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7 オタワ サミット

宣  言(仮 訳)

1981年7月21日

  1.  われわれは、世界の経済進歩と平和に対する急激な変化と大きな挑戦の時期に会合した。われわれの会合はわれわれの共通の連帯の強さを強化した。経済問題がわれわれの共有するより広い政治目的を反映し、またそれに影響を及ぼすことをわれわれは自覚している。相互依存の世界において、われわれは、われわれ共通の目的とわれわれの追求する政策が他国に与える影響を考慮に入れる必要性についての認識を再確認した。われわれは、われわれ相互間、及び世界中のわれわれのパートナーとの間で、責任を分ち合うとの精神の下で、われわれの問題に取組む共同の決意と能力に確信を持つ。

経  済

  1.  今回の会合でわれわれが取組んだ主要な挑戦は、われわれの国民の必要に応え、世界の繁栄を強化するため、民主主義工業国の経済を再活性化する必要性であった。

  2.  ヴェネチア・サミット以降われわれの国の平均インフレ率は低下したが、その内4ヵ国においてインフレ率は依然として2桁である。多くの国において失業率は急激に上昇し、依然として上昇しつつある。これからの1年にゆるやかな成長が見込まれるが、現状において失業が早期に緩和する徴候はほとんどない。1979~80年の石油価格上昇に帰因する国際収支の大幅な赤字は、現在まで耐え難いほどの調整の負担を課すことなくファイナンスされてきたが、この赤字はしばらくの間続く可能性が強い。利子率は多くの国において記録的水準に達しており、もしかかる水準に長く維持されれば、生産的投資をおびやかすこととなろう。

  3.  インフレを低下させ失業を減少させる戦いがわれわれの最優先課題でなければならず、また、この互いに関連した問題は同時に取り組まれなければならない。雇用の持続的回復のもととなる投資の増大と持続的成長を確保するためには、われわれは、インフレを引き続き抑制していかなければならない。一連の政策手段をバランスのとれた形で用いることが必要である。われわれは、国民に変化の必要性を一層理解するようはからなければならない。即ち、成長及び所得についての期待の変化、労使関係及び慣行の変化、産業の形態の変化、投資の方向及び規模の変化、エネルギー使用及び供給の変化である。

  4.  われわれは、ほとんどの国において公的借入れを緊急に削減する必要がある。状況が許す場合、或いは予算上の制約の内でそのような変更が可能な場合には、われわれは、生産的投資及び技術革新に対する支援を増加する。われわれは、また、経済における市場の役割を受け入れなければならない。われわれは、変化を容易にするために必要な経過的措置が恒久的な保護措置ないし補助金となることを許してはならない。

  5.  われわれは、インフレ抑制にとり通貨供給量の伸びが低く、かつ安定的であることが緊要であると考える。金利はインフレ抑制を達成する上で一端を担うものであり、また、インフレの恐れが根強い場合には高水準にとどまるものと見られる。しかしながら、われわれは、一国における金利の水準及び動きが、他の諸国の為替相場及び経済に影響を及ぼすことにより、これら諸国の安定化政策をより困難なものとし得ることを十分認識している。これらの理由により、われわれのほとんどは、必要に応じ政府支出の制限を通じ財政赤字の抑制に依存する必要がある。また金利及び為替相場の不安定な動きを最小限にすることも極めて望ましい。外国為替相場及び金融市場のより一層の安定は世界経済の健全な発展にとり重要である。

  6.  資金の強い流れと大幅な国際収支赤字が見られる世界においては、国際銀行制度及び国際金融機関の財務上の健全さが十分に維持されることはすべての者の利益である。われわれは最近、国際通貨基金が必要とされる調整を助長する条件の下で国際収支赤字をファイナンスするに当っての役割を一層拡大したことを歓迎する。

  7.  われわれの長期的経済政策を策定するに当っては、地球の環境及び資源基盤を保全するよう配慮が払われなければならない。

開発途上国との関係

  1.  われわれは、開発途上国の安定、独立及び真の意味の非同盟を支持するとともに、相互依存の現実を認識して相互の利益、尊重及び恩恵の精神で開発途上国と協力するとのコミットメントを再確認する。

