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G8コミュニケ・沖縄2000
(仮訳)

2000年7月23日、沖縄

前文
  1. 我々、主要先進民主主義8か国の首脳及び欧州委員会委員長は、新たなミレニアムにつながる年に第26回サミットのためにここ沖縄に集った。我々は、世界中の平和と繁栄のために努力する上での第1回ランブイエ・サミット以来の試練及び進展をかえりみるとともに、G8が21世紀において発展しつつ果たすべき役割について話し合った。

  2. 20世紀の最後の四半世紀の間、世界経済はかつてない水準の繁栄を遂げ、冷戦は終焉し、グローバリゼーションは次第に共同体という共通の認識を生み出した。こうした進展の原動力は、サミット参加者が一貫して唱えてきた民主主義、市場経済、社会的発展、持続可能な開発及び人権の尊重という基本的な原則と価値が世界的に広まったことにある。しかし、今なお世界の多くの場所で貧困と不公正が人間の尊厳を害し、紛争が人的苦痛をもたらしているということを我々は痛いほど認識している。

  3. 新しい世紀に移行するに際して、我々はこれらの絶えざる問題に取り組むべく引き続きリーダーシップと責任を果たし、新しい課題が持ち上がる度に真剣に取り組むつもりである。我々は、紛争と貧困の根本原因に取り組まなければならない。我々は、情報通信技術(IT)や生命科学といった分野の新しい技術により創られた機会を果敢につかまなければならない。我々は、すべての人に対するグローバリゼーションによる利益を最大化するために創造的であり続ける一方で、グローバリゼーションに関連した懸念を認識しなければならない。我々は、あらゆる取組において、21世紀のより明るい世界のための礎として、我々の基本的な原則と価値を強化しなければならない。

  4. グローバリゼーションが果てしなく深化し、課題が一層複雑になっていく世界にあって、G8は、手をさしのべていかねばならない。我々は、開発途上国を始めとするG8以外の諸国や国際機関そして民間セクター及び非政府組織(NGO)を含む市民社会との新しいパートナーシップに取り組まなければならない。このパートナーシップは、新しい世紀の機会をすべての人の手に届けることとなろう。

  5. 我々は、国連ミレニアム・サミットが、「我々人間」と題する国連事務総長報告の精神に沿って、新しい世紀の諸課題に取り組むに際しての国連にとってのビジョンを明瞭にすることを期待しており、沖縄での議論が、国連ミレニアム・サミットに積極的な貢献を行うことを期待する。その目的に向かって、我々は、強化され効果的で効率的な国連を実現するための努力を続けるし、安全保障理事会を含む国連の改革が不可欠であると引き続き確信している。

  6. 新しい時代が始まろうとしている。一層の繁栄、心の安寧、そして世界の安定をもたらす21世紀に向けて、希望を持って共に前進しようではありませんか。

21世紀の一層の繁栄に向けて

世界経済

  1. 20世紀はかつてない経済発展を実現した。しかし、過去2、3年の金融・経済危機は世界経済に対して甚大な課題を突きつけた。世界中の多くのパートナーと共に、我々は危機による悪影響を軽減し、経済回復を刺激し、また、国際金融システムを強化する措置を含む将来の混乱の防止策を特定することに専心してきた。世界経済は、今年、力強く成長する見込みであり、我々は危機の影響を受けたほとんどの国々の回復の力強さに特に勇気付けられている。

  2. 回復のペースはアジア域内で異なっているが、貿易は拡大しており、現にいくつかの国は力強い経済成長を遂げた。改革努力の現時点での焦点は、金融・企業部門の改革の勢いを維持すること、公的・民間部門の統治(ガバナンス)と透明性を改善すること、及び力強く持続可能な成長を確保し将来的な不安定性を回避するための社会的セーフティー・ネットを強化することに向けられなければならない。

  3. 世界経済の最近の明るい進展にもかかわらず、グローバリゼーションが深化し、情報通信技術(IT)が我々の経済に根本的な構造変化をもたらしている中で、自己満足している時間はないことを我々は認識している。米国そしてそれほどではないにせよ他のG8諸国において、生産性の向上面で新たな現実が生じているという力付けられる兆候がある。しかし、面前にあるそのような機会を活用するために、我々は、適切なマクロ経済政策に裏打ちされた、一層の競争とより適応性のある労働市場を含む我々の経済の構造変化に対するゆるぎないコミットメントを新たにしなければならない。

