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G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書

個別報告書
日本

I. はじめに

「G8森林行動プログラム」は、1998年5月G8外相会合において発表され、同年のバーミンガムサミット・コミュニケにおいても、G8は2000年にこの行動プログラムの実施の進捗状況をアセスする旨言及があった。以下は、1999年8月現在の我が国の本プログラムに関連する国内的取組及び国際的貢献について、本プログラムの項目毎にまとめたものである。

II. モニタリングと評価

我が国は、
1.国内における適切な森林計画の策定とその円滑な推進に資するため、森林計画編成のための必要調査として、基本的に5年ごとに森林資源状況の把握を行ってきており、現在、44の広域流域ごとに全国の森林資源状況を明らかにしている。
2.1999年4月から、国内において、モントリオール・プロセスの持続可能な森林経営の基準・指標(C&I)との互換性を念頭に、森林の状態と変化の動向を全国で統一した手法に基づき把握・評価する森林継続調査を実施中。
3.国内において、地域レベルのC&Iの策定・モニタリング手法開発のための10カ年事業を国内2流域で実施中。
4.国内において、モントリオール・プロセスの各指標の測定法を開発・評価する調査・研究を実施中
5.国内において、酸性雨等による森林衰退の早期発見のための監視の強化及び立地環境の変化を把握するため、定点でのモニタリング調査を実施中。
6.国内において、森林も含めた国土の自然環境の現状を把握し、我が国の保全施策に資するため、自然環境保全基礎調査を実施してきている。1999年より行っている調査では、特に、全国土の現存植生図の図面の更新を進めている。
7.パートナー国におけるC&Iのモニタリングシステムの整備・確立を支援する調査を実施中。
8.国際熱帯木材機関(ITTO)のC&Iの開発及びC&Iの計測マニュアルの開発プロジェクトに拠出してきたほか、C&Iの普及プロジェクトにも拠出しており、これらの事業は現在実施中である。我が国は、今後ともITTOのC&Iの普及プロジェクトへの拠出を前向きに検討していく。
9.国連食糧農業機関(FAO)の2000年に向けた森林資源調査への貢献策として、アジア太平洋地域における森林資源評価手法の国家能力強化のためのFAOのプロジェクトに拠出した。右プロジェクトは現在実施中。
10.森林火災のモニタリングと早期消火手法の確立等を目的とした、国際協力事業団(JICA)による森林火災予防プロジェクトをインドネシアで実施中である。
11.ITTOを通じて、1996年にITTOで採択された森林火災対策ガイドラインに基づいた、インドネシアの国別ガイドラインを策定するためのプロジェクトに拠出し、1999年2月にインドネシアで開催された国際ワークショップにおいてその国別ガイドラインが策定された。今後、この国別ガイドラインに基づき、インドネシア地方政府職員の訓練が行われる予定。
12.1998年9月に、JICAの森林火災に関するプロジェクト形成調査団をインドネシア、マレイシアに派遣した。このフォローアップとして、インドネシアについては、1999年より我が国専門家を派遣している。また、マレイシアについても我が国専門家を派遣する予定である。
13.1998年9月に、ITTOの森林火災に関する調査団のインドネシア、マレイシアへの派遣に拠出した。今後必要な対策を検討するため、森林火災の範囲と原因や、森林火災に対して取られた国内的及び国際的措置についての検証などを行った。
14.1998年12月に、JICA、ITTO、インドネシア政府関係機関との三者共催による「東南アジア森林火災管理フォーラム」をインドネシアで開催した。同フォーラムは、関係諸国・国際機関間で情報・意見交換を行い、それまでに実施されてきた森林火災への取組を整理すると共に、以後の効果的な対策の実施に貢献することを目的として行われた。
15.パートナー国における熱帯林の適正な管理を推進するため、リモートセンシングによる森林資源の調査・解析手法の確立及び情報サービスシステムの整備を支援する事業を実施中。
16.リモートセンシング技術を利用した、森林被覆の簡易な測定方法を開発、普及するためのITTOプロジェクトに拠出し、右プロジェクトは現在実施中。

