たな選択肢を提供)
対話の3つの基本原則(多様性の尊重、競争と協調、開かれた協力)。
民主化、市場経済化、制度改革の必要性に明示的に言及。
今後3年間で1000名以上の研修員受け入れを表明。

(3) 「中央アジア+日本」対話・外相会合

 8月28日、アスタナ(カザフスタン)に於いて、日本、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの外相が一堂に会して本件外相会合を開催し、共同声明を発出すると共に、共同記者会見を実施した(トルクメニスタンは現地大使が代理出席。)。

川口大臣より、会合提唱の趣旨を説明。(本件対話の立ち上げにより、地域内協力を支援し、中央アジアと日本の関係に新たな次元を切り拓きたい、中央アジア諸国がまとまって協力し、地域的課題の解決に努め、共に安定・繁栄を目指すことが重要であり、そのようなアプローチがなされるのであればこれを支持・支援する)。各国より全面的な支持、歓迎の意を表明。
地域の課題について、各国より、本件対話の枠内での協力に積極的関心が表明され、アフガニスタン復興協力、麻薬、テロ、環境、エネルギー、水、輸送、貿易・投資等について問題提起。川口大臣より、具体的協力の分野についてはSOM(事務レベル会合)で十分フォローアップしたい旨説明。
国際場裡における協力については、川口外相より、国連改革、人間の安全保障等について説明。各国より、世界各地での平和定着等での日本の貢献を高く評価し、日本の安保理常任理事国入りを一致して表明。
対話の今後のあり方については、各国より本件対話の継続が重要である旨の発言が相次いだ。2005年の愛・地球博がハイレベル対話の可能性も含めよい機会であることに前向きの反応が見られた。


2.意義・評価、注目される点

(1) 外交上の意義

(イ) 各国訪問

 外相レベルでの中央アジア4カ国歴訪により、二国間関係の強化に大きく貢献した。全ての訪問国で大統領とも会談し、日本の新たな取り組みへの支持が首脳レベルで表明された。
◆技術協力協定(カザフスタン署名、キルギス実質合意)等の個別具体的成果も実現。

(ロ) 政策スピーチ

(a)中央アジアに対する日本外交を強化するとのメッセージをこの地域の歴史を引きつつ発信し、この地域の安定と繁栄の実現に当たっての課題である地域内協力に力点を置いて各国の取り組みを慫慂(このための日本の姿勢を示すものとして、今後3年間で1000名以上の研修員受け入れを表明)。

(b)各国の民主化、市場経済化、制度改革の必要性に明示的に言及した。

(ハ) 「中央アジア+日本」対話・外相会合

(a)日本の提唱による初の試みに対し、各国より歓迎と全面的支持(各国側より「歴史的」等の発言が相次いだ)。今次会合は、既存の地域的会合に日本が参加する形で実施したのではなく、日本が提唱し、各国の支持を得て全く新たな試みとして開催したことに特色。

(b)積極的中立を標榜し、多国間の枠組みへの参加に極めて消極的なトルクメニスタンについても、先ずはその関与を確保したことは一定の成果。

(c)4カ国外相は、異口同音に独立後今日に至るまで、日本が一貫して市場経済化・民主化による国造りを支援してきたことへの謝意を表明、ODAによる貢献に対する中央アジア側の高い評価と信頼が根底にあると感じられた。

(d)各国は日本のODAへの期待は表明しつつも、共同市場形成というビジョンを含めた地域内協力の必要性を自らの問題意識として強調。

(e)アフガニスタン支援については、日本が多大の取り組みを行ってきていることに対して高い評価を表明。会合を通じ、アフガニスタンの安定と復興を実現することを通じ、不安定要因を排除し、「南ルートを通じる海への出口」を確保することが中央アジア各国の念願であることが看取された。

(ホ) 全般
 1週間の訪問の中で、各国訪問、政策スピーチ、「中央アジア+日本」対話という三つの手段を通じ、日本の対中央アジア政策を改めて明確な形で規定し、従来の「シルクロード外交」(97年発表)を基礎としつつ、新たな次元を切り拓くとのメッセージを発信したことに対し、各国とも日本のイニシアティヴを歓迎し、各国の日本の役割への認識を高めたものと思われる。

(2) 広報面での扱い

(a)訪問各国では各紙一面トップ、TVでも繰り返し報じられる等大きな取り扱いであった。

(b)今回の訪問、就中、「中央アジア+日本」対話については、域外の第三国においても報じられた。(人民日報、イタルタス通信他)。

(c)今次訪問の最終訪問国キルギスにおいて、独立記念日前夜祭式典でのアカーエフ大統領の国民向け演説の中で、式典出席の川口大臣を紹介しつつ、日本の援助がキルギスの国造りに決定的役割を果たしたと言及し、大臣がその場で大群衆の拍手に応えるという一幕もあった。



目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省