情報通信技術(IT)

  1. ITは、世界中の人々に力を与え、利益をもたらし、そして人々を結びつける。それは、また、世界の市民が自らを表現し、お互いを知るとともに敬意を払うことを可能にする。更に、経済を一層拡大し、各国の公共の福祉を増大し、社会的一体性を増進し、もって民主主義の育成を可能にする、大きな潜在性を有している。したがって、ITが提供する機会へのアクセスは、すべての人に対して開かれていなければならない。

  2. 我々はグローバリゼーションの過程及びITの急速な進歩が様々な懸念を生み出していることをはっきりと認識している。我々はすべての人のより一層の心の安寧に寄与できるように、そのような懸念に取り組んでいく必要がある。我々は、協調して取り組むことによって、ITがもたらす利益を最大化し、ITへのアクセスが現在限られている人々にもそれら利益が広がることを確保する。この観点から、我々は、世界経済フォーラムのグローバル・デジタル・ディバイド・イニシアティブ及び電子商取引グローバル・ビジネス・ダイアログ(GBDe)のような民間部門からの貢献を歓迎する。

  3. これらの目標を支援するために、我々は、グローバルな情報社会に関する沖縄憲章において提示された目的及び意欲を追求することにコミットする。我々は、デジタル・オポテュニティ・タスクフォース(ドット・フォース)を設立し、国際的な情報・知識格差を解消するための国際的な行動に関する検討の結果及び提言を次回サミットに報告することを求める。

開発

  1. 21世紀は万人にとっての繁栄の世紀でなければならず、我々は、極度の貧困状況にある世界人口のシェアを1990年レベルから2015年までに半減するという包括的な目標を含めて、合意された国際開発目標にコミットする。我々は、ケルンで我々が要請した国際開発金融機関(MDB)及び国際通貨基金(IMF)による貧困削減に関する報告書を歓迎し、我々が、世界中の貧困削減の進展を毎年再検討するに際して、年次貧困報告を受けとることを期待している。この報告書は、成長及び社会開発のための適切な条件が整えられれば、進展が可能であることを示している。しかし、報告書は多くの課題が未解決であることを想い起こさせる。開発途上国における貧困率が1990年の29%から1998年の24%にまで減少している一方で、1日に1ドル以下で生活している人々が未だに12億人もおり、地域内及び地域間ごとに顕著な相違が見られる。特に、多くの開発途上国とりわけアフリカにおいては、成長の速度が非常に遅い。HIV/エイズの蔓延が状況を悪化させている。

  2. 報告書が指摘しているように、多くの国は、過去四半世紀において貧困の克服について著しい進展を遂げており、これらの国の例は他の国にとって、希望の指針である。これらの国の成功例から、我々は、貧困を克服する可能性が最も高いのは、すべての人に自由と機会が与えられており、成長している開放的な経済及び活力のある民間部門を備え、そして強力で説明責任を果たし得る指導者と制度を有する、強靱性がある平和な民主的な社会であるということを学んだ。

  3. 貧困と闘うためには、勢いがあり、広範で、衡平な経済成長が必要であり、そして、そのような経済成長のためには、人々の能力と選択を拡充することが必要である。政府は、民間部門及びより幅広い市民社会と協力しつつ、広範な民間部門の成長のための経済的及び社会的な基盤を築かなければならない。中小企業は、ITによってもたらされた機会とともに、開発のための強力な手段となりうる。我々は、人々の生活が向上するような公平な機会を提示する政策、計画及び制度を設置するために開発途上国と協力する。したがって我々は、バンコックで開催された国連貿易開発会議第10回総会(UNCTAD X)での建設的な議論を歓迎するとともに、国連その他の場において、特に後発開発途上国における更なる貧困削減のために努力する。

  4. 我々は、また、適切な社会的保護及び中核的労働基準の推進にあたっての国際労働機関(ILO)と国際金融機関の間の協力の増大を歓迎する。我々は、国際金融機関に対し、これらの基準を加盟国との政策対話に組み入れるよう強く促す。更に、我々は、グローバリゼーション及び貿易自由化の社会的側面に関する世界貿易機関(WTO)とILOの間の効果的な協力の重要性を強調する。

