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18 ミュンヘン サミット

経済宣言(仮 訳)
―成長とより安全な世界のために共に働く―

1992年7月8日

  1.  我々主要先進7ヵ国の元首及び首相並びに欧州共同体委員会委員長は、第18回年次サミットのため、ミュンヘンで会合した。

  2.  国際社会は、東西対立の重荷から解放され、新たな時代の入口にある。恒久的な平和の構築、人権尊重の保証、民主主義の諸原則の貫徹、自由経済の確保、貧困の克服及び環境の保護のために、これほど条件が整ったことは稀である。

  3.  我々は、パートナーシップの精神の下で行動することによって、いまある無比の機会をつかみとる決意である。抜本的変化にはリスクが伴うものの、我々は、人々の創造性、努力及び献身に、経済的及び社会的進歩の真の源泉としての信頼を置く。課題及び相互依存が地球的次元のものであることは、世界的な協力を要請する。かかる協力の一環としての緊密な政策協調は、いまやこれまでになく重要である。


世界経済

  1.  世界経済の力強い成長は、我々が冷戦後の世界において直面する様々な課題を解決するための前提条件である。世界経済の回復の兆しが強まっている。しかし、我々は、これを当然のこととせず、回復が力強さを増し成長が上向くことを確保するため協力して行動する。

  2.  失業している人々が多すぎる。人、工場及び資源の潜在的な力は、完全には活用されていない。我々は、失業が生み出す辛苦を特に懸念する。

  3.  我々は夫々、若干異なる経済状況に直面している。しかし、我々は皆、より力強いインフレなき持続可能な成長から大いに裨益する。

  4.  より高い成長は、他の諸国を手助けすることにもなる。成長は、貿易をもたらす。貿易の増加は、開発途上国、及び統制経済を世界市場における生産的な参加者へと転換させる努力を払っている新たな民主主義国家を後押しする。彼らの経済的成功は、我々共通の利益である。

  5.  ウルグァイ・ラウンドの成功は、世界経済の将来に対する重大な貢献となる。交渉の早期終結は、我々の経済を強化し、東欧における改革過程を促進し、特に開発途上国を含む他の国々の福祉にとって新たな機会をもたらす。

     我々は、昨年のロンドンの会合以来の交渉の遅い進展を遺憾に思う。しかし、この数カ月に進展があった。従って、我々は、均衡のとれた合意が手の届くところにあることを確信する。

     我々は、採択されて間もないECの共通農業政策の改革を歓迎するものであり、これは、他の残された問題の解決を促進するであろう。

     共通農業政策の改革と整合性がとれた形での内国支持の問題、補助付輸出の量への取組み、及び将来の紛争の回避に関し進展があった。これらの問題は一層の作業を必要とする。加えて、当事者は、市場アクセス及び穀物代替品の貿易の分野において依然として懸念を有しており、これらの分野に取り組もうと努めている。

     我々は、交渉は包括的に均衡のとれた結果をもたらすことを再確認する。合意は、物とサービスに対するより開かれた市場を作り出さなければならず、また、それは、全ての交渉パートナーからの同等の努力を必要とする。

     この基礎の上に、我々は、合意は1992年末より前に達成され得ると期待する。

  6.  我々は、協調的措置及び個別的措置を通じて、投資家、貯蓄家及び消費者の信任を築くことにコミットしている。それは、勤勉に働くことが生活の質の向上をもたらすことへの信任、投資が利益をもたらすことへの信任、及び、貯蓄が報酬をもたらし物価の安定が危険にさらされないことヘの信任である。

  7.  我々は、雇用と成長とを生み出すことを目指した政策をとることを誓約する。我々は、より力強い持続可能な成長を促進するための健全なマクロ経済政策を確立するため、各々の状況を認識しつつ、適切な措置をとるよう努力する。これを念頭に置き、我々は、以下の指針に合意した。

    • インフレを再燃させることなく景気の上向きを支えるため、引続き健全な金融及び財政政策を追求すること。
    • 過剰な財政赤字の削減、及び貯蓄の促進を通じ、金利の低下の余地を作り出すこと。
    • とりわけ公的支出を制限することによって過剰な財政赤字を抑制すること。納税者の資金は、一層経済的かつ効果的に活用されるべきである。
    • 環境上健全な消費と生産とを促す市場インセンティブ及び技術革新を奨励することにより、我々の環境面の目標と成長の目標とをより密接に統合すること。

