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G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書
個別報告書
アメリカ合衆国
- 目次
- I. はじめに
- II. モニタリングと評価
- III. 国家森林プログラム
- IV. 保護地域
- V. 民間セクター
- VI. 違法伐採
- VII. 次のステップ
I. はじめに
8大先進工業国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア連邦、イギリス、米国)の国家または政府の首脳および欧州委員会の委員長は、世界の政治、経済、環境に関する問題を協議するために、年に1度、会議を開催している。G8のリーダーらは、1997年のデンバー・サミットにおいて、全世界の人々のニーズを満たすため、また地球の生物多様性および気候の健全性を維持するために、森林が重要な役目を果たしていることを認識し、(1) 森林の現状のモニタリングと評価、(2) 持続可能な森林経営のための国家プログラム、(3) 保護地域、(4) 民間セクターの役割、および(5) 違法伐採と違法貿易の5分野を中心とする実践的な森林行動プログラムの策定を要求した。
1998年5月のバーミンガム・サミットにおいて、外相によって「G8森林行動プログラム」が開始され、首脳はこれを承認し、2000年に実施に関する進捗状況報告を求めた。同行動プログラム(付属文書を参照のこと)には、国内および世界で森林の保全と持続可能な経営を促進するための優先事項であるとG8が考える活動が明確にされている。
本報告書は、同行動プログラムに述べてある行動を、国内と海外で推進しようとする米国の取り組みに関する最初の回答である。これは、G8行動プログラムの5分野に関係する政府および非政府機関が携わる国内・海外のプログラムと活動の全てを記載したものではない。この米国の報告書は、他のG8の報告書と共に、2000年の沖縄サミットで首脳に提出されるG8合同報告書に対する付属書類として添付される予定である。
米国の状況。
米国は、世界第4の森林国であり、その森林面積は世界の森林面積の8%、すなわち3億ヘクタールを占める。米国の森林地帯の土地所有は、かなり地方分権化しており、政府および民間・公共の所有権が混在した構造である。米国の森林の約60%は1,100万人の人々が所有する私有地である。50の州のそれぞれが、こうした私有地の森林に加えて、米国の森林の約5%にあたる州が所有する森林の経営を指導、規制する責任を個別に負っている。森林地帯の残りの35%は公有地であり、米国森林局、土地管理局、国立公園局、米国魚類および野生生物局、および国防総省など、連邦政府のいくつかの機関が管理している。森林管理のこのような分権化や私有地の広大な面積を考えると、州政府、地方政府、および多くの非政府グループ(産業界以外の小さな森林の所有者、産業界、地域社会など)の行動が、米国の森林をどのようにして経営すればよいのかにおいて、また森林の保全と持続可能な経営を目指す国内の進歩において、重要な要素となっている。米国は、世界的に大きな森林権益を有している。米国は、木材製品の世界最大の生産国であり、消費国であり、貿易国であり、林産物の国際貿易の15%を占めている。国内生産額、輸出額、および輸入額の合計は、年間約1,500億米ドルである。また、米国は、USAID(米国国際開発庁)や他の連邦機関を通じてだけではなく、世界銀行などの国際機関や金融機関および革新的な債務の削減構想に対する貢献によって、開発途上国や、経済の移行期にある国に対して、相当の森林関連の援助も提供している。最大の多国籍森林会社や製紙会社のいくつかは米国が所有しており、米国を本拠地とする環境団体や学術団体の多くが、海外で森林の実地活動やプロジェクトを行っている。
米国政府は、国内外で森林の保全および持続可能な経営という目標に熱心に取り組んでいる。G8森林行動プログラムは、「基準と指標(C&I)に関するモントリオール・プロセス」、「森林に関する政府間行動パネルの行動提案」、他の多くの国家的イニシャティヴと共に、目標達成のための行動指向の政策と政治的枠組みを提供するものである。
II. モニタリングと評価
A. モントリオール・プロセスの基準と指標の国内における実施状況
米国森林局は、州レベルでは、
- 1998年6月に、モントリオール・プロセスにより特定された持続可能な森林経営のための7つの基準および67の指標に基づき、米国の森林の現状と経営の状況および動向の包括的国家評価を作成することにコミットした。結果としての議会に対する大統領報告は、1974年資源計画法の枠組みのなかで行われる、全ての森林地および森林部門の動向についての義務づけられた、5年分の毎年の国家評価の一部として、2003年に発表されよう。
