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5 東京 サミット

宣  言(仮 訳)

1979年6月29日

 カナダ、ドイツ連邦共和国、フランス、イタリア、日本国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにアメリカ合衆国の元首及び首相は、1979年6月28日及び29日に東京で会合した。欧州共同体の権限に属する事項の討議については、欧州理事会議長及び同共同体委員会委員長が同共同体を代表して参加した。

  1.  ボン・サミットにおいて達成された諸合意は、世界経済の改善に貢献した。より高い経済成長がいくつかの国ではあり、また、国際収支の不均衡の縮小及び通貨の一層の安定があった。
  2.  しかし、新たな挑戦が生じた。多くの国において鎮静化しつつあったインフレーションは、現在再び勢いを得つつある。より高い石油価格及び石油不足は、われわれ全ての国において経済政策の運用の余地を狭めた。それらは、工業国及び開発途上国双方において、インフレーションを悪化させ、成長を低下させるであろう。非産油開発途上国は、最大の被害を受ける諸国に含まれる。

     われわれは、これらの問題に取組むための共通の戦略につき合意した。最も緊急な課題は、石油消費を減少させ、他のエネルギー源の開発を促進することである。

     われわれ7ヵ国は、すでに石油消費の減少のために重要な措置をとってきた。われわれはかかる努力を強化する。

     欧州共同体は、1979年の石油消費を5億トン1日当り1,000万バーレルに制限すること及び1980年より1985年までの共同体の年間石油輸入量を1978年より高くない水準に維持することを決定している。共同体は、この約束を監視している。また、フランス、ドイツ、イタリア及び英国は、これらの年間の水準に対する各加盟国の寄与分を特定するよう共同体の他の加盟国に対し勧告する旨合意した。カナダ、日本及び米国は、それぞれが国際エネルギー機関(IEA)において1979年について誓約した調整済み輸入水準を実現し、また1980年の輸入をこの1979年の水準に維持し、これを監視するであろう。

     7ヵ国は、1985年の石油輸入の上限についての目標として、下記の数値をとる意図を表明する。

    • フランス、ドイツ、イタリア及び英国については、1975年の数値。
    • カナダについては、現在と1985年までの期間にわたリカナダの石油生産は極端に減少していくところ、石油消費の年間平均成長率を1%に低下せしめ、その結果として、1985年までに1日当り5万バーレル分石油輸入を減少せしめる。従って、カナダの輸入目標値は、1日当り60万バーレルとなろう。
    • 日本は1985年の目標として、1日あたり630万バーレルから690万バーレルの間の範囲を超えない水準を採用する。日本は、この目標を定期的に検討し、かつ、時々の進展及び成長見通しに照らしてこれを一層明確なものとし、また、より低い数値に近づくために、節約、利用の合理化及び代替エネルギー源の熱心な開発を通じて、石油輸入を削減するよう最善を尽すものである。
    • 米国は、1985年の輸入についての目標として、1977年の水準または1979年についての調整済みの目標を超えない輸入水準、即ち、1日当り850万バーレルを採用する。

     これらの1985年の目標は、エネルギー節約及び代替エネルギー源の開発の双方を監視するうえでの参考として用いられる。

     われわれ7ヵ国及び欧州共同体委員会の代表からなるOECD内のハイレベルグループは、達成された結果について定期的に検討する。成長によって生ずる特別な必要を考慮に入れるため、多少の調整を許すこととする。

     これらの約束を履行するにあたって、われわれの指針となる原則は、異った供給の態様、石油輸入を制限するために払った努力、各国の経済状況、入手可能な石油の量及び各国のエネルギー節約についての可能性を考慮しつつ、全ての国々のために石油製品の公平な供給を確保することである。