  5. 貿易と投資は、持続可能な経済成長を促進し貧困を削減する上で非常に重要である。我々は貿易関連のキャパシティ・ビルディング活動により高い優先度を置くことにコミットする。我々は同時に、一定の地域が海外直接投資に関しては置き去りにされたままであること、そして後発開発途上国48か国向け海外直接投資が、開発途上国向け海外直接投資全体の1%にも満たないことを憂慮している。我々は、国際開発機関及び金融機関に対して、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)及び統合フレームワーク(IF)を通じるものを含めて、良好な貿易・投資環境を創り出そうとする開発途上国の努力を支援するよう強く求める。

  6. 我々は、紛争、貧困及び弱い統治の組合せが悪循環となってグローバリゼーションの成果を享受できないでいる後発開発途上国、特にこれらのうちアフリカ諸国が直面している課題の厳しさを特に憂慮する。

  7. 我々は、保健及び教育を含む健全な社会政策を通じ、成長のもたらす利益の衡平な分配を促進することに特段の優先度を置きつつ、これらの課題と闘い克服するためにこれらの国が行っている努力を支援し強化するため、国際社会の手段と資源を動員することにコミットする。この目的のために、我々は、以下に詳細を示す下記の事項について合意した。

    重債務貧困国(HIPC)債務イニシアティブを推進する。
     
    我々の市場への著しく改善されたアクセスを提供する。
     
    政府開発援助(ODA)の効果を強化する。
     
    感染症、とりわけHIV/エイズ、マラリア及び結核に関する意欲的な計画を実施する。
     
    基礎教育のための追加的資源が利用可能となることを確保することによって、最近の教育に関するダカール会議の結論を精力的にフォローアップする。
     
    情報格差の拡大の問題に取り組む。
     
    ダイヤモンドの不正取引に関する問題に取り組むことを含め、紛争を予防するための措置を実施する。

  8. ODAは貧困との闘いのためには不可欠である。また、我々は、貧困削減のための国家戦略による努力を含む、各国自身の貧困対策努力を支援するとの観点から、ODAの効果を高めることにコミットする。我々は、政府が、開発に向けられた資源の説明責任を果たし得てかつ透明な管理を通して、国民の福利を向上させるためにコミットしていることを示している国を優先にするという長期的アプローチを採用する。ODAの効果を高めるために、我々は、現在までに経済協力開発機構(OECD)において実現した進展及び我々がOECDにおけるパートナーと合意する公正な負担分担メカニズムに基づいて、後発開発途上国への援助をアンタイド化することを決意する。我々は、この合意が2002年1月1日に発効するべきであると考える。一方で、我々は、ODAのアンタイド化が低水準にとどまっている国に対して対応を改善するように強く求める。また、我々は、よく的が絞られたODAが成果を挙げることを社会一般に対して示すことを心がけるとともに、そのような援助の優先度を上げるように努力する。よく調整された援助は、開発途上国にとって有益であり、我々は、そのような調整を向上をするための最善の方策を検討する。

  9. 我々はまた、成長に刺激を与えるものとして、債務、保健、教育の3つの問題に特別の注意を払うことに合意する。

(債務)

  1. 昨年、我々はケルンにおいて、より早く、より広範で、より深い債務救済のための拡大HIPCイニシアティブを実施することに合意し、債務国の貧困削減戦略に投資する基金を設立した。我々は、このイニシアティブが昨年秋に国際社会によって支持されたことを歓迎する。

  2. それ以来、一層の努力が必要とされる一方で、拡大HIPCイニシアティブの実施に向けた進展が見られている。ベナン、ボリビア、ブルキナ・ファソ、ホンジュラス、モ-リタニア、モザンビ-ク、セネガル、タンザニア及びウガンダの9か国は既に決定時点に到達し、このイニシアティブの利益を享受している。これらの国を対象としたHIPCイニシアティブの下での債務救済総額は、名目価値で150億米ドル(現在価値相当で86億米ドル)以上に及ぶはずである。