- 1998年7月に、持続可能な森林に関する円卓会議を開始し、私有・公有の両森林のためのモントリオール・プロセスの基準と指標(C&I)の実行を促進するため、連邦、州、地方の政府機関、環境グループ、および産業界の人々を集めた。この円卓会議では、憲章が起草され、公共のアウトリーチや技術上の問題に関する作業グループが設置され、ウェブサイトが作成され、重要な国内の林業会議にメッセージが伝えられた。2000年には、各基準と関連指標の差異を含み、データ収集の状況を評価するため、国内各地でワークショップが開催されよう。
- 1998年7月にはまた、森林局が経営する7,600万ヘクタールの国有林に関する将来の全ての森林の現況調査、評価、監視、および各現場レベルから国家レベルまでの履行責任のための枠組みとして、モントリオール・プロセスのC&Iの正式な制度化も行なった。50州のうちいくつかの州は、それ以来、州および民間が保有する森林の土地についても同様の措置をとることに同意した。
- 国家森林現況調査監視研究所の職員の全員を配置した。この研究所は、モントリオール・プロセスのC&Iなど、国家および地方の森林現況調査システムの適用を調整するために1996年に設立認可されたものであり、現在は、環境の健全性に関する多くの指標の体系的な評価を含む森林健全性監視(FHM)プログラム、および森林の範囲、種類、成長、および木材としての他の価値に関するデータを提供する森林現況調査・分析(FIA)プログラムという2つの既存の国家森林監視システムを統合し、拡大しているところである。
- 北東、北西、五大湖地域にある諸州は、この地域の森林の状態を評価するために、モントリオール・プロセスC&Iを利用してサブナショナルなC&Iの策定を開始した。州林業者全国協会(NASF)は最近、各C&Iのための入手可能なデータの状況に関する州別の調査を終了し、現在は、国家の森林評価にさらに貢献するため、連邦機関に提供するデータの評価を行なっている。
B. 森林評価および基準と指標に関する国際協力
- 1998年7月に、米国森林局は、UN-ECE/FAO温帯林および北方林の森林資源評価(TBRRA)2000に対するインプットを終了した。同評価によって、総合的な森林資源、生物多様性、保護状況、木材と炭素の供給、森林の状態と社会経済的機能に関するデータが得られる。森林局は現在、モントリオール、ヘルシンキ、TBFRAのそれぞれのプロセスの指標の間の橋渡しを提供するための戦略を模索している。北米林業委員会の主催で、米国、カナダ、およびメキシコは、森林の資源調査と監視に関する新しい調査グループを設置した。
- 1998年7月に、森林局は、北米におけるFRA2000リモートセンシング調査の実施の方法に関する地方のワークショップを主催し、FAO(国連食糧農業機関)はこれを他の地域のモデルとして利用している。それ以来、米国は調査を終了して、メキシコの調査を援助し、プエルトリコの国際熱帯林研究所を通じて、国の能力育成を含む、カリブ海諸国の調査をコーディネートしてきた。加えて、米国は、FRA2000の、リモートセンシングおよび非木材商品およびサービスに関する要素についてFAOに技術的援助を提供しているばかりでなく、FAOの関連戦略および実行計画の策定を手助けするコンサルタントとも提供している。
- 森林局は、国際応用システム分析研究所(IIASA)との共同作業により、ロシアの森林データベースを開発し、1998年以来C&Iの実施のために分析援助を提供してきた。また、アルゼンチン、メキシコ、およびインドネシアにも、それぞれの国家規模の森林資源調査または刷新のための援助を行っている。
- 1999年11月に、米国は、サウス・カロライナ州のチャールストンにおいて、「温帯林および北方林の保全と持続可能な経営のための基準と指標に関する第11回モントリオール・プロセス作業グループ会合」を主催した。モントリオール・プロセス諸国の代表者の他、国際機関、他のC&Iプロセス、NGO(非政府組織)、州、産業界、労働界からの20名を超えるオブザーバーが出席した。同会合の大きな成果は、全世界のC&Iの比較可能性を改善し、その実行を推進する過程で、FAOに、関係政府および関係団体と共に全世界的な会議を主催することを要請したことであった。1998年に、米国は「作業グループ技術諮問委員会召集者」に指名された。
C. 火災およびリモートセンシングに関する国際協力
