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G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書

G8森林行動プログラム
(仮訳)

I.はじめに

1.世界の森林に対する継続的な圧力と持続可能な森林経営が持続可能な開発に果たし得る貢献を認識しつつ、G8メンバーは、デンバーにおいて森林に関する政府間パネルの報告に盛り込まれた行動提案を実施するとのコミットメントを確認し、実践的な行動プログラムを支持することに同意した。以下は、そのプログラムを示すものである。このプログラムは、政治的コミットメントを反映し、また、国際社会やさまざまな地域・国際プロセスにより行われている広い範囲の取組を補完し、G8メンバーが特に重要と思われるいくつかの取組を強化することを目的とする。このプログラムは、G8における国内措置及び二国間支援や政府間プロセスへの支援を通じて独自の貢献を行うことが可能な分野に焦点を当てたものとなっている。G8メンバーは、各メンバー独自に、または協力し合ってこの行動プログラムのフォローアップを行い、その進捗状況を必要に応じてサミットでレビューし報告することとしている。

II.モニタリングと評価

2.G8メンバーは、国レベルの持続可能な森林経営の基準・指標が作成されている国際プロセスに参加している。これらの基準・指標は、森林の状態と森林経営について、土地所有形態の違いを越えて、国内の全国的な趨勢をモニタリングし評価するための手段であり、持続可能な森林経営に向けた進展を経年的に記述し、モニターし評価するための共通の枠組を提供する。また、国レベルの基準・指標と国連食糧農業機関(FAO)が実施中の世界森林資源評価プログラムとの連携も、一貫性があり、信頼性が高く、互換性のある森林情報を地球的規模で提供する上で重要である。
3.G8メンバーは:
  • 合意された国レベルの持続可能な森林経営の基準・指標を用いて自国の森林の状況をモニターし評価するとともに、その結果を、さらに情報が必要な分野も含め、関心を有する人々が利用できるようにする。

  • 国レベルの評価を利用し、FAOの世界森林資源評価、特に森林資源評価2000(FRA2000)に対して情報とデータを提供する。

  • パートナー諸国と協力し、以下の各国の実施能力を強化する。
    • 地域的な基準・指標プロセスへの参加
    • 自国の森林の状況をモニターし評価するための基準・指標の開発と適用
    • これらの基準・指標を考慮に入れた国内森林資源調査とモニタリングシステムの開発
    • 持続可能な森林経営の経済的、社会的、環境的な指標の科学的な裏付けの向上

  • 関心のあるグループや組織に対し、リモートセンシングのデータや地理情報システム(GIS)、汎地球測位システム(GPS)等を含む地理的情報処理技術へのアクセスの向上を図る。

  • 森林火災等の森林生態系に影響を及ぼす大規模な災害のモニタリングと対応に関する情報や経験をパートナー諸国と交換する。

III.国家森林プログラム

4.各国は、国連環境開発会議(注:1992年、リオデジャネイロ)で採択された森林原則声明のパラ1(a)にあるように、自国の資源に対して主権を有し、かつ持続可能な森林経営の達成に責任を負っている。国家森林プログラムや持続可能な森林経営を推進するその他の行動は、国連環境開発特別総会が全ての国に対して2002年までに取りまとめることを求めた持続可能な開発のための国家戦略に貢献するものである。国家森林プログラムは、土地所有パターン等それぞれの国の状況と、多くの国々で森林管理の責任は連邦/国家、州/地方レベルの各政府、先住民の間で分けられているという事実とを反映した、持続可能な森林経営を達成するための広い範囲のアプローチを含む。これらのプログラムは森林資源の環境的、社会的、経済的な価値を評価し、国内の優先順位を定め、参加型で透明性のある手法により森林を持続的に経営するための具体的な手順を示すものである。
5.G8メンバーは:
  • 持続可能な森林経営を促進するための国家森林プログラムの策定と実施に関する経験を共有し、パートナー諸国が自国の国家森林プログラムを策定することを支援する。