  3. 我々は、重債務貧困国が市民社会を含む参加プロセスを通して、包括的で主体性に基づいた貧困削減戦略を策定するための努力を払ってきていることを歓迎する。国際金融機関は、他の援助供与国と共に、重債務貧困国が貧困削減戦略ペーパーを用意することを助けるべきであるし、技術支援を通じて財源管理を支援するべきである。我々は、現在多くの重債務貧困国が貧困削減を妨げ債務救済を遅らせている軍事的衝突により影響を受けているという事実を憂慮する。我々は、これらの国に対して、衝突への関与を終了し、早急にHIPCプロセスに取り組むことを要請する。我々は、我々の閣僚に対し、HIPCイニシアティブに参加するための適切な条件を生みだすことを奨励するために、紛争当事国と早期にコンタクトをとるように要請することによって、これらの国が債務救済に備え、それを推進することを支援するための努力を強化することに合意する。我々は、経済改革の進展や債務救済の利益が貧しくて最も影響を受けやすい人々の支援に向けられることを確保する必要性を十分に考慮しつつ、ケルンで設定した目標に沿って、できるだけ多くの国が決定時点に到達することを確保するように協力する。我々は、20か国が、拡大HIPCイニシアティブの枠組みの下で本年末までに決定時点に到達するという期待を実現するために、重債務貧困国及び国際金融機関と迅速に協力する。この観点から、我々は、世銀及びIMFによる共同実施委員会の設立を歓迎する。我々の側としては、重債務貧困国が持続不可能な債務によって再び苦しまないことを確保するために、より責任ある貸借の慣行を促進する。

  4. 我々は、拡大HIPCイニシアティブの効果的な実施のために国際金融機関による必要な融資を確保する上での進展に留意し、HIPC信託基金への出資を含む種々の約束を歓迎する。我々は、公正な負担の分担という精神に則り、約束した資金をできるだけ早く提供するとのコミットメントを再確認する。

(保健)

  1. 保健は、繁栄の鍵である。健康は経済成長に直接的に寄与する一方で、不健康は貧困をもたらす。感染症及び寄生虫症、とりわけ、HIV/エイズ、結核、マラリア、小児期の疾病及び一般の感染症は、数十年にわたる開発を逆転させ、同一世代のすべての人々からより良い未来への希望を奪うおそれがある。新たな又は既存の医学的、技術的及び資金的な資源を十分に動員するための継続した行動及び整合性のある国際協力を行うことによってのみ、我々は、保健制度を強化し、伝統的なアプローチを越えて病気と貧困の悪循環を断ち切ることができる。

  2. 我々は、感染症及び寄生虫症と闘うために相当の資源をコミットしてきた。その結果として、我々は、国際社会とともに、ポリオ及びギニア虫(メジナ虫症)の根絶の最終段階に成功裡に到達し、オンコセルカ症を制御し始めた。

  3. しかし、我々は、更に一層前進しなければならず、また、我々は、保健分野での国際的な成果に関して前向きな変化を生むための適切な条件が整っていると信じる。我々は、優先度の高い病気が何であるかということ、及び、保健分野での負担の多くの部分に取り組むためにどのような基本技術が存在しているかについて幅広く合意している。さらに、最も大きな影響を受けた諸国において、保健が経済発展の鍵であるということについての政治的リーダーシップ及び認識が広まってきている。我々は、ダーバンにおいて開催された最近の国際エイズ会議の成功、及び、アフリカの指導者、援助供与国、国際金融機関及び民間部門がHIV/エイズに取り組むことを重視していることを特に歓迎する。

  4. 従って、我々は、3つの極めて重要な国連の目標を達成するため、各国政府、世界保健機関(WHO)その他の国際機関、産業界(特に製薬会社)、学術機関、非政府機関(NGO)及び市民社会のその他の関係者とのパートナーシップを強化して作業を行うことにコミットする。

    2010年までにHIV/エイズに感染した若者の数を25%削減する。(2000年3月27日付け国連総会への国連事務総長報告書)
     
    2010年までに結核による死亡者数及び有病率を50%削減する。(WHOのストップ・結核・イニシアティブ)。
     
    2010年までにマラリアに関連する病気の負荷を50%削減する。(WHOのロール・バック・マラリア)