III. 国家森林プログラム

我が国は、
17.国内において、林業基本法に基づき、我が国の森林計画や各種森林・林業施策が依拠すべき最も基本的な長期プログラムとして「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」をたて、これを公表している。現行のものは「持続可能な森林経営」の理念を明確に打ち出し、幅広い層の国民の参加を得つつ、生態系としての森林の重要性を踏まえた多様な森林資源の整備を推進することとしている。
18.1998年10月に、持続可能な森林経営の推進に寄与するものとして、森林法等の改正を行い、幅広い国民の意見を反映させるため、森林計画案(民有林に係る地域森林計画等や国有林の地域別の森林計画)や管理経営基本計画案等を縦覧に供する制度を導入したほか、市町村レベルでの森林計画制度を拡充した。
19.1999年8月に、「ODAに関する中期政策」を新たに策定し、我が国のODAの基本的方向性等を明らかにした。この「中期政策」において我が国は、1997年の国連環境開発特別総会(UNGASS)で我が国が表明した「21世紀に向けた環境開発支援構想」の基本理念及び行動計画に基づき、パートナー国における森林の持続可能な経営を重点分野として位置づけ、様々な技術的及び資金的支援を引き続き積極的に実施することを盛り込んだ。現在、JICA、海外経済協力基金(OECF)等を通じ、パートナー国の持続可能な森林経営を支援することを目的とした、様々なスキームによる技術協力・資金協力を実施中。
20.パートナー国において、地域住民等関係者の参加システムの構築・定着手法を開発するための調査など、モデル森林の設定を支援する調査事業を実施中。
21.持続可能な森林経営を現場レベルで実証する「モデル森林」の取り組みを世界的に推進することを目的とした、一連の「モデル森林の推進に関する国際ワークショップ」を我が国で2000年度まで毎年開催することとしている。
22.1999年度からFAOを通じ、アジア地域の開発途上国における国家森林プログラムの構築・実行能力の向上を図るべく、現場レベルで持続可能な森林経営を実証するための地域プロジェクトに拠出中。
23.JICAを通じた開発調査により、途上国における国全体あるいは特定地域における森林資源のマスタープランの策定にかかる技術移転を行い、当該国の国家森林プログラムの策定・実行能力の構築を図る事業をパートナー国で実施中。
24.ITTOの2000年目標に対する加盟生産国の取組を支援するため、持続可能な熱帯林経営のためのアジア、アフリカ、南米における各種ガイドラインとC&Iの現地での実証や適用のためのプロジェクトに拠出したほか、ITTOの多数のプロジェクトに拠出している。

IV. 保護地域

我が国は、
25.国内において、以下のように、森林法、国有林野の管理経営に関する法律等のほか、自然環境保全法、自然公園法等の法律に基づき各種の保護地域を指定し、森林生態系の保全、開発行為の規制等を行っているほか、保護地域に関する調査を実施している。
26.我が国の森林法に基づき、優れた自然環境の保全を含む公益的機能を発揮させる必要のある森林を保安林に指定し、保安林での立木の伐採等の行為規制を行うことにより、森林の保全と適切な森林施業の確保を図っている。現在、我が国の森林面積の約3割が保安林に指定されている。
27.1998年12月、「国有林野の管理経営に関する基本計画」を策定し、国有林野の公益的機能の維持増進を旨とするものに転換する方針の下で、個々の国有林野を重点的に発揮させるべき機能によって類型化し、「水土保全林」、「森林と人との共生林」、「資源の循環利用林」の3区分に再編した。このうち、森林生態系の保全、保健文化等の機能を第一とする「森林と人との共生林」は、概ね200万ha(国有林野の約3割)を占めている。 特に保護を図るべき森林については、森林生態系保護地域等の保護林として設定し、原生的な天然林や貴重な動植物の生息・生育地等である森林の保護・管理を行っているところである(1999年4月1日現在、812箇所、約514千ha)。
28.我が国国内の、原生状態を保持し一定のまとまりを有している自然地域及びすぐれた天然林が相当部分を占める森林については、自然環境保全法に基づき、それぞれ「原生自然環境保全地域」及び「自然環境保全地域」に指定し、行為規制等によって自然の保存・保全を図っている。
29.我が国の自然公園法に基づき、28の国立公園、55の国定公園、307の都道府県立自然公園を指定している(1999年3月現在)。これらの自然公園では、各種の開発行為が規制されることにより、野生動植物やそれらの生息・生育環境が保護されている。その結果、自然公園は生物多様性の保全に大きな役割を果たしている。森林については、保護のための規制の必要性に応じて施業に対する制限を定めること等により、森林の保全を図っている。
30.国内において、全国レベルの森林継続調査の結果を踏まえた森林タイプの特定を検討中。
31.1999年、ITTOのマレイシアの自然保護区における森林保全のためのプロジェクトに拠出した。
32.ITTOを通じて、インドネシアとマレイシアの国境地帯の保護地域における、生物多様性に関する両国による合同調査プロジェクトに拠出している。
33.世界の熱帯地域における保護林の適切な経営手法の確立を支援する調査事業を実施中。
34.1999年より、パートナー国の技術者を対象とした、保護地域の管理・経営に関する能力向上のための研修を実施中。
35.1999年から、世界の様々なタイプの森林を対象に、生物多様性、地球温暖化等の観点から保護地域が果たす役割についての調査を実施予定。

