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G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書個別報告書
イタリアI. はじめに
世界全体の森林問題からみればイタリア国内のイニシャティヴの重要性は低いということに鑑み、当報告書は外務省による開発協力援助プログラムに絞っている。
まず最初に環境および持続可能な開発の分野における、自然資源の管理改善の支援を目的とする、森林・放牧地・水にかかわる各種プロジェクトなどの国連食糧農業機関(FAO)・イタリア政府の協力プログラムについてふれる。
さらに、「森林に関する政府間フォーラム」において各国が共同して推奨し、1999年9月12日から17日までマーストリヒトで開催された農業と土地の多機能的な性格に関する国連食糧農業機関(FAO)・オランダ会議で検討された全体的なアプローチに従って、森林に関する重要な事項は、持続可能な農業や農村開発にもかかわる、二国間、多国間のイニシアティブをもとに考慮されなければならない。実際のところ、持続可能な森林経営の目的は、人類の活動の一般的な調和と強く連動しているように見える。人類の活動は、根本的には典型的な文化的価値観の適切な理解次第できまる。林業や農業の面からだけではなく、自らの自然的なアイデンティの反映として世界に存在する異なった文明の面からの理解である。
II. モニタリングと評価
この分野におけるイタリアのもっとも重要なイニシアティブは「人工衛星によるリモートセンシングに基づいた東アフリカの地表地図」の作成プロジェクトに代表される。これは、FAOによるナイル流域諸国援助の一環であり、また、「アフリカバー」という名称で知られている、全アフリカがかかわるより大規模な複数支援国プログラムの一部でもある。
このプロジェクトが5年計画で開始されたのは1995年。信頼できる地表地図を作成し、リモートセンシングの運用上の利用における各国の能力を強化することによって東アフリカおよびナイル流域諸国における、自然資源開発ならびにそれらの持続可能な管理のための能力を強化するという開発目的を持っている。
このプロジェクトはナイロビに運用の本拠、「調査・地図作成・リモートセンシングセンター(RCSSMRS)」を置いている。
国レベルでは、プロジェクトに使用するための地勢データや既存のテーマ別データを調査し、利用可能性を評価する活動は完了している。さらに、地図作成にかかわる能力を持った全国的な作業グループが各国に組織されている。ソマリアとケニアの地表地図はすでに完成している。タンザニアとエジプトのものは現在は進展段階にあり、ブルンディ、ルワンダ、スーダンに関するものは1998年に開始。その他の国々についてはまだ未処理である。
世界銀行プログラムの枠内でイタリアが積極的に支援しているもう一つの重要なプロジェクトは、ボスニアとヘルツェゴビナにおける森林経営の再調整とその改善を目的としたものである。
プロジェクトの活動は、衛星画像の連邦ベースでの完成、森林資源の地図化、森林種目の一覧表の作成などが含まれている。現行の地図化作業を補完することに重点を置きながら、このプロジェクトは広範で統合的な組織の確立という展望をもっている。当プロジェクトはレファレンスベースを改善し、森林経営計画能力を向上させるという目的をもち、森林関係の立法および森林政策、森林・公園開発、国営林業企業の再建から行政および財政組織にまで亘っている。
プロジェクトの活動は、衛星画像の連邦ベースでの完成、森林資源の地図化、森林種目の一覧表の作成などが含まれている。現行の地図化作業を補完することに重点を置きながら、このプロジェクトは広範で統合的な組織の確立という展望をもっている。当プロジェクトはレファレンスベースを改善し、森林経営計画能力を向上させるという目的をもち、森林関係の立法および森林政策、森林・公園開発、国営林業企業の再建から行政および財政組織にまで亘っている。さらに、アルバニアにおけるイタリアの森林プロジェクトイニシャティヴにもふれておかねばならない。これについては以下で述べる。
III. 国家森林プログラム
主要な活動に、世界銀行およびイタリア政府によるアルバニアでの「森林プロジェクトに対する技術支援」がある。一般的な森林プロジェクトのうち、この支援は二つの側面にかかわっている。森林関連行政機構の開発と国有林管理の改善に焦点があてられている。
第一の目的は、森林経営の主要行政組織である森林・牧草地局(DGFP)の行政能力の強化で、プロジェクト終了時には森林企業体と森林・牧草地部に再編されることになる。この分野における活動には、森林・牧草地局(DGFP)の管理原則の改定やDGFP改革法案の準備が含まれている。森林および牧草地の環境を考慮した開発戦略が策定されなければならない。森林経営にかかわる財政、経理手続も同じである。このプロジェクトはまた、プロジェクト評価のための研修を行い、プロジェクト・モニタリング制度を確立し、森林関連省庁の組織を強化する。
