(1) | インフレ率及び金利を低下させるため、並びに通貨供給量の伸びを管理し必要な場合には財政赤字を削減するための諸政策を引き続きとり、必要な場合にはこれを強化すること。 |
(2) | 次の諸施策によって、新たな雇用の創出に対する障害の削減に努めること。
- 進取の精神に富んだ中小企業を含め、需要及び技術変化に対応した産業とサービスの発展を促進すること。
- 労働市場の効率的な作用を促進すること。
- 職業訓練の改善及び普及を促進すること。
- 就業時間のパターンの柔軟化を促進すること。
- 老朽化していく生産設備及び技術を温存する措置を手控えさせること。
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(3) | 経済の変化がどのような原因から生じ、如何なる形態をとるかについての理解の増大並びに経済効率の向上と成長の増進とりわけ、技術革新の促進、技術変化を社会が一層広く受け入れるようにする努力、基準の統一化及び労働力、資本の移動の促進によるものに関し、OECDをはじめとする適当な国際機関における作業を支持し強化すること。
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(4) | 政府開発援助及び国際開発金融機関を通じる援助を含め、開発途上国、就中最貧国に対する資金の流れを維持し、可能な限りこれを増加すること。民間投資に対する開発途上国の門戸が一層開かれることを促進すべくこれら諸国と協力すること。並びにこれら諸国において資源を節約し食糧及びエネルギーの国内生産を高めるための実際的措置を奨励すること。我々の一部は、一次産品共通基金の発足をも希望している。
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(5) | 関係諸国との協力の精神に基づいて、債務問題についての戦略を確認し、これを引き続き柔軟性をもってケース・バイ・ケースに実施し発展させること。我々はこれまでの進展を顧みて、以下の点に特別の重要性を置く。
- 政治的及び社会的諸困難に然るべき配慮をしつつ、債務国が所要の経済及び財政金融政策の変更を行うことを支援すること。
- IMFは、これまで債務問題の処理に適切に対応してきたが、この過程におけるIMFの中心的役割を促進すること。
- IMFとIBRD(国際復興開発銀行)の間の一層緊密な協力を促進し、中・長期に亘る開発を促進するに当ってのIBRDの役割を強化すること。
- 債務国が自国の状況を改善するために成果のある努力を自ら払っている場合には、民間債務のより多年度にわたる繰り延べを奨励し、又、適切な場合には、政府及び政府機関に対する債務に関しても同様に交渉を行う用意をもって臨むこと。
- 長期直接投資の流れを促進すること。先進諸国が開発途上国の輸出に対してその市場を一層開放することが必要であるのと同様に、開発途上国の側においても先進国からの投資を促進することによって自らの状況を改善することができる。
- 短期銀行貸付を、より安定かつ長期的な直接及び証券投資により代替させることを促進すること。
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(6) | 各国大蔵大臣に対し、為替レート、監視(サーベイランス)、国際流動性の創出、管理及び配分並びにIMFの役割を含む国際通貨制度の運用を改善するための方途に関する現行の作業を緊急かつ徹底的に推進するよう求めるとともに、早い時期におけるIMF暫定委員会の会合において討議すべく、1985年の前半に現段階の作業を完了すること。特別引出権(SDR)の新規配分の問題については、1984年9月にIMF暫定委員会により再検討される。
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(7) | ヴェルサイユ及びウイリアムズバーグにおいて合意したところの、低いインフレと高い成長へ向けての経済情勢の調和の多角的監視(モニター及びサーベイランス)手続を進めること。
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(8) | 主要諸国における節度ある政策、国際金融機関に対する十分な資金の流れの供給、及び先進国の資本市場への国際的なアクセスの改善により、国際金融制度の運用と安定性の改善に努めること。
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(9) | 先進国、開発途上国を問わずすべての貿易国に対し、依然として続いている保護主義圧力を排除し、貿易障壁を削減し、製品、一次産品及びサービスの国際貿易の自由化及び拡大のためあらためて努力することを呼びかけること。
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(10) | 他の貿易国と協力して、現行の貿易自由化プログラム、就中1982年ガット作業計画の完了を急ぐこと。国際機関におけるサービス貿易に関する作業を前進させること。先進国、開発途上国を問わず、すべての経済にとっての相互の利益のために、多角的貿易交渉の新ラウンドが開放された多角的な貿易体制の強化のために重要な貢献を行うことにつき1984年5月のOECD閣僚理事会で得られた合意を再確認すること。並びに、1982年のガット作業計画に立脚しつつ、新交渉ラウンドのありうべき目的、取り組み方及びタイミングに関して早い時期に決定を行うべき他のガット加盟国と協議すること。
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