V. 民間セクター

我が国は、
36.国内の流域(全国158流域)を基本単位として、流域内の森林・林業、木材産業等に関わる多様な関係者による協議と合意形成によって、その流域の特性に応じ、民有林・国有林を通じた適切な森林整備と林業等の活性化を図るための「森林の流域管理システム」を推進中。多様な関係者で組織する活性化センターを流域毎に設置し、実施方針及び実施計画を策定し、合意形成を図りながら流域に応じた具体的な取り組みを実施中。
37.国内において、森林の役割についての一般市民の認識の向上と森林・緑づくりへの国民参加を推進するための事業を、地球温暖化対策への取組の一環として実施中。
38.国内において、木材の有効利用を通じた地球温暖化対策への取組として、木材の利用・加工技術の向上に関する事業等を実施中。
39.FAOのアジア太平洋林業委員会(APFC)が実施している、収穫に関する行動規範・ガイドライン作成事業に資する調査として、熱帯生産林における施業基準・ガイドライン作成を支援する調査事業を実施中。
40.ITTOを通じて、林産業分野等における資源の有効利用、持続的木材生産を促進するためのプロジェクトに拠出した。右プロジェクトは現在実施中。
41.パートナー国における我が国の民間団体等による緑化活動を推進するため、緑化に関する普及啓発、人材育成、技術指導等の支援を実施中。
42.1999年7月、小渕総理は訪中した際、中国国内において植林緑化事業を進めている中国の民間団体等に対して我が国の民間団体等が行う協力事業を資金面で支援するための基金(通称「小渕基金」)を設置することを発表した。我が国はこれを受け、同基金の具体的な運営組織づくりに取り組んでいるところである。

VI. 違法伐採

我が国は、
43.我が国の森林法その他の法令において、無秩序な立木の伐採や森林の開発行為を規制するための各種制度と違反に対する罰則を定めている。
(1) 森林計画制度:立木の伐採の届出及び伐採計画の変更・遵守命令等の措置
(2) 林地開発許可制度:一定規模をこえる開発行為の許可制
(3) 保安林制度:保安林における立木竹伐採(損傷)の許可制
(4) その他:自然環境保全法、自然公園法等の法令の下で、それぞれ定められた区域内での立木竹伐採(損傷)の許可制
(5) 罰則:上記制度の規定に違反した場合の罰金等
44.我が国の国有林等における違法伐採(盗伐)等に対する取り締まりについては、森林管理局長等と地方検察庁検事正との協議により、森林管理局等の職員に司法警察権を付与している。
45.ITTOを通じて、木材統計情報の整備、統計処理機能上の向上を目的とし、人材育成や体制整備を図るための加盟生産国のプロジェクトに拠出している他、木材貿易や生産に関する国際的な統計情報機能の強化を図るために関係国際機関が協力して取り組む活動に拠出している。我が国は、このような取組への支援を通じて、木材貿易に関する経済情報と市場透明性の改善に貢献している。


目次

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