  2.  開発途上国が成長し、繁栄をとげ、国際経済体制においてその能力と責任に応じた十分な役割を果たし、その体制に一層緊密に一体化することは、開発途上国のみならず、われわれにとっても利益である。

  3.  われわれは、開発途上国との建設的かつ実質的な討議を期待し、カンクン・サミットが新たにわれわれの共通の問題を取り上げる早期の機会を提供するものと信ずる。

  4.  われわれは、適当な如何なる場においても開発途上国との協議及び協力のあらゆる方途を進んで探求する意向であることを再確認する。われわれは、意義ある進展が見込まれる状況の下で包括交渉の双方にとり受け入れ可能なプロセスのための準備に参画する用意がある。

  5.  大多数の中所得開発途上国の成長には力強いものがあるが、われわれは、多くの開発途上国における深刻な経済問題及びその中でも特に貧困国が直面する厳しい貧困を深く認識している。われわれは、開発途上国が、途上国自身の社会的価値と伝統の枠組みの中で、経済及び社会開発促進のために行う努力を引続き支援する用意がある。かかる用意は、開発途上国が成功を収める上で決定的重要性を有している。

  6.  われわれは、政府開発援助を十分な水準に、また多くの場合においてその水準の上昇を、維持することをコミットしており、この重要性に対する国民の理解を高めるよう努める。われわれは援助の主要部分を貧困国に向けるとともに、後発開発途上国国連会議に積極的に参加する。

  7.  われわれは、われわれ自身の経済を強化し、われわれの市場への進出機会を拡大し、また、資本の流れに対する障害を除去することが、より大きな量の所要の資金及び技術をもたらし、もって公的援助を補完するものである点を指摘する。民間資本の流れは、開発途上国自身が投資の保護と安全を保証する限り、更に促進される。

  8.  ソ連及びソ連圏諸国の貢献は貧弱であり、これらの国は、開発途上国の独立及び非同盟を尊重しつつ、より多くの開発援助を行い、また開発途上国の輸出のより多くの割合を引き受けるべきである。

  9.  我々は、国際金融機関に対する強いコミットメントを維持し、また、これらの機関がその重要な責任を遂行するための資金を保持し、効果的に使用することを確保するよう努める。

  10.  我々は、2回の石油ショックにともなう高いエネルギー輸入コストが非産油開発途上国にもたらした悪影響の結果生じている諸問題の解決に高い優先度を与える。我々は、黒字石油輸出国が非産油開発途上国の開発、特にエネルギー分野の開発をファイナンスする価値ある努力を拡大するよう要請する。我々は、この目的のためにこれらの黒字石油輸出国と協力し、パートナーシップの精神のもとに、世界銀行で検討されているような、これらの諸国の資金拠出の重要性を十分考慮に入れた可能なメカニズムを探求する用意がある。

  11.  我々は、開発途上諸国における食糧生産の一層の増大及び世界の食糧安全保障の強化の重要性、並びに開発途上国による健全な農業・食糧政策の遂行の必要性を認識する。我々は、これらの目的のために、より多くの資金を振向ける方法を検討する。我々はイタリア政府がローマに所在する国連専門機関と緊密な協力の下に行う予定の最貧国を主たる対象とするこの分野における特別行動についての提案を欧州共同体の中で討議する意向であることに留意する。

  12.  我々は世界の人口増加のもつ意味あいにつき深く懸念している。多くの開発途上国が人間の価値と尊厳に配慮した方法で、この問題と取り組むため、また技術及び経営能力を含め人造りを推進するため措置を講じている。我々は、これらの問題の重要性を認識し、これらの分野における国際的努力に一層の重要性を付与する。