第二に、このプロジェクトは、地方レベルでの管理・企画能力を向上させ、森林の劣化に歯止めをかけることも目的としている。多目的森林管理計画を確立するための適当なスタッフの研修も実施する。
最後に、このプロジェクトは、省内に新組織を作り、スタッフの研修を行い、アルバニアの森林の状況やプロジェクトの社会経済的影響、環境に対する影響をモニターする情報システムを設置するなど、環境管理、環境モニタリング、環境アススメント能力の向上を図ることも目的としている。
1997年の社会不安のため、このプロジェクトが、若干、実施上の問題をもちながらも、効果的に活動を開始したのは1997年10月であった。1998年には、森林管理計画、材木取引、森林現況調査、財務・データ管理、立法化、モニタリングと評価、研修者教育などについて多数の協議が開かれた。新森林管理計画ガイドラインが策定され、間伐の見直しが実施された。世界銀行およびプロジェクト管理部の要請により、技術支援は森林・牧草地局(DGFP)の全活動のモニタリングと評価の支援にまで拡大された
さらに、地域の生産性を向上させ、農業、林業、牧畜の潜在力を開発するニジェールのAdder Doutchi Maggia総合農村開発計画は、森林プログラムと農村プログラムの統合例の一つである。
1996年7月から99年3月にかけて実施された活動は、農民の事業団体の経営する約40の小規模植林園で生産された約2,300,000本の苗木を使用し、総計約1,986ヘクタールの植林を行うことができた。
国家森林プログラムの趣旨と関連するものにボリビア、ネパール、チュニジアの森林、土壌保全、河川流域管理を担当する省庁と合同で実施している「参加型高地保全と開発のための地域間プロジェクト」がある。
このプロジェクトの成果としては、革新的技術や組織的な対策を導入し、現地のノウハウを再活性化させることによる河川、森林、牧草地管理の改善への貢献がある。
また、約306,000米ドルの総予算(認可済み)で1999年の5月から2000年4月まで1年間実施されたシリアにおける参加型総合森林資源管理プロジェクトにおいても国家森林プログラムが後になって考慮された。
シリアにおける森林資源は大きな人為的圧力に脅かされているため、このプロジェクトの目的は以下の側面を促進させることにある。a) 中央と地方レベルの調整が可能な参加型計画と実施、b) 技術と運用の特質(たとえば簡潔性や対費用効果)の受け入れと普及、c) 使いやすく効果的なモニタリング・システム、d) 研修の重視。
最後に、194100米ドルの総予算(認可済み)での、ベトナムにおける国家森林行動プラン実施のための人材育成のための4カ年計画についてふれておかねばならない。
このプロジェクトの目的のひとつに、各国ですでに考慮されている側面を確認するという点がある。特に、この国家森林行動プランにかかわる当局者や森林部門関係者の市場経済への移行過程に関連した問題の知識と技能の向上をはかるという目的がこれにあたる。
保護地域
これに関し、特筆すべきイニシアティブがいくつかある。
第一に、総予算2,940,580米ドル(認可済み)で1997年7月から2001年3月までの3年半にわたるモロッコのタザ県における自然資源管理プロジェクトである。
このプロジェクトは、自然資源に対する参加型管理手法を採用し、実施することによりタザ県における現存の制約を克服することを目的としている。このプロジェクトはその活動をタザ県の二カ所に集中させている。乾燥した平野に位置するタフラタと山地にあるタゼッカである。タフラタでは牧草地の潜在的生産能力の強化をめざし、タゼッカ地区では1950年に国立公園となり、それが最近拡張され、モロッコ政府の森林生態系保護政策で戦略的役割を果たしている。
プロジェクトの目的は、改良型放牧システムの導入、技術ならびに法制度面での地元の協力体制の支援、参加型管理・計画にかかわる技術系人材の研修、プロジェクトの活動の評価制度の活性化などである。
小規模な牧畜・養蜂における収入獲得活動は、特に農村の現存の女性団体を特に対象とし、新たな農村における協同組合や団体の組織化を支援している。
プロジェクトチームは地元の農民、とりわけ女性グループとのさまざまな会合を開催し、プロジェクト支援で実施される具体的な活動を決定した。
1998年末に、それまでの参加型計画の成果を発表するセミナーがローマで開催され、作業計画を更新し、スタートさせた。
今後の活動を分析したさまざまな文書が、これらの会合に集まった専門家やプロジェクトの地元チームのメンバーにより準備された。
