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2 プエルト・リコ サミット

プエルト・リコ国際会議共同宣言(仮訳)

1976年6月28日

 カナダ、フランス、ドイツ連邦共和国、イタリア、日本国、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにアメリカ合衆国の元首及び首相は、1976年6月27日及び28日にプエルト・リコのドラード・ビーチに集い、下記の宣言に合意した。

 われわれの運命の相互依存関係は、われわれが共通の目的意識をもって共通の経済問題に対処すること及び一層の協力を通じて相互に調和した経済戦略に向けて作業することを必要としている。

 われわれは、他の国の利益に考慮を払うことが緊要であると考える。そしてこれは世界の開発途上国との関係において特に妥当である。

 われわれは、これらの目的のために、広い範囲の問題について広汎かつ実り多い意見交換を行った。この会合は、われわれの相互理解を増進し、いくつかの分野における協力を強化するための好機であった。われわれのうち欧州共同体の加盟国である国は、その枠組みの中において努力を行う意図を有する。

 ランブイエにおいて、経済の回復が第一義的な目標として設定され、また、われわれの求める安定は、そのそれぞれの国の経済金融上の基礎的な状況に依存していることについて意見の一致をみた。

 ランブイエ以来著しい前進がなされた。景気後退の際、今後経済が長期的に活力を保持していけるかどうかについて広く懸念がもたれたが、今やこのような懸念は根拠のないものであることが証明されるにいたった。経済及び金融面の先行きに対する懸念は、将来に対する自信の回復によってとって代られた。経済の回復は順調に進行しており、われわれの多くの国においてインフレ克服及び失業の低減について実質的な進捗がみられた。このことによって依然として経済の回復が比較的弱い諸国の状況が改善されてきた。

 経済に対する過度の刺激並びに貿易及び資本移動に対する新たな阻害要因を回避しようとする最近のわれわれの決意は、この回復を健全かつ広範なものとすることに貢献した。この結果、均衡のとれた成長への復帰は今や目前にある。われわれは、この機会を逃さない決意である。

 今やわれわれの目的は、持続的拡大への移行を効果的に管理することであり、これによって多くの国において存続している失業の高水準が低減され、かつインフレの再来を回避するというわれわれの共通目標が脅かされないこととなろう。このためには、生産的投資の増大と、われわれの社会の各層間の協調を必要とする。このためわれわれの個別の必要性及び事情に沿って、財政の一層の均衡回復並びに財政・金融政策の分野での節度ある措置及び場合によっては、所得政策を含む補完的な政策をとることもあり得よう。増大しつつある相互依存関係のもとに、以上の政策を策定するに当っては、他国における経済活動の方向に対する配慮を必要とする。諸政策を正しく組合せることにより、われわれは、秩序ある持続的な経済の拡大、並びにより低い失業及びインフレ問題を除去しようとするわれわれの共通目標への新たな前進という諸目的を達成し得ると確信する。持続的な経済拡大及びこれに伴う個人の福祉の増大は、高いインフレ率の下では達成し得ない。

 昨年11月の会合において、われわれは、国際通貨制度の構造的改革に関する意見の相違を解決し、安定的為替相場制度をすみやかに決定すべきことに合意した。これは、経済金融情勢の基礎的な安定をつくりだすために不可欠な前提となるものである。

 これらの諸目的を念頭において、われわれは、具体的な了解に達し、これはジャマイカにおける国際通貨基金の会議に大きく貢献した。われわれは、関係国すべてによるこれらの合意に対する立法府による早期の承認が望ましいと考える。われわれは無秩序な市場状態に対処するわれわれの能力を増進し、かつ、経済上の諸問題及びその解決に必要な是正策に関する理解を深めるべく一層協力することに合意した。われわれは、この協議の枠組の上にわれわれの努力をさらに積み重ねて行くであろう。

 11月以降、米ドルと殆どの主要通貨との間の関係は著しく安定している。しかし、いくつかの通貨には大きな変動がみられた。

 経済金融上の基礎的な状況に必要な安定性は、明らかに末だ回復していない。慎重な秩序ある持続的な経済拡大及びそのために不可欠なインフレの制圧という諸目標を達成しようとするわれわれの決意は、より一層の安定の基盤を提供するものである。

 通貨安定というわれわれの目的は、国際収支の不均衡をファイナンスするための金融的圧力によって損われてはならない。従ってわれわれは、各国が慢性的又は構造的な国際収支不均衡を是正し又は回避すべく、それぞれの経済と国際通貨を管理することの重要性を認識する。よってわれわれ各自は、適当な国内及び対外政策の適用を通じ、一層安定的かつ永続性のある国際収支構造に向けて努力を傾ける意図を確認する。