  5. この意欲的な課題を達成するため、我々のパートナーシップは以下を含むことを目指さなければならない。

    我々自身が追加的な資源を動員するとともに、国際開発金融機関(MDB)に対し、最大限に支援を拡大するよう要請する。
     
    衡平かつ効果的な医療制度の発展、予防接種の拡大、栄養及び微量栄養素の拡充、並びに感染症の予防及び治療に対して優先度を与える。
     
    影響を受けている諸国において一般の意識を高めるためのハイレベルでの対話強化を通じて政治的リーダーシップを推進する。
     
    NGO、民間部門及び多国間機関とのものを含む、革新的なパートナーシップを支援することにコミットする。
     
    重要な薬、ワクチン、治療法及び予防措置を含む費用対効果の高い既存の対処手段を、開発途上国においてより普遍的に利用可能かつより容易に入手可能にするようにする。
     
    開発途上国における薬へのアクセスという複雑な問題に取り組み、その観点から開発途上国が直面する障害を評価する。
     
    新薬、ワクチン及びその他の国際的な医療公共財について、基礎的な研究開発の分野における協力を強化する。

  6. 我々は、これらの分野における新たなコミットメントに留意し、力付けられる。我々は、HIV/エイズ、マラリア及び結核に対する国際開発協会(IDA)の融資を3倍にするとの世界銀行のコミットメントを強く歓迎する。我々は、また、二国間援助国によってなされたこの分野における援助拡大についての発表を歓迎する。

  7. さらに、我々は、我々のコミットメントを活用するための新たな戦略について合意するため、今年秋、日本において会議を開催する。会議では、この新たなパートナーシップの運用、優先度の高い分野及び行動のタイムテーブルを明確にすることを目指すべきである。パートナーである開発途上国及びその他の利害関係者の参加が不可欠である。我々は、来年のジェノバ・サミットで進展状況を確認し、また、エイズの治療及びケアへのアクセスを容易にするための戦略に焦点を当てた会議を2001年に開催するために国連と協力する。

(教育)

  1. あらゆる子供は、良い教育に値する。しかし、いくつかの開発途上国では、特に女性及び社会的に脆弱な人々に対して、教育へのアクセスは限定されている。基礎教育は、それ自体に内在する価値を有するのみならず、開発途上国が直面している広範な問題に対応するための鍵である。この分野における進展の加速化なしには、貧困削減は達成されず、各国間及び社会内の格差は拡大する。従って、我々は、ケルン教育憲章を踏まえ、ダカール行動枠組及び最近完了した第4回世界女性会議のフォローアップによる勧告を支持し、開発途上国が強力な各国の行動計画を実施する努力を歓迎する。我々は、すべての人への教育を達成することに真剣にコミットしているどの政府も、資源の不足によってはその達成を妨げられることはないとのコミットメントを再確認する。

  2. 従って、我々は、2015年までに普遍的な初等教育、及び、2005年までに教育における男女平等という目標を達成するために、二国間での努力並びに国際機関及び民間部門ドナーとともに行う努力を強化することにコミットする。我々は、国際金融機関に対し、開発途上国とのパートナーシップの下で、その貧困削減戦略において教育に焦点を当て、健全な教育戦略を有する国に一層の支援を提供することを要請する。これらの戦略は、可能な場合の遠隔地学習及びその他の有効な手段を通じて、この分野におけるITの潜在的利益を最大化すべきである。

貿易

  1. WTOによって具現された多角的貿易体制は、ルールに基づく自由貿易を実現するための国際社会による半世紀にわたる不屈の努力の成果の表われであり、先進国及び開発途上国双方の加盟国に対し、経済成長を刺激し社会発展を推進しつつ、多大な貿易の機会を提供してきた。これらの利益をより目に見える方法でより多くの諸国に拡大するために、体制は、開発途上加盟国、特に後発開発途上国の正当な関心により良く取り組む必要がある。ウルグアイ・ラウンド合意の実施、後発開発途上国に対する市場アクセスの改善、キャパシティ・ビルディングの強化のための技術支援、及びWTOの透明性の向上に関するジュネーブにおける短期的パッケージの採択は、この方向に向けた重要な第一歩であり、迅速に追求されなければならない。我々は、この分野において一層の緊急性をもって更に前進する必要性を認識する。そして、我々はそのように行動する。特に、開発途上国の発展における貿易の決定的な重要性の観点から、貿易関連のキャパシティ・ビルディングは大幅に拡大されるべきであり、そのことが、開発途上国による体制へのより効果的な参加と、特に、これら諸国の利益となる市場アクセスの改善のより十分な活用につながり得る。我々は、また、この関連の二国間及び地域的なイニシアティブを賞賛する。我々は、開発途上加盟国に対して個々のニーズに沿ったキャパシティ・ビルディングのための支援を強化することにより、主導的な役割を果たすことにコミットする。我々は、また、WTO、世界銀行、IMF、国連開発計画(UNDP)、UNCTADを含む国際機関に対し、この目的のために我々とともに共同して行動をとるよう要請する。