- 世界中の火災の災害に対応して、1998年に米国は、政府および利害関係者の森林火災の管理、防止、抑制の取り組みを支援するため、ワールド・ワイド・ウェブ上にアマゾン、インドネシア、メキシコの火災に関する衛星データ(画像、グラフ、地図)を24回掲載し、ブラジルの火災監視・防止プログラム(PROARCO)に200万米ドルを拠出し、アマゾンにおける100万米ドルの地域教育・公開講座を立ち上げ、火災の緊急事態に関する計画、準備および教育についてメキシコを援助し、メキシコの農業牧畜および林業プログラムにおける火の使用と管理に関する消防専門家会議の共同スポンサーとなり、800万米ドルの火災防止・復旧基金をメキシコのNGOと共に設立した。
- 1999年3月に、海洋気象局(NOAA)は、静止実用環境衛星(GOES)、極軌道運行環境衛星(POES)、および防衛気象衛星計画(DMSP)を用いて1998年のブラジルの森林火災監視キャンペーンから得たものを評価するため、ブラジルその他の国々の科学者と「国際間相互比較ワークショップ」を主催した。これを基に、米国とブラジルは、ブラジルの火災管理能力を高めるため、衛星火災探知、空輸画像、およびコンピューターによる火災予測モデルを組み入れた1999年火災管理計画を起草した。
- 1998年6月に、米国国務省は、地域における破壊的な火災および関連するもやの問題への取り組みを援助するため、また将来の火災の範囲を減らすため、新しい330万米ドルの東アジア太平洋環境構想を開始した。これには国際森林林業研究センター(CIFOR)および国際農林業研究センター(ICRAF)による1997-98年の火災の根本的原因に関する調査への資金提供が含まれている。
- 1998年7月に、米国国務省は、地球災害情報ネットワーク(GDIN)を立ち上げるための第1回国際会議を主催した。このネットワークは、自然災害の防止、緩和、対応のために正確なデータをタイムリーに配信する仮想ネットワークを構築するものである。1999年5月に、米国とメキシコは、メキシコシティーで第2回GDIN会議を共同で主催した。第3回会議は2000年にトルコで、第4回の会議は2001年にオーストラリアでそれぞれ開催されよう。
- 1999年に、G8は、森林の現況調査、評価、監視、経営のため、および火災などの森林関連の脅威と災害に対応するための1手段として、リモートセンシングの利用の拡大を目指す米国の提案による共同イニシャティヴについて同意した。その第1段階として、G8は、国内の活動および他国や国際機関との活動を含む、自国の既存のリモートセンシング活動の一覧を作成する。これは、リモートセンシング・データに対するニーズおよび森林に関する能力の評価により補完されるであろう。このイニシャティヴに基づいて、G8は、比較可能な空間データ基準の設定と維持の方法を明確にすることを目指し、国際的には、関係諸国や他のユーザーがこうした情報を利用しやすいようにし、リモートセンシング・データおよび技法の関係諸国の利用と応用能力を高め、森林の現地活動のニーズを満たすために実用化を拡大することを目指す。
III. 国家森林プログラム
本報告書の他の箇所で明らかにした国内および海外の活動の多くは、米国および他の国々の「持続可能な森林経営のための国家プログラム」の改善に関係するものであり、さらに以下の活動がこれらに加わる。
- 1999年9月、米国森林局は、新計画規則草案を発行した。これは、国有林の持続可能な経営に重点を置き、持続可能性に向けての作業に方向性を与え、基準と指標および監視活動の重要性を認識するものである。これらの規則に基づいて、森林局は、州、非政府組織、産業界と連携して、さらに積極的に持続可能な森林経営を追求させるため、1,150万米ドルを割り当てる。
- 1998年10月に、森林局長官は、天然資源アジェンダ21に基づく補助金提供に200万米ドルを拠出した。この大きなイニシャティヴは、水質が低下した流域の回復、国有林におけるレクリエーション・サービスの改善に重点を置き、持続可能な森林生態系の経営を統一テーマとして掲げている。
- 1998-99年に、USG(米国政府)は、1998年6月に国連環境開発特別総会により承認されたIPF行動提案の実行に関して、利害関係者との協議過程を開始した。同過程の一環として、米国は、IPF行動提案とモントリオール・プロセスC&Iとの間の関連づけを調査しているところである。
- 1998年7月に、クリントン大統領は、熱帯林保全法(TFCA)に署名した。同法は、森林保全対策と引き換えに、熱帯林のある国々の米国に対する公的債務の軽減を許可するものである。同法は、ラテンアメリカ8カ国との間で10億米ドル近い公式債務の帳消しの合意に至った革新的な1992年「アメリカン・イニシアティブ事業」を拡大したものであり、子供の生存および環境事業のために相当の現地通貨を生み出した。いくつかの国がTFCAに基づき合意を結ぶことに関心を示している。同法によっていったん手続を実行すれば、適格国において森林保全の促進のために前例のない機会が与えられる可能性がある。