貿  易

  1.  我々は、自由な貿易政策の維持及びガットに具現される開放された多角的貿易体制の効果的な運用に対する強いコミットメントを再確認する。

  2.  我々は、世界経済の変化に対する構造的適応を伴うであろうことを認識しつつ、全ての貿易国の利益のため、相協力してこの貿易体制の強化を図っていく。

  3.  我々は、多角的貿易交渉において合意された諸協定を実施するとともに、他の国、特に開発途上国に対し、相互に利益となるこれらの貿易協定への参加を招請する。

  4.  保護主義的措置は、それが公然とした、または目立たない貿易制限の形であろうと、あるいは衰退産業を支えるための補助金の形であろうと、我々の経済の活力を損うのみならず、時の経過とともにインフレと失業をも悪化させるとの認識に立ち、我々は引き続き保護主義圧力を排除していく。

  5.  我々は、1982年中にガット締約国団が閣僚レベルの会議を開催するとのガット18ヵ国協議グループの提案及び貿易問題を検討する、OECD研究計画にみられるOECD諸国の提案に示された新たなイニシアティブを歓迎する。

  6.  我々は、多角的貿易体制の円滑な機能において自らが果している役割を引き続き綿密にレヴューするが、それはガットに規定されるセーフガード措置がとられる余地を考慮しつつ、我々の市場を相互主義の精神のもとに最大限に開放することを確保するためである。

  7.  我々は、公的輸出信用制度における補助金的要素を減少することに関し、本年末までに合意に達成するための努力を支持する。

エネルギー

  1.  我々は、たゆまぬ努力を続ければ、我々がヴェネチアで設定した80年代におけるエネルギー目標は達成され、もってエネルギー経済の構造変化を通じて経済成長と石油消費とのリンクを断ち切ることが可能であると確信している。

  2.  我々の国がエネルギーについて未だに脆弱であり、その供給は経済成長の回復にとり依然潜在的な制約条件となっていることを認識しつつ、我々は全ての在来型及び新エネルギー源の開発及び利用を加速するとともに、エネルギー節約及び他の燃料による石油代替を引き続き促進する。

  3.  これらの目的のために、我々は、引き続き市場メカニズムに大幅に依存するが、これは必要に応じ政府の行動によって補完される。

  4.  我々の短期的な石油市場の問題への対応能力は、特に十分な水準の備蓄を保有することにより、改善されるべきである。

  5.  われわれの国のほとんどにおいて新規の原子力発電施設の建設の進捗状況は遅々としている。われわれは、われわれの各々の国において原子力エネルギーを国民一般が一層受け入れることとなるよう勧奨し安全性、健康、放射性廃棄物処理及び核不拡散に関する国民一般の懸念に対応する考えである。われわれは新型技術の開発、使用済燃料の処理については特に、一層の努力を払っていく。

  6.  われわれは、石炭の経済的生産、貿易及び利用がもつ潜在的能力を実現するための措置をとり、また石炭利用の増大が環境を損わないことを確保するため万全を尽くす。

  7.  われわれは、また、われわれが太陽熱、地熱及びバイオマス・エネルギーといった再生可能なエネルギー源を最大限に開発するようにする意向である。われわれは、来るべき新・再生可能エネルギー国連会議において、現実的成果が得られるよう努める。

  8.  われわれは、世界経済の利益のために、石油輸出国との理解及び協力が改善されることを期待している。

東西経済関係

  1.  われわれは、また、東西経済関係がわれわれの政治・安全保障上の利益に対して有する重要性をレヴューした。われわれは、東西経済関係においては、政治・経済上の利益と危険との間に複雑なバランスが存在することを認識した。われわれは、東西関係において、われわれの経済政策が、今後ともわれわれの政治・安全保障上の目的と適合することを確保するため、協議及び必要に応じ、調整を行う必要があるとの結論に達した。

  2.  われわれは、ソ連との戦略物資及び関連技術の貿易規制に関する現行制度を改善するため協議することとする。

結  論

  1.  われわれは、われわれの民主主議・自由社会は、われわれが直面する挑戦に十分対処し得るものであると確信している。われわれは、一体となって、そしてわれわれと行動する用意のある全ての国とともに、協力と和の精神に基づいて前進する。われわれは来年再び会合することに合意し、この会合をフランスにおいて開催するとのフランス共和国大統領の招請を受諾した。われわれは相互に緊密かつ継続的な協議と協力を維持する意向である。
 
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