  2. 我々は、多角的貿易体制が強化され、世界経済において極めて重要な役割を果たし続けることを確保しなければならない。我々は、この責任を認識しつつ、すべてのWTO加盟国の関心を反映する、野心的で均衡がとれかつ幅広いアジェンダによるWTO貿易交渉の新たなラウンドについて強力にコミットしている。我々は、このような交渉の目的が、市場アクセスを促進し、WTOのルール及び規律を発展させかつ強化し、開発途上国が経済成長と世界的な貿易体制への統合を達成することを支援し、貿易政策と社会政策とが、また、貿易政策と環境政策とが両立し相互に支援的であることを確保するものであるべきということに合意する。我々は、今年中にそのようなラウンドを立ち上げるよう、他のWTO加盟国と共に努力するため、我々の間の緊密で実り多い協力を強化することに合意する。

  3. 我々は、グローバリゼーションに関する課題への取組を助けるためにより包括的なパートナーシップが築かれなければならないことを認識する。この点に関し、国際的及び国内的な政策の一貫性を向上しなければならず、また、国際機関の間の協力を改善しなければならない。我々は、また、貿易自由化の利益及び課題に関する建設的な対話を築くために一般国民との関わりを持つことの重要性を強調する。

  4. すべての経済を多角的貿易体制に統合することは、我々に共通の利益である。従って、我々は、中国のWTOへの加盟に関する進展を歓迎し、他の申請国の早期加盟に向けた努力を支持する。

文化の多様性

  1. 文化の多様性は、創造性をかきたて、革新を刺激するため、21世紀の人間生活を豊かにする可能性を有する社会的及び経済的な活力の源泉である。我々は、言語的及び創造的な表現における多様性の重要性を認識し、尊重する。我々は、関連する国際機関、特に国連教育科学文化機関(UNESCO)のこの分野における作業を歓迎する。

  2. 民族、グループ及び個人の間の相互関係の増加は、あらゆる文化における興味深くまた良いものに対する理解と評価を増大させている。文化の多様性の推進は、相互の尊敬、一体性及び無差別を強化し、人種差別及び外国人嫌悪と対抗する。我々は、2001年に南アフリカにて開催される人種主義に反対する国連世界会議の準備に当たっての国連の作業に対する強い支持を新たにする。文化の多様性を向上させる第一歩は、文化遺産の保護と振興である。我々は、有形遺産を保護するために既に行われた努力を歓迎し、無形遺産の保護及び振興に向けた更なる努力を要請する。我々は、開発途上国における動産の芸術遺産及び考古学的財産を保護するための計画、及び、UNESCOの人類の口承遺産・無形遺産の傑作プロジェクトを奨励する。

  3. 異なる文化間の接点の増加は、文化間の創造的な相互関係を促進する。ITにより、個人が、安価かつ世界的に、文化の内容や考え方を創造し共有するための空前の機会が開かれる。経済状況を向上させることを探求する地域社会において、特にIT社会の類いまれな手段に助けられる場合に、文化の多様性は、関心を呼び起こし、イニシアティブを生み、積極的な要素となり得ることを、これまでの経験が示している。我々は、一般からのアクセス向上のため、国立博物館システム間の国際的な関係を強化することなどを通じて、文化遺産のデジタル化を推進することに尽力する。

  4. 文化間の相互関係の恩恵を最大化するため、我々は、国民に対し、異なる文化への関心、理解及び受容を育むことによって、共存することを学ぶよう奨励しなければならない。従って、我々は、異なる文化及び非母国語への理解を向上させるような教育の推進に関するG8教育大臣会合の結果を歓迎し、関係当局に対し、今後10年間で流動性を倍増するという目標の下に、学生、教師、研究者及び行政官の交換を推進するよう奨励する。
21世紀の一層の心の安寧に向けて

犯罪及び薬物

  1. あらゆる人は、犯罪の脅威から解放された人生を送ることができるべきである。急速なグローバリゼーションは、より満たされた人生を追求する新たな機会を開いた。しかし、同時に、犯罪がつけ入る新たな余地を作り出し、我々の社会、経済及び政治制度の基本的なルールに挑戦している。我々は、国際組織犯罪(TOC)対策の有効な法的枠組の創設のため、国連国際組織犯罪条約並びに銃器、不法移民及び人の密輸に関する3つの関連議定書の2000年末までの採択に向けた支持を再確認する。我々は、不法移民及び人の密輸を組織し利用する者と闘うことに特に関心を有する。我々は、TOC対策においてリヨン・グループが行った作業を評価し、我々の次回会合への報告を求める。我々は、また、国際組織犯罪対策に関するG8モスクワ閣僚級会合の結果を支持する。