- 1998年と1999年に、「米国地球研究プログラム」はその年次報告書「我々の変化する惑星」を更新したが、これによって、森林生態系に対する気候変動の影響を含み、米国における気候変動の影響に関するデータが得られる。
IV. 保護地域
- 1999年10月に、クリントン大統領は、収穫と道路建設から保護すべき連邦所有の森林を、1、800万ヘクタール増やすための計画を発表した。1年間の審査の過程において、一般の意見を募り、環境への影響に関する声明を行なった結果、保護すべき特定の地域が決定した。これは、米国史上最も重要な土地保全の取り組みの1つとなっている。
- 1999年2月に、米国森林局は、国有林の選ばれた地域における新しい道路の建設の一時停止を発表したが、一方で地域社会の関与する包括的調査が各地域について行なわれている。乱されていない森林生態系の分裂を含み、森林道路を増やすことによる潜在的な環境、経済、および社会的影響を考察するために、新しい科学的手法と分析手順が用いられよう。
- 1999年3月に、米国とブラジルは、森林保護についての国際理解を深め、国連森林に関する政府間フォーラム(IFF)の作業に貢献するため、プエルトリコで保護森林地域に関する国際専門家会議を共同で主催した。130名の専門家が70カ国を超える国々、国際組織、環境グループや現地グループ、研究機関、および大学から出席した。最終報告書は、1999年5月のIFF3で会議資料として発表され、発行された。
- 1998年に、米国はアルゼンチン、ブラジル、およびチリと共に、ペルー・エクアドル和平条約の保証人となった。同条約によって、森林を保護しながら国境紛争を解決するための画期的な方法として、うっそうとした森林の国境沿いに平和公園が設置された。
- 米国は、US BIOECONETやインターアメリカン生物多様性情報ネットワーク(IABIN)などのコンピューター・プログラムを基にして天然資源のデータベースを作成することを目的として、森林保護などの資源保全に関する西半球諸国間の情報共有を促進するために、他の西半球諸国の政府、大学、およびNGOと協力している。
V. 民間セクター
公共―民間の連携は、米国および他の多くの国々における持続可能な森林経営にとって不可欠な手段である。「民間セクター」という語に含まれるのは、NGO関係者、環境保護団体、企業、労働者、学者、博愛主義者、森林所有者のグループである。本報告書の他の項で述べた多くの活動にNGOが参加してきた。さらに以下の活動がこれらに加わる。
- 1998年に、米国エネルギー省、および主要米企業(例えば、インターナショナル・ペーパー、ウエアハウザー、プロクター&ギャンブル、ジョージア-パシフィック)を代表するアメリカ森林製紙協会(AF&PA)は、米国森林局を組み入れるために、両者の共同の技術ビジョンおよび研究アジェンダ2020を拡大した。アジェンダ2020は、効率、バイオテクノロジー、および持続可能な森林経営の改善を目指す優先度の高い研究事業を明確にし、これに資金提供することによって、米国全土において持続可能な森林経営の実践を促進するものである。アジェンダ2020は、これまでに、官民を合わせた資金調達で1,300万米ドルを集めた。
- 1999年9月に、国務省は、米国の国際的な森林関連の優先事項を明確にすることを目的として、主要な非政府の団体(環境団体、企業、州など)との間でハイレベルの話し合いを開始した。国務省は、協議過程も拡大し、パルプ、製紙、木製品、およびその他の天然資源を原材料とする業界の300,000人の労働者を代表する草の根組織である、パルプ・製紙業界労働者資源評議会を組み入れた。同評議会は、国内外の森林問題に関して米国政府(USG)を関与させるためにグループを設置し、持続可能な森林経営の促進における森林依存コミュニティの重要性を強調した。
- USGは、米国世界自然保護基金、他の環境関連NGO、およびフォード社と協力してイニシアティブをとり、1999年5月に、森林を含む包括的な北米陸生生態地域保全評価を刊行するに至った。
- 1999年のケルン・サミットで、G8の首脳は、米国に促されて、カナダその他の国の支援を得て、2001年までに作業が完了することを目指し、共通の輸出信用機関のための環境ガイドラインに向けて、OECD内で作業を行なうことにコミットした。米国輸出入(EX-IM)銀行は、森林経営および木材加工事業を含み、米国企業がスポンサーとなる海外プロジェクトの資金援助申請を評価するために、「環境関連事項の手続と指針」を整備している唯一の輸出信用機関である。