     我々の政策の結果としてインフレの危険性が後退するにつれ、金利が低下することは、益々可能となる。これは、新たな投資、そしてそれによるより力強い成長及び雇用の増大を促進することを手助けする。

  8.  しかし、良好なマクロ経済政策では十分ではない。我々の経済は全て、潜在成長率を制約する構造的な硬直性により重荷を課せられている。我々は、競争を奨励する必要がある。我々は、民間のイニシアティブにとってより良好な環境を整備する必要がある。我々は、技術革新、企業活動及び創造性を抑圧する過剰な規制を削減する必要がある。我々は、より良い訓練、教育、及び高められた流動性を通じ、雇用機会を拡充する。我々は、インフラストラクチャーの改善、及び研究・開発への一層の注意を通じ、長期的な成長のための基礎を強化する。我々は、市場経済への移行過程にある新たな民主主義国家に対し、この種の改革を求めている。我々は、自らに対し、より少なきを求めることはできない。

  9.  経済・金融政策の協調は、インフレなき持続的成長のための我々の共通戦略において、中心的な要素である。我々は、我々の大蔵大臣に対し、我々が合意した指針に基づいて協力を強化し、また成長への障害を削減する作業を強化し、それによって雇用を促進することを要請する。我々は、彼らが1993年の日本での会合に報告を行うことを要請する。


国連環境開発会議(UNCED)

  1.  地球サミットは、地球環境の課題に対する意識を高める上で、また、開発と環境とに関する世界的なパートナーシップを形成する過程に対し新たな弾みを与える上で画期的であった。気候変動に対する我々のコミットメントを遂行し、森林と海洋とを保護し、海洋資源を保全し、また生物的多様性を維持するため、迅速かつ具体的な行動が求められている。従って、我々は、先進国及び開発途上国の全ての国に対し、政策と資源とを、現在及び将来双方の世代の利益を保護する持続可能な開発に向けるよう求める。

  2.  リオ会議のモメンタムを持続させるため、我々は、他の国々が我々とともに以下の行動をとることを要請する。

    • 1993年末までに気候変動条約を批准するよう努力すること。
    • UNCEDにおいて見通されたように、1993年末までに国の行動計画を策定し公表すること。
    • 種及びそれらが依存する棲息環境を保護するよう努めること。
    • 特に国際開発協会(IDA)への増資を通じた政府開発援助(ODA)による持続可能な開発のため、及び、地球環境基金(GEF)が恒常的な資金供給メカニズムとして確立されることを目的とする同基金を通じた世界的に利益をもたらす措置のため、開発途上国に対し追加的な資金的及び技術的支援を供与すること。
    • 1992年国連総会において、アジェンダ21の実施をモニターする上で重要な役割を果たす「持続可能な開発委員会」を設置すること。
    • 森林に関する諸原則のための国際的な審査プロセスを確立すること、これら原則の実施を基礎に、可能な国際的に合意された適切な取極について早期に対話を行うこと、及び国際的な支援を拡大すること。
    • 宇宙衛星及び他の地球観測プログラムからのデータのより有効な活用等を通じた。地球環境のモニタリングを一層改善すること。
    • 革新的技術に関するプログラムのための提案を含む、エネルギー・環境技術の開発及び普及を促進すること。
    • 可能な限り早期に、200海里内と公海とにまたがる漁業資源、及び高度回遊性魚種に関する国際会議が招集されることを確保すること。


開発途上国

  1.  我々は、多くの開発途上国、特に東アジア及び東南アジア、またラテン・アメリカや、アフリカの一部においても示された、経済的及び政治的進展を歓迎する。しかし、世界の多くの国は、依然として貧困と闘っている。とりわけサハラ以南アフリカは、懸念材料である。

  2.  我々は、共有された責任、及び基本的な政治・経済の諸原則に関して広まりつつある意見の一致に基礎を置く、対話とパートナーシップにコミットしている。人口増加や環境といった地球的な課題は、全ての国による協力的な努力を通じてのみ取り組むことができる。国連システムの経済・社会部門を改革することは、この目的のための重要な一歩となる。

  3.  我々は、良い統治の諸原則が益々受け入れられつつあることを歓迎する。経済的及び社会的進歩は、各国が自らの潜在力を活用し、国民の全ての層が関与し、人権が尊重される場合にのみ確保され得る。開発途上国間の地域協力は、開発を促進し、また、安定、平和的関係、及び武器支出の削減に貢献し得る。