     われわれは、他の工業国に対し、自国について同様な目標を設定するよう勧奨する。

     われわれは、石油の国際取引の登録制を導入することにより、石油市場の動きを公開する措置をとることに合意する。われわれは、石油企業及び石油輸出国に対しスポット市場取引を節制するよう勧奨する。われわれは、原油の積み降しの時に、生産国により証明された買入れ価格を示す文書の提出を要求することの実現可能性を考慮する。同じく、われわれは、石油企業の利潤状況及び石油企業にとって利用可能な資金の使用に関し、一層良い情報を入手するよう努める。

     われわれは、世界市場価格の水準に国内石油価格を維持すること、あるいは出来る限り速やかにこの水準に国内石油価格を引上げることの重要性につき合意する。われわれは、国内の石油価格が低く抑えられることに起因し、石油価格に対し又上昇圧力を加えることになり得る行政措置を最少限にし最終的には取りやめるよう、また、同様の効果をもつような新規の補助金を回避するよう努める。

     われわれ7ヵ国は、政府による備蓄のために石油を購入すれば価格に対して不当な圧力を加えることになる際にはこれを行わないこととし、この目的のためにわれわれが行う決定について協議することとする。

  3.  われわれは、われわれ7ヵ国が環境を損うことなく石炭の利用、生産及び可能な限り拡大することを誓約する。われわれは、産業及び電力部門において、石炭をもって石油に代替させることに努力し、石炭輸送の改善を奨励し、石炭プロジェクトヘの投資に対して積極的な姿勢を維持し、長期契約による石炭貿易を国家的緊急事態によって必要となる場合を除き、中断しないことを誓約し、また、石炭輸入を阻害しない措置によって、エネルギー政策、地域政策及び社会政策上望ましい国内石炭生産の水準を維持する。

     われわれは、代替エネルギー源、とりわけ、一層の汚染、特に大気中の炭酸ガス及び硫酸ガスの増大を防止することに役立つ代替エネルギー源を拡大する必要がある。

     今後数十年において原子力発電能力が拡大しなければ、経済成長及び高水準の雇用の達成は困難となろう。これは国民の安全を保障する条件の下に行われなければならない。われわれはこの目的のための協力する。この点に関して、国際原子力機関(IAEA)は中心的役割を果しうる。

     われわれは、核燃料の安定供給と核拡散の危険性の極小化に関するボン・サミットにおいて達せられた了解を再確認する。

     エネルギー分野における新しい技術は、世界がより長期にわたって燃料の危機から解放されるための鍵である。これらの技術の開発及び商業化のためには、多額の公共及び民間の資金が必要とされよう。われわれは、かかる資金が利用可能となることを確保する。各国国内において現にとられ、又は、計画されている行動を検討し、また、資金供与を含む国際協力の必要性と可能性について報告するために、経済協力開発機構(OECD)、国際エネルギー機関(IEA)及びその他の適当な国際機関と連繋した国際エネルギー技術グループが創設されよう。

     われわれは、最近のOPEC会議においてとられた決定を遺憾とするものである。われわれは、幾つかの参加国が比較的穏健な態度を示したことを認める。しかし、それにも拘らず合意された石油価格の不当な上昇は、極めて深刻な経済的かつ社会的結果をもたらさざるを得ない。かかる石油価格の上昇は、一層の世界的なインフレとより低い成長を意味する。それは失業の増大及び一層の国際収支困難につながり、世界の開発途上国及び先進国の安定を等しくおびやかすこととなろう。われわれは、石油輸出国とともに、世界石油市場における需給見通しを如何に明確にするかにつき、検討する用意がある。