  • 政府開発援助(ODA)の計画において持続可能な森林経営に優先度を与えるパートナー諸国に対して技術的及び資金的な支援を集中させる。

  • 持続可能な森林経営を促進する新たなアプローチ、イニシャティヴ及びパートナーシップへの支援を含め、パートナー諸国が国家森林プログラムの策定と実施を行うことを支援する。

  • 温帯林や北方林が、重要な炭素吸収源、生物多様性の貯蔵庫、その他の財やサービスの供給源として果たす、国家森林プログラムと持続可能な森林経営を支える役割の重要性に関する世界的な理解と認識の向上を図る。

  • 2000年目標達成のための、熱帯林に関する国際熱帯木材機関(ITTO)の先駆的活動等の、持続可能な森林経営に貢献する国際的なイニシアティブを特定し支援する。

  • 森林に関する政府間フォーラム(IFF)行動提案の実施のための各国の国家森林プログラムの枠組の範囲内において、パートナー諸国に対する支援の一層の国内調整を図るとともに、国際機関、特に国際金融機関が同様の措置を行うよう求める。

IV.保護地域

6.森林は地球上の陸生生物多様性の70%を擁しており、世界で最も豊かで多様な生態系の一つである。森林はまた、広い範囲の生態的サービスやその他の価値を供給する。しかし、重要な生物多様性や生態的価値が損失や劣化の危機に瀕している森林の中には、そのような価値を保護するための保護地域の設定を通じて、特別な認知を必要とするものがある。保護が持続可能な森林経営の重要な要素の一つであり、国レベル、国を越えたレベル、地球レベルでの代表的な森林生態系の保護地域の地理的なネットワークがそれらの森林の保護と認識に貢献できる。こうした観点から、保護地域の管理分類に対するよりよい理解の促進が肝要である。
7.G8メンバーは:
  • 国際自然保護連合(IUCN)の「保護地域管理分類」やFAO等他の分類システムを活用しつつ、保護地域の区分とその管理、保護地域が利害関係者にもたらす生物多様性その他の生態的価値や利益に関する広範なコンセンサスを図るため、国内的、地域的、及び生物多様性条約や森林に関する政府間フォーラム等の国際的フォーラム等での取組を行う。

  • この関係で、既存の森林保護地域の分析とカテゴリー化を行い、異なる保護のカテゴリー内で十分に代表できていない主要な森林タイプを特定する。

  • また、この関係で、関連機関との協力により、森林保護地域が森林の生物多様性と生態的価値を維持するに当たっての有効性の世界的な評価の達成を促進する。

  • 重要な森林生物多様性やその他の生態的価値を保護するための、国境を接する公園等の国を越えた、国際的な取組を含む、森林保護地域や関連するネットワークの維持、要すれば設定のため、例えば共同実施や債務スワップ、官民パートナーシップ等の革新的な資金メカニズムを通じて、パートナー諸国と協力する。

V.民間セクター

8.持続可能な森林経営が成功するためには、幅広いパートナーシップが必要であり、森林所有者、森林産業、市民社会、非政府組織や地域社会に基盤を持つ組織及び先住民を含む民間セクターの積極的な参加とコミットメントなしには不可能である。いくつかの国では、民間セクターは森林経営においてますます重要な役割を果たしている。従って、持続可能な森林経営を確実なものとするため、民間セクターからのさらなる貢献が重要である。持続可能な森林経営の達成に全ての民間セクターの利害関係者を参加させ、民間セクターによる責任あるイニシアティブを奨励することは各国政府の責任である。
9.G8メンバーは:
  • 民間セクター、特に森林関連産業が持続可能な森林経営を支援する自発的な行動規範を国内的、国際的に開発し適用することを奨励する。

