外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 G7 / G8


G7 / G8

シーアイランド・サミット
(概要)


平成16年6月11日


1.総論

(1) 6月8日から10日まで米国ジョージア州シーアイランドで開催された本年のサミットは、ランブイエから数えて第30回目であったが、中東情勢への対応等を中心に、昨年に引き続き、G8としての協調が試される機会となった。

(2) 最も喫緊なイラクの問題に関しては、サミット開幕当日(8日)に、イラクへの主権移譲等に関する国連安保理決議1546が全会一致で採択されたのを受けて、議長総括及び拡大中東・北アフリカ地域とのパートナーシップに関する政治宣言の中で、G8としての一致した立場を示した。

(3) 中東地域の中長期的な安定を図るという観点から、拡大中東・北アフリカ・パートナーシップ構想を政治宣言と改革支援計画という形でとりまとめることができたのも、今回サミットの成果である。

(4) 北朝鮮については、小泉総理よりの訪朝の説明を受けて、首脳間で活発な議論が行われた。不拡散に関する行動計画において、六者会合への支持と北朝鮮に核兵器関連計画の廃棄を求めることが明記され、議長総括において、核問題及び拉致問題を含む包括的解決を支持する旨明記された。

(5) 議長総括及び宣言・行動計画等の形で多数の文書が採択されたが、これらは、流動的な地域情勢への対処に留まらず、安全保障(不拡散・テロ対策)や開発・環境等、粘り強い中長期の取り組みを必要とする分野において、G8としての取り組みを進め、今後の協力の基礎となる成果である。

(6) 非G8諸国の対話として、中東諸国及びアフリカ諸国とそれぞれ対話を行い、それぞれの地域が抱える課題について首脳が直接意見交換を行う貴重な機会となった。

(7) 小泉総理は、積極的に議論に参加・貢献した。また、精力的に二国間会談などを行い、各国首脳との信頼関係を一層深めた。

(8) 冷戦時代に西側の指導者として一時代を画し、米国民から敬愛されたレーガン元大統領がサミット直前に逝去したことに対して、各国首脳より、哀悼の意が表された。

2.各論

(1)経済・貿易

 世界経済が力強さを増し、全体として状況が良くなっているとの認識が共有されたが、同時に、現在の成長をより確かなものとするために、各国が更なる構造改革に取り組むべきこと、原油価格等のリスク要因に適切に対処すること、7月の枠組合意を目指してドーハ新ラウンドを推進すべきことなどについて、各国の意見が一致した。

(2)地域情勢

(イ)中東

 地域情勢では、昨年に続いて、中東情勢が最大の焦点となった。

(a) イラク
 イラクへの主権移譲を月末に控えた微妙な時期であったが、5日の米仏首脳会談を経て、サミット開幕当日に安保理決議1546が採択されたのを受け、イラク暫定政府への支援を含むG8としての協力の道筋を確認した。小泉総理は、イラクの復興はイラク人自身の手によって成し遂げられなければならないことを強調の上、我が国として引き続きイラクの復興を支援する用意があることを表明した。ヤーウェル大統領からは、イラクの人道復興支援に対する自衛隊派遣を含む我が国の協力について、高い評価と感謝の意が示された。

(b) 拡大中東・北アフリカ構想
 中東地域を広くとらえ、地域から出てきている改革の努力を支援するという拡大中東・北アフリカ地域とのパートナーシップ構想については、一部域内諸国の反発もあり、当初、その成立を危ぶむ声もあったが、今回、政治宣言と改革支援計画を採択し、参加した中東諸国の首脳からも評価された。秋に第一回目の「未来のためのフォーラム」が開催される予定であり、今後は、同フォーラムの円滑な立ち上げが課題。
 我が国としては、地域の自主性と多様性を十分尊重した上で、改革努力を支援するとの基本姿勢で臨み、本件構想は、そのような主張を反映したものとなった。改革支援に関する具体的な貢献策としては、中小企業支援のために国際金融公社(IFC)に設置される新たな1億ドルの基金に最大1000万ドルを拠出する用意があることを表明するとともに、特に、教育や職業訓練等の分野で積極的な支援を行っていくことを表明した。