  4.  われわれは、各国経済につきボンにおいて合意された政策を、現在の状況を反映するよう調整しつつ、継続すべきであることに合意する。エネルギーの不足及び石油の高価格は、所得の実質移転をもたらした。われわれは、国内経済政策を通じ、われわれの経済への損害を最少限にとどめるよう努める。しかし、われわれの選択の幅は限られている。この損害をそれに見合う所得の増加によって埋めあわせる試みは、単にインフレを昂進するにすぎない。
  5.  われわれは、各国経済の長期的な生産効率及び柔軟性を向上させるため、一層力を尽すべきであることに合意する。必要とされる諸措置には、投資及び研究開発に対する一層の刺激、衰退産業から新たな産業へ資本及び労働が移動することを一層容易にする措置、投資及び生産性に対して不必要な障害を与えない規制政策、若干の公共部門の経常支出の伸びの削減、並びに貿易及び資本の国際的流れに対する障害の除去が含まれうる。
  6.  東京ラウンドにおいて達成された諸合意は、重要な成果である。われわれは、これらの合意の早期かつ誠実な実施を確約している。われわれは、保護主義と闘う決意を新たにする。われわれは、多角的貿易交渉において達成された諸合意を監視するため、また、開放的な世界貿易体制を維持するうえでの今後の政策の手段として、ガットが強化されることを欲する。われわれは、できる限り多数の国が、これらの諸合意及び体制全体に完全に参加することを歓迎するものである。
  7.  われわれは、各国において持続的な対外均衡を達成するために適切な経済政策を遂行する努力を強化する。外国為替市場の安定は世界貿易及び世界経済の健全な発展のために肝要である。この点は他の国の通貨当局とともに実施してきた1978年11月1日の米国のプログラム及び欧州通貨制度の成功裡の発足というボン・サミット以降の2つの重要な進展によって一層高められてきた。われわれは、為替市場政策においても、また、IMFの諸責任、なかんずく、監視の役割及び国際通貨制度を一層強化する上での役割の効果的な遂行を支持する点においても、緊密な協力を継続する。
  8.  建設的な南北関係は世界経済の健全さのための条件である。われわれとしては、開発途上国が開放的な世界貿易体制により完全に参画するよう、また、変化しつつある国際環境にわれわれの経済を適応させるよう一貫して努力してきた。われわれが直面する問題は、世界的なものである。これらの問題は責任の分かち合いとパートナーシップによってのみ解決できる。しかしこのパートナーシップは工業国の努力にのみ依存することはできない。OPEC諸国の果すべき役割はまさしく同様に重要である。石油価格を大幅に引き上げるとの今回の決定は、石油資源をもたない開発途上国の直面する問題と先進国がこれら諸国を助ける上での困難を共に深刻に増大させるであろう。この決定は、幾つかの開発途上国に対して再起不能といってもよい程の影響を及ぼすかも知れない。このような情勢下においてわれわれは、民間及び公的並びに二国間及び多数国間の資金を含め、開発途上国に対する資金の流れを増大する必要性を認識するものである。開発途上国における良好な投資環境は、外国投資の流れを助長するであろう。

     われわれは、極めて多くの人々が依然として絶対的貧困の状況下で生活していることを深く憂慮している。われわれは、われわれの援助計画の中で最貧国に特別の考慮を払う。

     われわれは、コメコン諸国がその役割を果すよう再度勧奨する。

     われわれは、飢餓及び栄養不良を克服することについて、開発途上国との協力にさらに重点をおく。われわれは、開発途上国が効果的な食糧分野の戦略を発展させ、また、強固な国内食糧備蓄に必要な貯蔵能力を築きあげることにつき多数国間の機関が支援するよう勧奨する。農業研究のための二国間及び多数国間援助の増大は、特に重要である。これらの方途及び他の方途により、われわれは、現地の条件に適合した技術協力を通じ、開発途上国の人造りを支援する努力を増大する。

     われわれは、また開発途上国がその潜在エネルギー源を開発することに対する援助に特別な重点を置く。われわれは、世界銀行の炭化水素開発のプログラムを強く支持し、その拡大を勧奨する。われわれは開発途上国の再生可能エネルギーの利用増大を助けるべく一層力を尽す。われわれは、世界銀行がかかる努力を調整することを歓迎する。

(注) 1978年の水準に関するイタリアの約束は、欧州共同体全体の約束のコンテクストで受け入れられる。
 
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