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リヨン・サミット政治及び地球規模問題
(概要と評価)



平成8年6月29日
外 務 省



 今次サミットにおいては、6月27日夕から行われたG7の首脳及び外相の協議に続き、28日夕の会合より、ロシアを交え、地球規模の問題及び政治問題が協議され、その結果が29日午前議長声明として発表された。

I.今次サミットの全般的評価
1.
議長声明の副題は、「協力を深める世界における一層の安全と安定を目指して」。「グローバル化」が進展し、国際的な相互依存関係が深まる中で、サミット参加国が国際社会でも大きな影響力を有する主要国として、軍縮・不拡散、テロ、国際犯罪、環境等の地球規模の問題や地域紛争等の課題に如何に対処し、安全と安定の確保のための国際システムを如何に構築していくかを協議した。

2.
今回は、地球規模の問題がこれまで以上に取り上げられ、政治的分野では、国連改革や軍縮・不拡散、社会経済分野では人権、環境等幅広く議論された。また、ハリファックス・サミットのフォローアップの面でも実務的な協力の成果として、着実に「相互依存」を実感させる方向性が出てきている。

3.
地域問題に関しては、その帰趨が国際社会全体の安全と安定確保の枠組みに影響を及ぼし得るような問題、及び状況が大きく変化している地域が中心に取り上げられ、(1)ボスニア、(2)中東、(3)朝鮮半島、(4)ロシアが主たる討議の対象となった。

4.
採択された文書もこのような特徴を反映しており、議長声明は、まず、現在の国際秩序に対する取り組みについての一般的な認識を示した後、地球規模問題を取り上げ、次に主要な地域情勢を扱うという構成になっている。更に現段階の主要な関心事項であるボスニアとテロに関しては、それぞれ独立の文書が採択された。

5.
討議及び成果は、政治的な判断に基づく主要問題についての討議、及び、準備過程を通じて積み上げた実務的な事項についての成果の2つの側面を有するものとなった。



II.地域問題

 上記の通り、地域問題に関する議論はボスニア、ロシア、中東、朝鮮半島等限定された数の主要な問題に集中して行われた。

1.ロシア
 今次サミットがロシアの大統領選挙の第一回目と第二回目の投票の間に開催されたこともあり、サミットにおけるロシア問題の取り扱いが注目された。エリツィン大統領は大統領選挙の準備のため出席できなかったが、チェルノムイルジン首相が代理で出席し、G7側からは、ロシアの政治・経済両面における改革路線の継続に対する期待と支持が伝えられた。
 今回、ロシアは政治問題に加えて、従来以上に地球規模問題についての討議にも参加することとなった。他方、G7が行うマクロ経済マネジメント等経済政策協調の側面には、ロシアとして未だ参加する状況にないことも認識され、ロシアとのサミットにおける協力関係は強化される一方で、未だ「G7+1」の構成は維持されている。

2.ボスニア
 ボスニア問題に関しては、特に、民生面での和平プロセスの推進の方途に各国の関心が集まり、秋に予定されている選挙及び復興支援が議論の焦点となった。これらの面で、具体的な行動を盛り込んだ「ボスニア・ヘルツェゴヴィナに関する決定」が採択されたことは、和平プロセスに大きな弾みを与えるものであり、今次サミットの主要な成果の一つである。なお、28日の非公式夕食会にはブトロス・ガーリ国連事務総長とカール・ビルト・ボスニア和平履行評議会(PIC)上級代表が招かれ、国連改革とボスニア問題について議論が行われた。

3.中東和平
 度重なるテロ事件による和平交渉の中断や最近のイスラエルにおける選挙の結果、中東和平プロセスの行方に関心が集まる中開催された今次サミットでは、和平プロセス継続の重要性と関係国の自制に対する明確なメッセージが発出された他、アラブ・イスラエル間の和平努力の基礎となる「平和と領土の交換の原則」等も再確認された。

4.朝鮮半島
 ボスニアや中東の問題と同様に、朝鮮半島の平和と安定は全世界の平和と安定の枠組と密接な関係を持つとの認識が参加国間で共有され、北朝鮮に韓国との対話を呼びかけた他、韓米による4者会合提案への支持を表明した。また、KEDOについても欧州諸国の一層の支援を要請し、議長声明には、これら諸要素が盛り込まれている。


III.地球規模問題

1.テロ
 25日夜、サウディ・アラビアにおいて米軍施設の爆破事件が発生し、多数の死傷者を生じたこともあり、テロ問題に対する参加各国の関心が高まり、初日の首脳夕食会において、「テロリズムに関する宣言」が急遽発出された。同宣言は、あらゆる形態及び主張のテロを非難するとともに、国際協力の強化を誓い、7月にパリにおいて閣僚会合を開催することを決定した。我が国は、テロ対策に関して、先進国と途上国の双方が参加し、協力を進めるためのセミナーの開催を提案した。 

2.軍縮・不拡散(CTBT、地雷)
 ジュネーヴの軍縮会議におけるCTBT(包括的核実験禁止条約)交渉が重要な局面を迎えたこともあり、議長声明では、核不拡散・核軍縮の文脈におけるCTBTの重要性が強調され、9月までの署名及びCTBT発効までの間の核兵器国による核実験の最大限の抑制等が謳われた。
 通常兵器分野では、特に、対人地雷の規制等に関して前向きに取り組む決意が示されたが、我が国としても、地雷の探知、除去、犠牲者のリハビリ支援等の国際協力の強化を訴え、国連の地雷除去作業等への国際的な支援を強化するための国際会議を明年の早い時期に開催することを提案し、各国の支持を得た。また、規制に関して、対人地雷の国際的な全面禁止に向けた努力を積極的に支持すること及び地雷の使用等に関する一連の自主的措置を講じることを決定した旨発表した。

3.国連改革
 21世紀に向け国連の役割が増大しているとの認識の下、議長声明では、平和と安全、経済・社会、財政のそれぞれの分野において、国連の機能強化の重要性が謳われた。また、特に、補充部隊制度や緊急展開司令部制度等を通じた国連の平和維持活動の強化の重要性につき合意があった。なお、28日の非公式外相夕食会には、ブトロス・ガーリ国連事務総長が招かれ、国連の機能強化の方策等について意見が交換された。

4.環境
 来年は地球サミット後5年目にあたる節目の年であり、国連環境特別総会が予定される等種々の分野で前進が図られるべきであることが確認された。我が国が招請中の気候変動枠組条約の第3回締約国会合の成功の重要性も謳われた。

5.その他
 人権、国際組織犯罪、原子力安全、感染症等その他の地球規模の課題についても意見交換が行われ、議長声明では、これらの問題への対処のための国際協力の重要性が謳われた。


VI.我が国の観点

1.
サミットは、我が国にとって、首脳レベルで主要国と話し合い、政策協調を行う貴重な場である。今次サミットで主要な議題の一部となったボスニア、中東等の問題は、我が国にとって必ずしも身近な問題とは言えないが、いずれも冷戦後の国際的な枠組みの構築や石油資源の確保に関わる重要な問題であり、我が国として、これまでも、PICや中東和平に関する多国間協議等の枠組に積極的に参加してきた。今次サミットにおいても、これまでの実績の上に討議に参加し、参加各国から評価を受けたことは、最近の我が国の国際的役割を反映したものと言えよう。

2.
また、我が国は、アジア太平洋地域の問題に対しても、他のサミット参加 国の関心を促し、アジア太平洋における地域協力の進展や意義を説明し、また、朝鮮半島の問題についてもその安全保障上の意味を含め説明した。



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