- 米国の気候変動行動計画の一部である共同実施に関する米国イニシアティブ(USIJI)は、米国の民間セクターに、米国以外のパートナーと協力して活動し、温室効果ガスの排出削減や持続可能な森林経営など、全世界の持続可能な開発の促進のためにその資源と革新技術を利用するよう促している。1999年3月現在には、USIJIは、森林保全、保護地域、再植林、伐採の影響軽減、および炭素除去の利益が得られる地域の造林を支援する事業など、16カ国の36事業を受け入れていた。
- 1999年5月のハリケーン「ミッチ」の後、USAID(米国国際開発庁)と米国商務省は、その持続可能な林業構想(SFI)によって、中米の被害を受けた地域の復興のためにAF&PAと共同で作業を開始した。この共同作業には、ホンジュラスのGuanaja島における長期の持続可能な森林経営に関するパイロット・プログラムが含まれる。
- 1998年に米国は、USAIDを通じて、また「国際熱帯林機関」への貢献によって、ブラジルとインドネシアの熱帯林における、影響の少ない伐採に関する事業を支援した。同事業は、産業界、環境団体、学術界のメンバーを伴うNGOである「熱帯林財団」により実施されているところである。
- USGは、引き続き、持続可能な森林経営を目指す手段として、民間の任意の行動規範を歓迎し、民間の任意の市場に基づくメカニズムの開発と適用を歓迎している。これに関して、以下の事項が伝えられている。
- AF&PAは、協会メンバー以外の者にSFIへの参加を許可しており、とりわけ、SFIの実施手段と報告要件を守ることに同意する地方政府およびNGOの森林所有者(すなわち、ミネソタ州セント・ルイス郡、保全基金)に許可証を発行している。また、SFIの範囲を広げて、メンバー企業/許可証を付与された者が、自身のSFI基準の遵守状況の文書化と連絡のために国際的に一貫した検証方法を適用できるようになる「任意検証過程」を含めるようにした。
- 多くの輸出会社と輸入会社を代表する国際木材製品協会(IWPA)は、木材製品の貿易および森林経営についてSFIと同様の承認されたメンバーの任意の「行動規範」を定めた。
- 森林経営の地域基準と規準の作成のために、森林管理評議会(FSC)が国内産業および民間土地所有者と共同で作業をした結果、今日では米国全土の約179社が、FSCの「管理チェーン」の認定を有し、米国の52社の森林経営会社がFSCの認定を受けている。
- 小さな森林の民間所有者数千人を代表する全国森林所有者協会は、個々の所有権の森林経営を証明する「グリーン・タグ・林業プログラム」を策定し、実施しているところである。
VI. 違法伐採
- 1998年6月に、動植物健康検査局(APHIS)は米国の魚類・野生生物局との協力により、ボリビア、ブラジル、および他の地域の国々により行われているSwietenia Macrophylla(大量に商業取引されるマホガニー)の附属書IIIのリスティングを促進し、これに対応するため、CITES(ワシントン条約)の附属書に記載された樹木の種の受入れに利用できる輸入港の数を増やした。
- 1998年にUSAIDは、そのProarea Capasプログラムにより、Swietenia Macrophyllaの採取活動、違法伐採、および違法取引の分布と状況に関して、中米およびメキシコで調査を開始するための資金援助を行った。
- 2000年1月に、東南アジアのメコン・デルタ地域のホスト国政府の他、国際機関、NGO、および援助供与国となりそうな国々との協議の後、米国は、1999年6月にカンボジアのプノンペンで世界銀行が主催した「森林法施行」シンポジウムの結果に基づいて、違法伐採および越境貿易に関する地域ワークショップを主催する意向を発表した。
VII. 次のステップ
前記の行動は、G8森林行動プログラムを推進するための米国の初期段階の取り組みを反映している。優先される5つの全分野、特に保護森林地域および違法伐採/取引の分野において、さらに取組が必要となる。国内と海外における森林経営にとってきわめて重大な民間セクター関係者の役割と貢献にもさらに多くの注目が集まるであろう。
2000年7月の沖縄サミットの成果によって、策定してからまだ2年に満たないG8森林行動プログラムを、G8のイニシアティブとしてどのようにして存続させていくかが決まるであろう。米国は、首脳による今後の実施状況の検討を含む、同行動プログラムの継続を強力に支援する。また、行動プログラムの範囲内で、G8が持続可能な森林経営を促進するための現行の努力に付加価値をもたらす共同の努力にさらに重点を置くことも、検討する価値がある。
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