G8外相会合(概要)
平成14年9月14日
9月13日夜(現地時間)、ニューヨークにてG8外相会合(ワーキング・ディナー)が開催されたところ、概要以下のとおり(日本より川口外務大臣が出席。各国出席者:グラハム加外相(議長)、ド・ヴィルパン仏外相、パウエル米国務長官、フィッシャー独外相、ベルルスコーニ伊首相兼外相、イワノフ露外相、リケッツ英政務局長(代理出席)、ムラー・デンマーク(EU議長国)外相、パッテン欧州委員、ソラナEU共通外交安保政策上級代表)。
1.イラク情勢
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9月12日のブッシュ米大統領の国連総会演説は、イラク問題での国連の中心的役割を明確にし、米国とその同盟国との協力に扉を開くものである等、ブッシュ大統領演説を評価する発言が行われた。また、新たな安保理決議に向けて協力していく必要性が強調されるとともに、アラブ諸国がイラクに安保理決議の実施を働きかけることの重要性も指摘された。
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川口大臣より、イラクによる安保理決議の即時かつ無条件、無制限の実施の重要性を指摘しつつ、ブッシュ大統領演説は国連の中心的役割を明確にするものとして評価する旨発言。また、国際社会の連帯と協調の重要性を強調するとともに、二国間の外交努力も重要である旨指摘し、イラン外相との会談等を紹介した。
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2.中東和平
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イスラエルとパレスチナという2つの国家樹立という解決策に向け、中東和平プロセスに前進が見られることの必要性が強調されるとともに、パレスチナ自治政府改革の重要性、パレスチナにおける自由かつ公正な選挙実施の重要性、パレスチナの深刻な人道状況の改善に向けた協力の重要性等が指摘された。
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川口大臣より、パレスチナ自治政府の改革を求め、そのための支援を行っていくとともに、2つの国家樹立に向けたロードマップ策定に努力することの重要性を指摘した。
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3.国際テロ対策
G8グローバル・パートナーシップを始めとするカナナスキス・サミット及びウィスラー外相会合の成果を具体化していくことが必要であり、このため、G8の専門家間の協力・作業を進めていくことの重要性が指摘された。
4.インド・パキスタン情勢
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インド・パキスタン両国間の緊張緩和が必要であり、両国間の対話の早期再開に向けて引き続き働きかけていくことの重要性が指摘された。
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川口大臣より、小泉総理と印首相及びパキスタン大統領との会談を紹介し、ジャンム・カシミール州議会選挙の自由かつ公正な実施を印に働きかけるとともに、同選挙が妨害なく実施されることの重要性をパキスタンに働きかける必要性を指摘し、併せて、10月のパキスタン総選挙が自由かつ公正に実施され、パキスタン政府と新議会との間に建設的な協力関係が構築されることを期待する旨述べた。
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5.朝鮮半島情勢
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川口大臣より、小泉総理の訪朝に対して各国より示された支持に謝意を示すとともに、日朝間に存在する拉致、不審船、ミサイル発射等の問題を指摘の上、17日の小泉総理と金正日総書記との会談においては、これらの問題に加え、地域・国際社会全体の平和と安定を視野に入れた協議を行い、その結果を踏まえて日朝国交正常化交渉を再開するか否かを判断する旨発言した。
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これに対し、小泉総理の訪朝を支持し、今次訪朝が成果を挙げることを期待するとともに、南北関係の進展の重要性が北朝鮮に伝わることも重要である旨の発言があった。
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6.G8議長国の交代
2002年1月からのカナダの議長としての役割を評価するとともに、2003年1月からの仏議長国の下で、G8の協力関係が更に深まることを期待する旨の発言があった。
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