  • 持続可能な森林経営への民間投資とパートナーシップを促進し、民間セクターの投資を引きつけるの革新的な資金メカニズムを特定する手法について更なる検討を行う。

  • 森林セクターにおける経営手法の改善を支援し得る民間の自発的な市場基盤型のメカニズムを奨励する。

  • 林産物加工とリサイクルにおいて、民間セクターが効率を向上し廃棄物を減少することを奨励する手法についてパートナー諸国と経験を共有する。

  • パートナー諸国が、国内及び外国民間セクターの責任ある投資とその実践を奨励するための規制的な制度的、経済的な枠組みを開発することを支援する。

VI.違法伐採

10.違法伐採は、国及び地方政府、森林所有者及び地域社会から重要な収入と便益を奪い、森林生態系に被害を与え、木材市場と森林資源評価を歪め、持続可能な森林経営を抑制する因子として機能する。振替価格操作、インボイスのごまかし及びその他の違法な行為を含む、違法に収穫された木材の国際貿易は、違法伐採の問題を悪化させる。問題の程度に関するより良い情報は、実際的で効果的な対策の開発のため前提条件である。
11.G8メンバーは:
  • 実際的で効果的な対策開発のための基礎として、違法に収穫された木材の国際貿易の性格と程度に関する情報と評価の共有を奨励する。

  • 例えば森林に関する政府間フォーラムとITTOを通じて、国際的な木材貿易に関する経済的情報と市場透明性の改善のための実施措置を確認し支援する。

  • 違法伐採と違法に収穫された木材の国際貿易をコントロールする国内措置の効率性を確認し評価し、改善が必要な分野を確認する。

  • 木材の貿易に関係する国際商取引における贈収賄と腐敗防止を目的とする国際協定の下での義務履行のための措置を講ずる。

  • 違法伐採と違法に収穫された木材の国際貿易の性格と程度の評価とその対策の策定と実施の能力開発のため、関心あるパートナー諸国と協力し、ITTOを含む国際機関を通じた取組を行う。

G8デンバー・サミット(1997年6月)コミュニケの抜粋

19.森林は、世界の多くの地域において、警戒すべき速度で破壊され、劣化し続けている。この傾向を逆転させるため、我々は、すべての国に対し、持続可能な森林経営の慣行を世界中で実現することへの長期的な政治的コミットメントを行い、我々とともに、国連のCSD(持続可能な開発委員会)の森林に関する政府間パネルが作成した提案を直ちに実施するよう要請する。我々は、デンヴァーにおいて議論し、現実的な行動計画を支持することにつき一致をみた。この行動計画には、国ごとに計画を実施し持続可能な森林経営のための能力を構築すること、保護地域のネットワークを設立すること、合意された基準と指標を用いて各国の森林の状態を評価すること、民間による森林経営を促進すること及び不法伐採を排除することが含まれる。我々は、事務当局が、この行動計画の実施の進展を評価するため、来年早々に会合を持つことを要請し、次回のサミットに報告書を提出することを求める。
20.国連特別総会において、我々は、これらの目標を達成するため、環境団体の積極的な関与を得つつ、適切な高さの国際的基準を伴った国際的合意についてコンセンサスを築き上げるよう努める。我々は、ヒューストンで提唱されたブラジルにおける試験プログラムの実施に進展がみられたことを歓迎する。これは実際的な国際協力の一例である。

G8外相会合(1998年5月)総括の抜粋

3.我々は、本日、「森林に関する行動計画」を発表しこれを実施することにコミットした。これは、国内及び国際的なレベルの双方で、持続可能な森林管理を促進するための特定の施策について示したものであり、森林に関する政府間フォーラムや他の国際的なイニシアティブの作業を補完するものである。我々は、環境、生態系、社会、経済的な価値を反映した持続可能な森林管理のための実際的なアプローチを発展させ実施する上で参加と透明性の確保が重要であることを強調する。我々は、政府以外のものも含めた他のパートナーとともに、この行動計画を実施することを期待しており、その状況について2000年に報告することを期待している。最近の大規模な森林火災は、この課題を緊急なものとした。

G8バーミンガム・サミット(1998年5月)コミュニケの抜粋

12.東南アジア及びアマゾン地域における最近の悲惨な森林火災は、我々の環境のみならず経済成長及び政治的安定に対して脅威を与えており、森林を持続可能に管理し保全するための世界的な協力、より良くかつより効果的な枠組み及び実際の協力が極めて重要であることを示している。我々は、2000年に、先週発表されたG8行動プログラムの実施の進捗を評価する。我々は、国際連合の下で進行中の森林に関する作業を強く支持し、この努力が継続することを期待する。


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