  4.  先進国は、健全な世界経済に対する特別な責任を有する。我々は、我々の政策が開発途上国に与える影響を考慮する。我々は、我々のコミットメントに沿ってODAの量及び質を拡充するため引続き最善の努力を払う。我々は、ODAを一層最貧国に向ける。貧困、人口政策、教育、保健、女性の役割、及び児童の福祉は、特別の注意に値する。我々は、特に、信頼し得る自助努力を行う国を支持する。より成功している開発途上国は、国際的支援に対し貢献することが求められる。

  5.  我々は、開発途上国にとって、貿易、海外直接投資及び活発な民間部門が重要であることを強調する。貧しい開発途上国に対しては、特に製品分野における一層多様化された輸出基盤を確立するための技術的支援が提供されるべきである。

  6.  IDAの相当規模の増資に関する交渉は1992年末より前に終結されるべきである。国際通貨基金(IMF)は、最貧国に対し、改革プログラムを支援するための譲許的資金供与を継続すべきである。我々は、IMFによる、拡大構造調整ファシリティー(ESAF)の1年間の延長に関するIMFの早期の決定、及びその後の期間に関する同ファシリティーの更新を含む選択肢についての十分な検討を要請する。

  7.  我々は、南部アフリカにおける前例のない干ばつを深く憂慮する。干ばつアピールの目標は、3分の2が達成された。しかし、依然としてなすべきことが多く残っている。我々は、全ての国に対し支援を求める。

  8.  我々は、多くの開発途上国が、債務問題の克服及び信用力の回復に関し達成した進展を歓迎する。これまでのサミットにおけるイニシアティブは、これに貢献した。にもかかわらず、多くの開発途上国は、依然として困難な状況にある。

  9.  我々は、国際債務戦略の有効性を確認する。我々は、パリ・クラブによる最貧国に対する強化された債務救済を歓迎する。我々は、パリ・クラブが、一定の条件の下で、3年あるいは4年の期間の後に、調整を行う用意のある最貧国のための債務ストック・アプローチを検討することに合意していることに留意し、また、いくつかの重債務・低中所得国の特別な状況をケース・バイ・ケースで認識することを奨励する。我々は、環境保護のための債務転換を含む自発的債務転換の一層の活用を大いに重視する。


中・東欧

  1.  我々は、バルト諸国を合む中・東欧における民主主義国家(以下「中・東欧諸国」)の政治・経済改革及び世界経済への統合に向けた進展を歓迎する。改革は、強力に追求されなければならない。これら諸国の国民には、大きな努力、そして犠牲すらをも払うことが依然として求められている。彼らは、我々の継続的支援を得る。

  2.  我々は、中・東欧諸国における改革を支える、多国間及び二国間の相当規模の支援を歓迎する。欧州復興開発銀行(EBRD)による資金供与は、有用な役割を果たしている。1989年以降、G-24及び国際金融機関による贈与、融資及び信用保証の形態での支援及びコミットメントの総額は、520億ドルにのぼる。我々は、G-24が調整活動を継続し、改革を行っている各国の要請にその活動を適合させるよう呼び掛ける。我々は、相応の貢献を行う用意があることを再確認する。

  3.  我々は、IMFプログラムに関する合意を受けて、通貨安定化基金の資金を、既存の取極に基づいて、特に企業の競争力を強化することによるポーランドの市場改革努力を支援する新たな使途に振り向けるため、ポーランドと協働するとの考え方を支持する。

  4.  先進国は、中・東欧諸国の改革努力が成功することを確保するために、これら諸国に対し相当程度の貿易上の譲許を与えた。しかし、全ての国は、市場を一層開放すべきである。これら諸国との自由貿易地域創設を目指したEC及びEFTAの合意は、大きな貢献である。我々は、中・東欧諸国に対し、その輸出能力を増強する上での技術的支援を引続き提供する。

  5.  我々は、全ての中・東欧諸国が、相互間の、また旧ソ連邦の新独立国家との間の経済関係を発展させること、及び、より広く、市場指向に基づきかつガットの原則に合致した経済関係を発展させることを求める。この方向への一歩として、我々は、チェコ・スロヴァキア、ポーランド及びハンガリーの間の特別な協力を歓迎し、これら諸国間で自由貿易が早急に可能となることを期待する。

