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G7 / G8

G8外相共同記者会見記録
(2000年7月13日)


I.河野外務大臣冒頭発言

  1. 議長として冒頭若干の発言をさせていただきたい。「太陽と緑の国」ここ宮崎で、天気にも恵まれ、大変気持ちのよい会議を開くことができた。それは、ご同席のG8各国代表の方々が非常に積極的、建設的なご発言に終始したということもあり、2日間にわたるG8宮崎外相会合は、私としては大変満足のいく会合であった。
     ご承知の通り、今次会合が2000年という節目の年に開催されることを踏まえ、我々は、「進歩の世紀」であると同時に「苦悩の世紀」であった20世紀から、21世紀が「希望の世紀」となるようにとの気持ちを込めて議論を行った。

  2. 2日間の議論の成果については、G8外相会合総括にとりまとめてある。私から議長として以下若干のコメントをさせていただきたい。

  3. 我々は、世界が直面する地球的規模の問題について議論した。具体的には、紛争予防、軍縮・不拡散・軍備管理の重要性、テロに対する闘い、国連改革の必要性、更には、犯罪、環境といった経済・社会問題について幅広く取りあげ、G8としての具体的なメッセージを取りまとめた。
     特に「紛争予防」については、率直かつ実質的な意見交換を行うことができた。その結果、今後国際社会に「予防の文化」を育てていくことの重要性を確認した上で、G8としての具体的な行動を「紛争予防に関するG8宮崎イニシアティブ」としてとりまとめることができた。これは、今次外相会合の大きな成果と考えている。

  4. また、ご列席の外務大臣の皆さんと、地域情勢について、今日の国際情勢について「生きた」それぞれのお考え、ご関心について意見交換を行った。朝鮮半島、インドネシア、東チモール、インド・パキスタンなどのアジアの地域情勢、皆さん大変関心の高い中東和平、大変難しい問題であるバルカン、更にはアフリカの問題等幅広く取りあげ、我々のメッセージを明確に国際社会に発信するというとりまとめをした。
     特に、朝鮮半島情勢については、歴史的な南北首脳会談を契機に、南北間の対話が継続・進展し、朝鮮半島の緊張が緩和するよう期待し、この前向きな動きを後押していくことで意見の一致を見た。また、北朝鮮が国際社会との対話に向けてとっている最近の動きを歓迎し、安全保障、不拡散や人道上の懸念に対する建設的な対応を期待するとの認識で一致した。

  5. こうした我々の議論の成果は、21日から開催される沖縄首脳会合、特に九州・沖縄サミットの三つのテーマの一つである「世界の安定」に向けた議論に貢献するものと考える。

  6. なお、G8と途上国との対話の重要性を考え、昨年に引き続き非同盟(NAM)トロイカ、G77議長国、更にはアセアンの議長国であるタイの外務大臣を招いた朝食会を開催した。その中で、グローバリゼーションとその課題について大変意味のある意見交換ができた。貧困の削減、情報技術、地球規模問題の解決に対して、共同して考えていく、努力する上で、先進国と途上国の対話の重要性を今朝の議論の中で感じ取った。

  7. 今次会合において、中身の濃い議論が行われ、多くの問題につき合意をしあるいは前進を見ることができたのは、ここにおられるG8各国同僚のご協力とご理解のお陰であり、議長として心よりお礼を申し上げたい。
     最後に、非常に長期間にわたって周到、綿密な準備をされ、温かなおもてなしで迎えて下さった宮崎県及び南九州の皆様のお力添えに心から感謝申し上げる。

(宮崎県知事を場内に紹介)

II.質疑応答

  1. 北朝鮮

    (質問)
     (河野外務大臣に対し)、北朝鮮情勢についての昨晩の議論で、各国の外相が北朝鮮の姿勢に変化が見られる今、積極的な支援あるいは支援の拡大をしていくべきではないかとの議論がかなり出たのではないかと思うが、日本には独自の日本人拉致問題等も横たわっているため、難しい対応を迫られると思われる。日本として、今後北朝鮮への支援、食料支援についてどういった姿勢で臨まれるのか、また、今回の議論を首脳会合にどう繋げていかれるおつもりか。

    (河野外務大臣)
     昨夜のワーキング・ディナーにおいて北朝鮮の問題についての議論があった。私から、アジアから出ている唯一の外務大臣ということで、状況について私の認識を説明申し上げたし、ご出席各大臣の中にはこの朝鮮半島問題に関心を持っていられる方も多く、色々と議論していただいた。
     いずれの意見も、南北首脳会談の実現を歓迎し、これが緊張緩和に意味を持つとの認識であった。こうした動きをサポートしていくべきであるという考えが述べられた。経済的支援について日本はどうするのかという質問と理解するが、すでに北朝鮮との外交関係がある国、近々その予定の国もある。それらの国と比べると我が国の北朝鮮の関係はまだ正常化されていないわけであるが、北朝鮮の最近の動き、外交的に非常に積極的な動きを見ると、北朝鮮とは国交の正常化に向けて動き出す潮目であろうと考えている。これは、我が方だけがそう思っていてもできず、双方にそうした考えかたがあればその方向に動くと思う。私は日本が北朝鮮との関係正常化に向けて努力をするという気持ちがあるし、そうした時期がやがてやってくるだろうと思っている。
     援助の問題、御質問の趣旨は食料援助の問題のことと思うが、我々は今具体的なことは考えていない。これから先北朝鮮との間でどういうやりとりが行われるか、注意深く見極める必要がある。正常化交渉を行う合意ができればこれに十分対応する気持ちがある。

