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リヨン・サミット
(経済問題の概要と評価)



平成8年6月28日
外 務 省


1.全般的評価

(1)
 今回で4巡目に入ったサミットは、冷戦構造が終焉し、「グローバル化」(経済の国際化に伴う競争と変革の激化)が急速に進展し、国際社会が構造的変革を遂げる中で、G7首脳が21世紀に向けての新たな国際秩序構築につき展望を示す重要かつ建設的な会合であった。今次サミットの主要テーマとなった「グローバル化」への取り組みぶりは、首脳が政治家として大所高所から議論するにふさわしい重要な問題であり、今次サミットを通じて具体的な問題意識と対応ぶりについての方向性が打ち出されたことは有益であった。

(2)
 今次サミットでは、「グローバル化」の恩恵に必ずしも十分浴していない開発途上国を念頭に、開発問題が大きく取り上げられたが、我が国が従来から主張してきた先進国と開発途上国の間の「新しいグローバル・パートナーシップ」に基づく成果重視の開発目標の設定を含む開発戦略が打ち出されたことは有意義であった。

(3)
 経済政策協調については、現下の世界経済状況を踏まえ、各国がマクロ政策と構造改革を推進することを通じて、インフレなき持続的成長と雇用拡大を図ることが確認された。また、貿易問題については、多角的自由貿易体制を維持・強化することの重要性が再確認された。

(4)
 橋本総理は議論に積極的に参加し、アジア太平洋の視点を議論に反映させつつ、開発、国連改革、雇用等についての我が国の貢献策を説明し、各国の支持を得た。



2.主要な討議事項

(1)雇用と成長(マクロ経済)
 世界経済は総じて上向いているが、多くの国で依然として失業問題は深刻であり、雇用問題に対して高い関心が示された。雇用創出のため、インフレなき持続的成長が重要であり、また、構造改革を通じて成長が雇用の拡大につながる経済構造を確保することの重要性が確認された。 更に、規制緩和を通じた市場の柔軟性の向上、教育、職業訓練の強化など人的資源への投資の重要性が指摘された。

(2)国際金融体制
 橋本総理より、為替安定に向けての先進国間の協力、新興市場国の国際金融市場への統合に伴う問題、新しい金融経路の拡大や、新しい金融技術の発展への対応に伴う問題につき冒頭発言を行った。また、昨年のメキシコ金融危機、ドル相場の大幅な変動などを踏まえ、各国の金融情勢のサーベイランスの強化、資本市場の監督改善等の金融危機防止策や、国際金融機関の機能強化等が歓迎された。
 重債務貧困国への対応については、20億ドルを上限としてコミットするとの世界銀行提案を含め、国際機関による債務救済策を歓迎したが、これらの国々が直面する最も困難な問題への対応の糸口がつかめたことは大きな意義。

(3)貿易・投資
 ウルグアイ・ラウンド合意の完全実施の重要性を確認するとともに、サービス分野の継続交渉、さらなる自由化や、新たな課題への積極的取り組みに向けた強い決意が表明された。また、WTOのルール及びOECDのコードに反する貿易、投資措置の実施の回避、並びに適用可能な協議及び紛争処理規程の遵守により、多角的体制の信認及び信頼性の強化に取り組むことが合意された。さらに、投資については、OECDで交渉中の多角的投資協定を来年のOECD閣僚理で合意することに向けて決意が表明されるとともに、貿易と労働基準については、貿易と国際的に認知されたコア労働基準の関係の問題につき取り組むとの意思があることも認識された。

(4)開発
 途上国の開発のための先進国、途上国、関連国際機関による「新たなグローバル・パートナーシップ」の確立が合意された。このパートナーシップの下で、途上国側が責任ある政策を遂行することを求めるとともに、先進国側は途上国に対する相当量の資金の流れを確保すること等を通じ、途上国の自助努力を支援することが確認された。
 また、我が国はかかるパートナーシップに基づき、先進国と途上国が効果的に協力していくため、貧困削減、乳幼児・妊産婦死亡率削減等の達成すべき成果に着目した開発目標の設定を提唱してきたが、今回右考え方が、各国の支持を得て宣言に盛り込まれた。

(5)国連改革
 機能強化のための改革や、活動の一層の効率化のために、開発部局の統合等の具体的方策が提案された。我が国が提唱した、合理化により得られる節約資金を開発事業へ再投資する考え方も支持された。

(6)移行国の国際経済への統合
 ロシアの政治改革と民主主義へのコミットメントを支持するとともに、経済改革と政治改革は相互に補強し合うものであり、ロシアを世界経済で一層重要な役割を果たしうる立場におくことになるとの考えが示された。


3.我が国の主張

 我が国が重視する以下のような点につき考え方を表明し、各国の支持を得た。

(1)開発
 我が国は、先進国と途上国が開発のために協力する「新たなグローバル・パートナーシップ」の構築を提唱、その具体化のため、貧困削減、初等教育の普遍化、乳幼児・妊産婦死亡率削減等の達成すべき成果に焦点をあてた開発目標を提唱。

(2)国連改革
 我が国は、国際機関の改革が予算の削減自体を目的とするものであってはならず、国連の開発活動の強化につながるような改革を実施すべきであるとの考えの下、改革によって得られる節約経費を途上国の開発に再投資するとの考えを提唱し、宣言にも反映された。

(3)雇用
 雇用問題につき掘り下げた議論を行うため、若年者・高齢者の失業に焦点をあてた雇用会合を明年本邦で開催することを提唱。

(4)貿易・投資
 中国がWTOに基づく多角的自由貿易体制に早期に参加することが重要との観点から、その早期加盟実現に向けて知的支援や中国との対話の促進等の努力を行う。
 貿易と環境の問題について、WTOの作業において、多国間環境協定に基づく環境保護のための貿易制限措置とWTO協定を両立させるためのガイドラインの提案を行っている。また、貿易と投資に関して、途上国との対話を強化すべく、9月に官民での投資シンポジウムを開催する予定。




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