  6.  外国からの投資は、歓迎されるべきである。これは、中・東欧諸国の経済的潜在力を完全に開発するために重要である。我々は、中・東欧諸国に対し、民間資本にとって魅力的かつ信頼し得る投資環境の整備に政策の焦点を当てるよう求める。債務返済を含み、これらの環境が整った際には、我々は、外国投資を促進するために二国間の信用、保険及び保証の手段を供与する。我々は、先進国の企業に対し、中・東欧諸国における投資機会を利用するよう要請する。


旧ソ連邦の新独立国家

  1.  旧ソ連邦における広範を変化は、世界をよりよい場所にするための歴史的な機会を提供する。すなわち、それは、より安全な、より民主主義的な、より繁栄した場所である。エリツィン大統領の指導の下で、ロシア政府は、困難な改革過程に乗り出した。我々は、これらの改革を支える我々の協力について討議するために彼と会うことを待望する。我々は、改革を追求している全ての新国家の指導者と協働する用意がある。成功は、国際社会の利益である。

  2.  我々は、移行が、辛い調整を伴うことを承知している。我々は、新国家に、自助努力に対する支援を提供する。我々の協力は、包括的なものとなり、また、彼らの改革の進捗、並びに、軍事支出の一層の削減、及び既に約された義務の履行を含む国際的に責任ある行動に合せたものとなる。

  3.  我々は、新国家が、とりわけ財政赤字及びインフレを抑え込むことにより、健全な経済政策を採ることを奨励する。IMFと協働することは、この作業に経験をもたらし、払われている努力に対して信頼性を付与することができる。マクロ経済の安定化は、遅れるべきではない。それは、私有化、土地改革、投資と競争との促進措置、及び国民のための適切な社会的セーフガードを通じ、市場経済の基礎が同時に併せて整備されてはじめて成功する。

  4.  信用力及び信頼し得る法的枠組みを確立することは、民間投資家を引きつけるには不可欠である。新国家の信用力は、特に、彼らの債務履行の態様によって評価される。

  5.  民間資本及び企業家的なコミットメントは、経済再建において決定的かつ益々大きな役割を果たさなければならない。我々は、新国家に対し、効率的な民間事業部門、特に市場経済に不可欠な中・小規模の民間会社の層を発展させることを要請する。

  6.  急速な進捗は、2つの部門において特に緊急かつ達成可能である。それは、農業及びエネルギーである。これらの部門は、供給状況の改善及び外貨収入の増加において決定的に重要である。我々の国の貿易・産業界は、協力する用意がある。投資に対する障壁が依然として残っているため、貴重な時間が既に失われた。エネルギーに関し、我々は、生産を促進し供給の安全保障を確保するための欧州エネルギー憲章の重要性につき留意する。我々は、準備作業の早急な終了を求める。

  7.  全てのサミット参加国は、広範な食糧援助、信用及び医療支援を供与することにより危機的な状況の中で連帯を示した。彼らはまた、技術的支援にコミットした。新国家が自らの潜在力を実現することを助けるには、新国家へのノウ・ハウ及び経験の広範な流入が必要である。民間及び公的部門の双方がこれに貢献できる。何よりも必要であるのは、現場における具体的な助言、及び実際的な支援である。模範例としての価値、あるいは改革過程にとっての戦略的重要性の観点から選ばれたプロジェクトに重点が置かれるべきである。法人レベルでのパートナーシップ及びマネージメント支援は、特に効果的であり得る。

  8.  我々は、新国家の産品に対し、国際市場を一層開放する必要性を強調する。新国家との貿易には最恵国待遇が適用されるべきであり、また、一層の特恵的取扱いが検討されるべきである。新国家は、彼らの間の貿易に対する障壁を設けることにより再建を阻害すべきではない。経済及び金融政策において協力することは、彼ら自身の利益である。

  9.  我々は、新国家が高度に発達した科学技術能力を保持し、これを経済の構築に活用することを手助けしたい。我々は、先進国の産業界及び科学界に対し、新国家との協力及び交流の推進を呼び掛ける。国際科学技術センターを設立することにより、我々は、大量破壊兵器製造における機微な知識を有する科学者及び技術者の専門知識を、平和目的のために方向転換することを助けている。我々は、高資格の民間科学者が新国家に留まることを可能にすること、及び西側先進国との研究協力を促進することに引続き努力する。

  10.  我々は、新国家の国際金融機関への加盟を歓迎する。これは、彼らが、これらの機関と協力して経済改革プログラムを策定し、この基盤の上でこれらの機関の相当規模の資金を利用することを可能とする。これら資金の引出しは、改革の実施の進捗状況に関連づけられるべきである。