  2. 紛争予防と対策

    (質問)
     紛争予防に関する議論において、具体的にどのようなステップを踏んでいくのか。

    (河野外務臣)
     まず、私から申し上げたい。独のフィッシャー大臣から補足することがあれば、後ほどお願いすることとしたい。
     紛争予防は、様々なレベルで考えていかなければならない。紛争を起こす根元的な問題として、たとえば貧困の問題がある。紛争が起こった場合にはそれを最小限に防ぐことを考えねばならない。また、紛争が終結した場合には復興について考えねばならないと思う。様々な段階で紛争について我々がどのように取り組むかについて考えるとともに、具体的にどういう問題についてどのように具体的な作業をするかについて考えねばならない。
     今回、5つの問題について合意が得られている。1つは、小型武器の規制、もう一つは紛争のもっとも基本的、あるいは根元的な原因である貧困の問題をどう克服するかという問題。ダイヤモンドの不正取引は紛争の財源になることから、この問題には真剣に取り組まなければならないということで合意が得られた。紛争の児童への影響をよく考えなければない、あるいは紛争地域で児童が兵士として危険な場所にさらされるということを防がなければならない。更には、文民警察のトレーニング、レヴェルの向上、あるいは、文民警察の活躍の可能性を高めていく必要がある。こういった5つの点について合意した。この紛争予防の分野においてはもっと色々なレヴェルにおける色々な問題について詰めていかなければならないので、来年の議長国であるディーニ外相に議論を続けていただきたいと私からもお願いしているところである。

  3. NMD

    (質問)
     今回の会合における米国のNMDについての議論について、先だってのNMDに関する実験は失敗したと伝えられている中で、タルボット副長官はどのような議論をされたのか。また、協議の中で各国外相の中からは、反対、慎重な意見も出されたと聞いているが、米国としては、これまで通り、本計画を続けていくつもりか。

    (タルボット米国務副長官)
     先ほどの河野大臣の紛争予防についてのご説明に私から1点付け加えさせて頂きたい。イタリアのディーニ外相が来年のG8議論で引き継がれるであろう分野には、もう一つ、紛争予防及び復興プロセスにおける女性の役割があり、これはコミュニケの2.に言及されている。
     NMDについての議論について、軍縮・軍備管理のコンテキストの中で議論された。私は、同僚の各国の外相に対し、クリントン大統領が決断をすること、そしてその決断は、4つの基準、つまり、技術、コスト、脅威、NMDの軍備管理に与えるインパクト、同盟国及びロシアとの関係、また全体的な国家安全保障及び国際安全保障にどういった影響をもたらすかという包括的な基準において検討される旨を伝えた。今回の実験は1つ目の技術に関連する。この実験の結果はプラスと出るか、マイナスと出るか予想できなかったものであり、クリントン大統領は、4つの基準に基づき、多くの様々な要素を考慮に入れつつ検討するが、その中にはコーエン国防長官による一連の実験結果への評価も含まれる。4つ目の基準については、各国外相の意見やどのような懸念、見通しを持っておられるか直接聴取することができたことを高く評価する。私はロシアのイワノフ外相と昨晩会談し、クリントン大統領とプーチン大統領のモスクワにおける最近の会談の成果を如何に来週のG8首脳会談の際の二国間会談に繋げていくことができるかについて話し合った。米ロ及び世界の安全保障を高めるための米ロ間の協力関係の強化は今後も優先的な議題であり続ける。そのためにも軍備管理、弾道弾ミサイル条約は非常に重要であると考えている。また、弾道弾ミサイルの拡散という新しい脅威に対し米ロは共同で対応していかなければならない。

  4. 紛争予防と英・露の対応

    (質問)
     英・露は、国内の紛争を抱えている点で共通している。紛争予防の機構、あるいはメカニズムを国内の紛争にも自国内でも用いる考えはあるか。そして、そこで想定される措置は紛争の展開の仕方、チェチェン、北アイルランドにおける対応の仕方の違いにつながるのか。

    (クック英外相)
     ここ20年間、多くのここに集まった国々のサポートを得て、北アイルランドへの武器補給を押さえることができた。北アイルランドについては、この2年間、良好な前進をみることができた。これはブレア首相による闘志のおかげであり、平和な解決を得たいという北アイルランドの圧倒的多数の人々の期待に応えるものである。G8各国のサポート、世界の善意によって事態はさらに問題の解決に向けて進展しうるのではないかと思う。