保護地域の分野での他のイニシアティブは、生物区、経済区を設け、それぞれの基準、関連法律、管理手続の調整をはかることにより、国境にまたがる保護生態系の持続可能な管理に向けての国境を越えた協力プロセス支援にイタリアの開発協力を積極的に関与させた欧州連合の議長国イタリアのフォローアップにかかわるものである。
これらのプロジェクトの一部は、ペルーとボリビアのアマゾン流域のタンボパタ・カンダモ・マディディ国立公園や南アフリカ、モザンビーク、ジンバブエにおけるクルーガー・ジナベ・ゴナレゾウ国立公園などその生物多様性のレベルで国際的な注目をあびている危機的状況にあるきわめて重要な群集森林(森林バイオーム)保護地域にかかわっている。
これらの取組は、広大かつアクセスの困難な森林地方の管理にかかわる問題、資源の非最適条件での利用と枯渇にかかわる問題、野生生物の密猟および麻薬生産に関わる違法行為の問題など共通の問題の取扱において隣接国による国境を超えての協力関係を作り上げることにより、それぞれの地域の経済的、社会的、政治的安定に貢献することを目的としている。
最後に、シリア大草原における放牧地および再生野生保護区の開設4カ年計画をあげておかねばならない。これはその実施中に、1997年に終了した国連農業食糧機関(FAO)とイタリアの合同プログラムである、地中海および中東地区における林業および食糧安全保障計画と連携を十分に考慮した。
V. 民間セクター
一般的な持続可能な森林経営政策および手続きの策定(例えば環境プライマリーケア・モデル)に積極的支援を行い企業活動の促進に貢献することに加えて、イタリアによる協力は特に関連ある地域社会の開発プロジェクトをいくつか実施している。
これらのなかには、ペルーのアマゾン流域森林におけるマドレ・デ・ディオス盆地のプロジェクトがある。これは、森林の再生可能資源の持続可能な使用にかかわる企業活動の特定と動員に、先住民社会を関与させることを目的としている。以下のことについて特別の努力がなされている。市場性を向上させ、損耗を減少させるため現行の使用形態に改良された技術と地域社会の通商方法を統合させること;伝統的に使用されてきた持続可能な通商に向けて代わるものを特定し、また森林からの新産品を特定すること;異なった民族・文化グループの企業的革新への反応の違い及びその適切な管理手続きの策定への影響に関する研究・評価により貢献すること。
もうひとつの注目すべき例として、ブラジルのロンドニア州およびアクレ州にわたるアマゾン川流域での、イタリアによる協力のプロジェクトあげることができる。
このプロジェクトの目的は、この2つの州の小規模生産者(主にコロノスとセリンゲイロス)の団体が、新たな経済収入の方法を見つけることを支援することである。この新たな収入源は、放牧および(あるいは)採鉱による大規模な森林破壊による自然資源の略奪的、無差別開発の傾向を是正しうるものである。このために、必要な利害関係者の関与を促進させるばかりではなく、市場や消費者・サービス部門および生態系の制約への効果的なアクセスという観点から刷新的な見通しを評価する。
問題の代替収入源は諸策を組み合わせたものである。ブラジルおよび世界の有識者によって認められた計画にしたがって、樹木と原産のヤシの実と人間の食糧や家畜の飼料生産のための永続的、一般的農業を組み合わせた方法が考えられる。これは森林破壊地区の復興および持続可能な経営ができるものである。
農業・林業制度は、たとえロンドニア州およびアクレ州でレベルが大きく異なっていたとしても、人的開発、環境開発に必要な戦略である。これには、世界銀行や先進国の資金に大幅に支えられた国際プログラムに依存した民間セクターのイニシアティブが大きく役に立つ。
当然のことながら、これらのプログラムには環境教育、一次医療・予防医療、農業製品の産業化転換のための機器の調達、企業のための借入れ制度のための活動が含まれる。
VI. 違法伐採
林業生産物の密猟問題については、イタリアによる協力は、森林資源および保護地域の制度的管理のための統合プログラムの枠組みのなかで積極的に行われている。これらプログラムのすべてに、違法狩猟、違法伐採の取り締まり対策が含まれている。これらは、直接的には森林査察や管理業務を強化し、地元の地域社会の参加をうながすことであり、非間接的には、その利用が環境とも両立できる形態(たとえばエコ・ツーリズムや文化ツーリズム)の開発にとりわけ焦点をあてた、森林資源の合法利用の形態を確立するため経済面、行政面でのインセンティブを与えることである。
もっとも関連ある例のなかで、上記の二つのプロジェクトのタイプは、制度面のアプローチおよび組織造りから生まれている。これらはイタリアが財政支援を行っている南アフリカ、モザンビーク、ジンバブエの国境にまたがる保護生態系の持続可能な管理に対して、またアルバニアとボスニア・ヘルツェゴビナにおける国家森林プログラムの枠内の林業プロジェクトである。
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