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九州・沖縄サミット
(G8首脳会合の概要ととりあえずの評価)平成12年7月
7月21日~23日、沖縄において九州・沖縄サミット首脳会合が開催された。21世紀に向けての一層の繁栄、人々の心の安寧、そして世界の安定を達成するために、G8として何をなすべきかというテーマの下で首脳間で活発な議論が行われ、これを踏まえて、(1)G8コミュニケ、(2)グローバルな情報社会に関する沖縄憲章、(3)地域情勢に関するG8声明、そして(4)朝鮮半島情勢に関するG8声明の計4本の文書が出された。(G8に先立ちG7首脳会合も開催され、G7首脳声明が発出された)。
- 1.概要
A.一層の繁栄
(1) IT
- 「 グローバルな情報社会に関する沖縄憲章 」を発出。
デジタル・オポチュニティの活用、デジタル・ディバイドの解消に向け、全世界的参加を呼びかける。- 「 デジタル・オポチュニティー・タスク・フォース (dot force)」立ち上げ。
明年のサミットで、デジタル・ディバイド解消に向けた行動について報告する。(2) 開発
- (イ) 感染症
- HIV・エイズ、結核及びマラリア等の感染症の問題について、具体的目標値を掲げ、取り組みを強化することで合意。
- 我が国の支援策は高く評価され各国も支援を強化していくこととなった。
- この秋にも我が国で具体的な対策検討のために 政府(途上国を含む)、市民社会、国際機関を集めた会議 を開催することとなった。
(ロ) 重債務貧困国問題
- 債務削減イニシアチブの実施迅速化 の必要性につき一致。 負担の公平 に留意しつつ必要な資金拠出を行うよう要請。
- 重債務貧困国及び 低所得国向け輸出信用が軍事目的を含む非生産的な目的のために使用されないようにする強化措置 の再検討をOECDに依頼。
(ハ) 後発開発途上国向けODAのアンタイド化 については、 公正な負担分担メカニズム に基づいて、行うこととされ、ODAのアンタイド化が低水準にとどまっている国に対して対応を改善するように強く求めることとなった。
- (3) 貿易
- WTOを中心とする 多角的貿易体制の利益を途上国が一層享受できるよう支援 を強化するとともに、 今年中の幅広いラウンドの立ち上げにつき、G8の努力を強化 することに合意した。
(4) 文化の多様性
- 文化の多様性は社会や経済のダイナミズムの源 であるとのメッセージが盛り込まれた。
- 無形文化財保護、ITの活用、相互交流の促進 などの要素も盛り込まれた。
B.心の安寧
(1) 犯罪
- グローバル化が進行する中で一層深刻となる 国際組織犯罪に対して有効な国際的取り組みの枠組み の創設に向けた各国の意思を確認した。
- ハイテク犯罪に関する第2回官民合同会合 を来年始めに日本で開催することとなった。
- 麻薬に関するアド・ホック会合 を開催することとなった。
(2) 生命科学
- (イ)バイオテクノロジー/食品安全
- 科学的検討の促進 や 開発途上国、市民社会を交えた対話の強化 につき、共通の理解を得、今後、この問題についての 国際的なコンセンサスを構築するための道筋 を示した。
(ロ) ヒトゲノム
- バイオテクノロジー関連の特許政策の調和 につき協力することになった。
- (3) 環境
- 京都議定書の早期発効に向けた緊密な協力への強い決意を確認し、 COP6の成功に向けて決意 を示した。
- 再生可能エネルギーに関するタスクフォース を立ち上げ来年のサミットまでに報告を出させることとなった。
- 森林の違法伐採 について、 輸出入の両面での取り組み の重要性を確認した。
C.世界の安定
(1) 地域情勢
- 「朝鮮半島に関するG8声明」
地域情勢に関するG8声明のうち、特に朝鮮半島情勢については別途の声明とし、南北首脳会談をはじめとする一連の前向きな動きをG8として後押しし、 北東アジア全体の安定確保に向けた確固たる姿勢 を打ち出した。- 「地域情勢に関するG8声明」
キャンプ・デイヴィッドの中東和平交渉への支持、南アジア、バルカン、アフリカ、サイプラス情勢に関するG8の協力の重要性の確認。(2) グローバル・イシュー
- 紛争予防について、 「予防の文化」の重要性 を確認し、 ダイヤモンドの不正取引 や 小型武器 の分野での具体的取組を提示。G8としてのさらなる措置についての検討を外相に指示。
- 軍縮・不拡散・軍備管理分野での積極的取組 を確認し、NPT体制の維持・強化、CTBT発効促進、カット・オフ条約交渉の早期開始等につき努力していくことで一致。
D.その他
- 首脳間のEメールのネットワーク を作ることとなった。
2.とりあえずの評価
(1)21世紀を目前とした今回のサミットでは、 21世紀に向けて人類が直面する課題を特定 することが重要であると考え、一層の繁栄、心の安寧、世界の安定という観点から、首脳間で活発な意見交換が行われた。特に IT について、21世紀の繁栄の鍵と位置づけ、ITの提供する機会を世界の全ての人々が活かせるようにしていくために何をすべきかについて、「沖縄憲章」が今後G8を含む国際社会の取り組みの方向性を示し得たことは今回のサミットの成果の中でも特に意義深い。また、21世紀に向けた途上国の開発にとり大きな障害となりかねない 感染症 については我が国が先に発表した5年間で30億ドルを目途とする支援策がG8の具体的行動の先駆けとして各国から高い評価を受けた。更に、近年その国際的取り組みのあり方に欧米間で大きな対立のあった 食品安全の問題 について今後の方向性を見出す上で、調整役として重要な役割を果たしたとの評価を得た。
(2)また、今回のサミットは、2000年という節目の年に開催されるサミットにふさわしく、G8がこれまで果たしてきた役割を振り返り、21世紀に向けたG8の役割について議論する場ともなった。我が国は、グローバル化が急速に進む中で、今後ともG8が世界全体の利益のために重要な役割を担っていくためには、特に 非G8諸国、国際機関、NGO等とのパートナーシップを一層強化 していくことが極めて重要であるとの考えの下、サミット直前に東京で途上国の首脳や国際機関の代表と直接対話する機会を設ける等様々な機会を通じて対話の強化を図った。各国首脳は、こうした 我が国のイニシアチブを高く評価し、今後ともこうした努力を強化していくべきであるとの認識で一致した。
(3)更に7年ぶりにアジアで開催されるサミットであり、我が国は アジアの視点を反映 させるためにアジア諸国との対話を積極的に行い、その成果はコミュニケにも十分反映された。また、我が国の安全保障上特に重要な意味を持つ 朝鮮半島情勢については独立の声明 を発出し得たことは我が国の対東アジア政策上意義深い。
(4)今回の首脳会合の舞台となった沖縄県では、会合の行われた名護市をはじめ県を挙げての心温まる歓迎が至る所で示され、各国首脳からも深い謝意が表明された。特に内外のマスコミを通じて、沖縄の姿が様々なかたちで世界に広く紹介されたことにより、「世界の目を沖縄に、沖縄の心を世界に」という、今次サミットに寄せる沖縄県側の期待が、文字通り実現することとなった。
(5)またサミット開催にあたり心配された台風、テロ、食品衛生上の事故等もなくすべての行事がとり行われたことは誠に幸いであり、政府、県、民間各方面の一致した連携協力が実を結んだものと高く評価できる。
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