    (イワノフ・ロシア外相)
     まず最初に河野大臣の見事なアレンジにお礼を申し上げたい。また、宮崎県、宮崎県当局、人々の暖かいおもてなしに感謝申し上げたい。紛争については、G8の中での対話は始まったばかりである。国際的な紛争は今日最も深刻な驚異となっており、平和と安定を世界で脅かすものとなっている。こういった紛争は一つ一つ違うものであり、個々の紛争は独特の形で解決されなければならない。根っこの原因は何なのか、歴史的にどういう源から紛争が起こっているのか、紛争に油を注いでいるのは何なのか、そして緊張関係をさらにあおっているのは何なのかを考えなくてはならない。貧困というものが一つの原因であることもある。宗教的な過激主義や、国際的なテロも脅威となっている。紛争に対処する上では始まる前にそれを芽のうちにつんでおくということが大事である。ロシアに関していえば、残念ながらロシアというのは国際テロの標的となっており、ロシアの周辺においては紛争が頻発している。ロシア、そして現在のロシアの指導層は媒介をして、これらの紛争を解決しようと努力している。チェチェンの問題に関しては、非常に複雑な要素が絡まっている紛争である。この紛争というのは今日では非常に国際的なテロが攻撃性を帯びているということの反映となっている。であるからこそ、我々はロシアが開かれた存在になって、そしてこの紛争を解決することが大事だと思っている。紛争の解決は、政治解決をするためにはフランクに、オープンに、そして国際社会の結束ということを信頼してやるということである。国際テロに対応するには、各国の共同努力が必要である。

  5. ユーゴ/北朝鮮

    (質問)
     (イワノフ・ロシア外相に対し)最終コミュニケの中で大臣はミロセビッチを名指しで非難することに反対したと言われているがその理由如何。他の大臣は憲法のクーデター、任期をのばすためのクーデターだということだったという認識と伺っている。(タルボット米国務副長官に対し)南北朝鮮に関し、北朝鮮との対話によってどの程度脅威の程度が減らせられたのか。

    (イワノフ・ロシア外相)
     かかる推測は事実ではない。会議においてはクーデタの問題を議論したのはなく、バルカン半島の安全保障をいかに改善するのかという話をしたのであり、総括文書はこの会合に参加した国々が真剣に問題にアプローチしているということを示しているのである。バルカン半島の現在のプロセスを十分理解し、紛争の長期的な恒久的な解決を目指している。憲法の修正のみを議論したのではない。複雑なアプローチが必要な問題で、G8として協調してこの複雑な問題への解決へ貢献していくんだということを示している。

    (タルボット米国務副長官)
     まず北朝鮮のミサイル開発は現実の問題としてある。特に日本のホストの方々は地理的にも近いわけで、非常に身近に感じることができる。歴史的なこれは1998年8月の事件。我々は北朝鮮の戦略的位置づけを再定義しようとしているが、これには時間がかかる。また河野大臣やほかの大臣がいっておられるが、朝鮮半島には前向きの出来事が起こっており、将来の安全保障から考えてもポジティブなものがある。最近のポジティブなできごとをどう評価するのかというのは困難かつ重要な課題である。これらを念頭において、過去、現実に即した北朝鮮のプログラムをどう適用していくかという難しい仕事がある。クリントン大統領がNMDに関して決定を行うこととなっているが、判断にあたっては、それは我々の専門家が提供するベストな知識に基づく判断になる。

  6. 宮崎の印象

    (質問)
     (クック英外相に対し)今回の外相会合は日本にとって初の地方開催だが、この開催地にどのような印象をお持ちになったか。また、来年の5月からはイギリスの方で、日本の文化を紹介する大がかりな行事も催されると聞いているが、両国間の地方都市が今後どのように、その交流の芽を育んでいけばよいとお考えか。

    (クック英外相)
     まず、今回の外相会合のためのいろいろな手配、アレンジメントは大変すぐれたものだった。大変暖かいご歓迎を地元の方々にいただき、また、宮崎の方々にいただき、大変ありがたく思っている。昨晩のコンサートは本当にすばらしい国際的な水準のものだった。日本、宮崎とそれからイギリスとの関係に今ふれられた。こちらに到着して地元の学校がインターネットを通して私のイギリスの選挙区の近くの学校とコンタクトをとっているとうかがってうれしく思った。若い人たちがそのようなお互いの接触を持つということは、これから次の世代の人々の間で今のイギリスと日本の指導者の間で持っているようなお互いの友好の気持ちをつないでいくことになっていくと考えている。来年イギリスでは「日本2001」という行事が行われる。その下でイギリス全土にわたって200以上のイベントが予定されている。そして、日本とイギリスとの間の強い絆を表すことになると思う。私どもの今回の会合のテーマでもありますグローバル化、その下で、どうやってパートナーとしてお互い協力できるのか色々と方法を探求することになろうかと思う。宮崎の方々にはこのような会合を持つ機会を頂き、改めて感謝申し上げたい。そして、同僚の外相達を代表して、河野大臣がすばらしい議長を努められたことに感謝申し上げたい。



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