  11.  我々は、ロシア政府とIMFとの間の協力の段階的戦略を支持する。これは、IMFが、ロシアと包括的な改革プログラムについて引続き交渉する一方で、最も緊急な安定化措置を支援する第1クレジット・トランシュを今後数週間のうちに実行することを可能とする。これは、4月に表明された240億ドルの支援パッケージの完全な利用に道を開くことを可能とする。このうちルーブル安定化基金のためにイヤマークされている60億ドルは、必要なマクロ経済の条件が整った場合に利用可能となる。

  12.  我々は、新国家、国際機関及び、パートナー諸国の間における緊密な協力を強化するために、必要な場合には、国別協議グループが新国家のために設置されるべきであると提案する。これらのグループの課題は、構造改革を奨励し、技術的支援を調整することである。


旧ソ連邦の新独立国家及び中・東欧における原子力発電所の安全性

  1.  我々は、世界のエネルギー供給において原子力発電が果たす重要な役割を認識するが、ソ連型の原子力発電所の安全性は、重大な懸念材料である。各国は夫々、その安全規制当局及び発電所の運転員を通じ、原子力発電所の安全性に責任を有している。該当する旧ソ連邦の新国家、及び中・東欧諸国は、この危険を除去することに高い優先度を付与しなければならない。これらの努力は、エネルギー部門の開発に対する民間の資金供与を奨励するような市場指向的なエネルギー政策改革の一部であるべきである。

  2.  これらの発電所の安全性を高めるために特別な努力が払われるべきである。我々は、該当する国に対する支援を、多国間の行動計画の枠組みの中で提供する。我々は、これらの国が十分に協力することを期待する。我々は、関心を有する他の国に対しても、貢献することを要請する。

  3.  行動計画は、以下の分野における即時的措置を含むべきである。

    • 運転上の安全性改善。
    • 安全性評価に基づく短期の技術的改善。
    • 規制制度の強化。

     これらの措置によって、早期かつ大幅な安全面での利益を得ることができる。

  4.  以上に加え、行動計画は、以下の点の検討によって、より長期的な安全性向上のための基礎を築く。

    • 代替エネルギー源の開発及びより効率的なエネルギー利用によって、より安全性の低い発電所を置き換える余地。
    • より新しい型の発電所の改修の可能性。

     これらを補完するものとして、我々は、原子力の安全性に関する条約の早期締結を追求する。

  5.  行動計画は、明確な優先順位を設定し、諸措置に一貫性を与え、その可及的早期の実施を確保すべきである。即時的措置を実施するために、原子力の安全性に関するG-24の既存の調整権限は、該当する旧ソ連邦の新国家に拡大されるべきであり、同時に、一層効果的なものにされるべきである。我々は皆、二国間支援を強化する用意がある。

     以上に加え、我々は、二国間のプログラムにより手当てされない、運転上の安全性及び技術上の安全性に関する即時的な改善措置に取り組むための補足的な多国間のメカニズムを、適当な場合には、設置することを支持する。我々は、国際社会に対し、そのための資金拠出に貢献することを要請する。その基金は、二国間の資金供給に考慮を払い、拠出国からなる運営機関により全会一致に基づき管理され、G-24及びEBRDと調整され、またそれらにより支援される。

  6.  より新しい型の原子力発電所の改修に関する決定は、発電所の安全性、エネルギー政策、代替エネルギー源及び資金供与に関する問題の事前の明確化を必要とする。このような決定が行われ得るための適切な基礎を確立するために、我々は、以下の措置が必要と考える。

    • 安全性に関する必要な調査報告が遅滞なく提出されるべきである。
    • 関係国際機関、特に国際エネルギー機関(IEA)とともに、世界銀行は、代替エネルギー源及びそのコスト面での影響を含めたエネルギーに関する必要な調査報告を作成すべきである。これらの調査報告に基づき、世界銀行及びEBRDは、潜在的な財政上の要請に関し、可及的速やかに報告を行うべきである。

  7.  我々は、1993年の会合においてこの行動計画の進捗状況を審査する。

  8.  我々は、様々な元首び首相、並びに機関から寄せられた意見に留意し、関心をもってそれを検討する。


次回会合

  1.  我々は、宮澤首相よりの、1993年7月における東京への招待を歓迎し受諾した。
 
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