(c) 中東和平(パレスチナ問題)
 イスラエルのガザからの撤退及び中東和平へ向けた道程に関する声明が発出された。

(ロ)北朝鮮

 北朝鮮については、小泉総理が先月の訪朝の成果を説明の上、核問題や拉致を含む人道問題の包括的な解決、北朝鮮を国際社会の責任ある一員とすることの必要性について訴え、各国から理解と支持を得た。また、大量破壊兵器の不拡散に関する行動計画の中でも、北朝鮮への深刻な懸念を表明し、すべての核兵器関連計画を完全、検証可能かつ不可逆的な形で廃棄することを強く求めた。

(ハ)その

 スーダンに関する声明が発出されたほか、アフガニスタン、ハイチについて議論された。

(3)安全保障問題

 大量破壊兵器の不拡散、テロ対策とも、国際社会が協力して取り組むべき喫緊の課題であるとの認識の下、具体的な措置に関する行動計画が採択された。

(イ)不拡散

 原子力の平和利用を口実とした核兵器開発を防ぐための濃縮・再処理の機材・技術の移転制限、IAEA(国際原子力機関)の強化、IAEA追加議定書の普遍化、PSI(拡散に対する安全保障構想)の強化、G8グローバルパートナーシップ(旧ソ連等に対する非核化支援)、北朝鮮やイラン等地域の拡散問題への対処等の事項を含む大量破壊兵器の不拡散に関する行動計画が採択された。

(ロ)テロ対策

 各国首脳から引き続きテロ対策が重要であることが強調され、特に旅行者の安全のための措置を中心に、28項目からなる「安全かつ容易な海外渡航イニシアティブ(SAFTI)」行動計画が採択された。

(4)開発

(イ) 国際社会全体の安定と繁栄を確保する上で、グローバリゼーションから取り残された地域や人々への対応が重要であるとの認識の下、G8は、近年開発問題への取り組みを重視してきている。今回サミットでも、民間の活力を通じた貧困対策、HIV/AIDSやポリオ等の感染症対策、途上国の腐敗対策・透明性向上に対する支援、アフリカにおける飢餓対策等広範な分野に関して、各国首脳の関心が表明されるとともに、行動計画等が採択された。また、開発の前提として、紛争の解決や平和維持能力の向上が重要であり、アフリカ等における平和支援活動のための能力向上に協力する「世界的な平和支援活動能力の拡大に関する行動計画」が採択された。

(ロ) 小泉総理は、森林保護や新エネルギー等に言及しつつ、環境問題の重要性を訴えた。特に、愛・地球博の取り組みなども紹介しつつ、3つのR(Reduce〔廃棄物の発生抑制〕、Reuse〔再使用〕、Recycle〔再生利用〕)の推進を通じて地球規模での循環型社会の構築を目指す3Rイニシアティブを提案し、各国の支持を得た。また、気候変動対策に関して、京都議定書の早期発効の重要性を訴えた。

3.非G8諸国との対話

(1)中東諸国との対話(9日ワーキング・ランチ)

(イ) アフガニスタン、アルジェリア、イエメン、イラク、トルコ、ヨルダン、バーレーンの7カ国首脳が参加した中東諸国との対話においては、中東各国首脳より、それぞれの国づくりや改革に関する努力が説明されるとともに、G8等国際社会に協力に対する感謝の念とともに、一層の支援が要請された。

(ロ) 参加国首脳は、自らの改革努力を説明しつつ、今回発表された拡大中東・北アフリカとのパートナーシップ構想を評価する発言を行った。

(2)アフリカ諸国との対話(10日ワーキング・ランチ)

 アルジェリア、ウガンダ、ガーナ、セネガル、ナイジェリア、南アの6カ国首脳が参加した。アフリカ側からは、カナナスキス以来のG8のアフリカに対する取り組みを高く評価するとともに、それぞれの改革努力が説明された。また、ミレニアム開発目標の達成に向けて、先進国との貿易の促進、インフラ分野での支援、平和維持能力の向上に対する支援への要請がなされた。参加国首脳の多くから、TICAD(アフリカ開発会議)を通じた我が国の協力を高く評価する旨の発言があった。


目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省