 世界の国際収支不均衡は、今後とも続くものとみられる。われわれは、国内の経済的安定を回復するにいたらず、かつ、大幅な国際収支赤字に直面しており特殊の問題を抱えるいくつかの先進国にとって問題が生じ得ることを認識する。われわれは、これらの諸問題の解決という観点から、これらの問題についての一層の分析を行うため、適切な機関において引続き他国と協力する事に同意する。もし経済成長における一般的な撹乱を回避するために一時的な国際収支赤字をファイナンスする援助が必要となれば、かかる援助は基礎的な均衡を回復するための確固たる計画を前提としたかつ多角的な手段を通じて提供される事が最も適当であろう。

 貿易の分野においては、最近の景気後退にもかかわらず、われわれは開放された貿易体制を維持する事に概ね成功してきた。OECDにおいてわれわれは新たな貿易障害の導入を回避するとの誓いを再確認した。

 通商上の保護主義への誘惑に屈する国々は、ゆくゆくその競争上の地位が低下するという事態に直面することとなろう。即ちそれらの国々の経済の活力は悪影響を受け、同時に連鎖反応が生じ、世界の貿易量は縮小し、すべての国々に被害を及ぼすこととなろう。最近更新されたOECD貿易プレッジが定める政策からの逸脱が見られる場合には、その制限を除去することが不可欠かつ緊要となる。また、貿易に重大な歪曲をもたらし、保護主義の復活を招来するような意図的な為替相場政策を回避することが重要である。

 われわれは、多角的貿易交渉を1977年末までに完結するとの目的を設定している。われわれは、ここに、この目的を再確認し、東京宣言に従い適当な機関を通じこれを達成するためあらゆる努力を傾けることを約束する。

 貿易交渉完結の上は、われわれは貿易の最大限の拡大という長期的目標に向かって、主要貿易地域間の関係を緊密化しかつ強化することが望ましいことを認める。

 われわれは、東西経済関係について討議した。われわれは、この関連において東西貿易の着実な発展を歓迎し、東西間の経済関係が健全な金融上及び互恵的通商上の基礎の上にたって、その潜在的可能性が十分進展するよう希望を表明した。かかる経済的結びつきが全般的な東西関係を強化することを確保するために、われわれは注意深く配慮を払うとともにわれわれの努力を行うことがこの関係からみて適当であることに意見の一致をみた。

 われわれは、参加諸国による輸出信用に関する調整のとれたガイドラインの採用を歓迎する。われわれは、これらのガイドラインが可及的速やかにかつできるだけ多数の国により採用することを希望する。

 持続的拡大というわれわれの目標を追求するにあたって、資本の流れは、資源の効率的配分を促進し、かつこれによりわれわれの経済的福祉を増進させる。従ってわれわれは、国際投資の流れに対する自由な環境が重要であることに合意する。これに関連しわれわれは、先週OECD閣僚理事会が開催された際発表された宣言を建設的な発展と考える。

 エネルギーの分野においては、われわれは、各種のエネルギー資源を開発し、節約し、かつ合理的に利用するため及び開発途上国のエネルギーに関する開発目的を支援するため、努力する意向である。

 我々は、国民の生活を改善せんとする開発途上国の願望を支持する。先進工業民主主義国は、開発途上国の努力について決定的な役割をになっている。両者間の協力は、相互の尊重に基づくものでなければならず、また全ての関係者の利益も考慮に入れ、非産的な対決をしりぞけ開発の問題の建設的解決を出すための持続的かつ協調的な努力に基づくものでなければならない。

 先進工業民主主義国は国際経済の効率的な運用を高める開発途上国の問題の健全な解決に同意しかつその実施に協力することにより、開発途上国がその願望をみたすことを最も有効に助けうる。密接な協力とよりよき協調が先進工業民主主義国間において必要である。我々の努力は、相互に支援的たるべきであって、競争的なものであってはならない。国際経済協力のための我々の努力は、開発途上国自身の持続的経済成長と生活水準の向上を志向する政策を補完するものと考えられるべきである。

 ランブイエにおいて先進国と開発途上国との間の協力関係の重要性が確認された。第7回国連特別総会において到達された合意についての作業の継続、なかんずくいくつかの開発途上国の国際収支問題を取り上げることについて特別の関心が払われた。その後実質的な進展が見られている。我々は、国際経済協力会議の枠組みの中で進められている作業に広くみられる建設的な精神並びにナイロビの第4回国連貿易開発会議におけるいくつかの分野で達成された成果を歓迎する。国際通貨基金においてとられた新たな措置は、開発途上国の輸出所得の安定及びそれら諸国の赤字の是正に大きく貢献した。

 我々は、先進国と開発途上国との対話が相互に利益のある分野において具体的な成果をもたらすことを期待しつつこれを最も重視するものである。また、我々は、成功を確保する政治的意思のもとに適当な場合には交渉を行うことをも含め、適切な機関におけるこの過程に参加するとの我々の決意を再確認する。我々の共通の目標は全ての国民の間の衡平かつ生産的な関係に寄与する実際的な解決を見出すことにある。

 
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