  2. 我々は、世界的な情報社会における安全と信頼性を著しく脅かし得るサイバー犯罪などのハイテク犯罪に対し、協調したアプローチをとらなければならない。我々のアプローチは、グローバルな情報社会に関する沖縄憲章に述べられている。これを進めるため、我々は、10月の合同ベルリン会合を含め、産業界との対話を推進する。我々は、パリでのサイバー空間における安全性と信頼性に関する政府と産業界との対話によって生み出された結果及びモメンタムを歓迎し、産業界の参加の下で日本で開催されるハイテク犯罪に関する第二回ハイレベル会合に期待する。

  3. 我々は、麻薬系薬物の不法取引及び使用によって起こる世界的な脅威の増大に懸念を有していることを再確認する。我々は、自国における需要を削減し、世界的な麻薬系薬物の生産と不法取引から生じる脅威に対抗することに引き続きコミットする。我々は、供給と需要の双方を削減するため、他の国々、国連システム及びその他のグループと協力する。我々は、麻薬の生産と不法取引を終結させる地域的なイニシアティブを支持する。我々は、1998年国連麻薬特別総会の結論を広範に実施するよう強く促す。我々は、また、以下のため、国際的な協力を強化することにコミットしている。

    麻薬系薬物の生産の原料物質の不正流用に対処する。
     
    覚醒剤及びその他の合成薬物による新たな脅威の増大に取り組み、今年末までに、薬物専門家によるアドホック会合を開催する。
     
    資産の没収に関する作業を加速させる。
     
    英国が主催する国際会議により、麻薬系薬物をめぐる世界経済について調査する。

  4. 資金洗浄を含む金融犯罪は、我々の経済及び社会に深刻な脅威をもたらす。我々は、ここに、国際的な基準に沿って、金融犯罪に効果的に対抗するために必要なすべての国内的及び国際的行動をとることについてのコミットメントを宣言する。

  5. 我々は、腐敗と闘うとのコミットメントを改めて確認する。我々は、この観点における政府の透明性の必要性を強調し、OECD贈賄防止条約をすべての署名国が批准し実効的に実施するよう要請する。我々は、他国と共同して、腐敗と闘うための新たな文書について国際連合における交渉の開始のための準備を行う。そして、リヨン・グループに対し、この課題に関する作業を行うよう指示する。我々は、バーミンガムにおける我々の要請への継続的な応答としてオランダが主催する第二回世界会議に期待する。

  6. 犯罪の捜査及び起訴の促進は、司法協力の促進を必要とする。我々は、専門家に対し、その方法を見つけるよう指示する。

  7. 我々は、犯罪グループが、より脆弱な国の社会、経済及び政治構造を脅かし、また、犯罪に対抗する世界的な枠組の抜け穴としてそれらの国を利用することを防ぐため、そのような国が刑事司法制度を強化するためのキャパシティ・ビルディングの努力を支援しなければならない。

  8. 我々は、また、犯罪との闘いにおいて社会的弱者及び若者を守り、犯罪の被害者に特別なケアを提供しなければならない。我々は、関係当局間の効果的な協力及び市民社会と協力して取られる措置の必要性を再確認する。

高齢化

  1. 漸進的な高齢化の進展により、我々は、教育、雇用、退職の三段階の人生サイクルという伝統的概念の再考を強いられている。我々の社会の活力が高齢者の積極的な参画にますます依存するにつれ、我々は、IT関連の発展を含め、すべての年齢層の人々が、引き続き社会に完全に融合し、社会に対してどのように関わり貢献するかを決定する自由を享受し、それに満足感を覚えることができるような経済社会状況を促進しなければならない。デンバー・サミットで明確に述べられた「活力ある高齢化」という概念は、この努力における我々の指針であり続ける。

  2. 中心的な課題は、年齢に伴なう経験及び知識を評価するという文化を推進することである。この目的のため、我々は、

    定年退職年限以前の人々が労働市場に残るように、不適切な阻害要因を取り除く一層の努力を行う。
     
    雇用における年齢による偏見に対抗する。
     
    情報社会への加速度的な移行に際し、人々が引き続き積極的に活動できるよう、生涯学習を奨励する。
     
    質の高い人生を続けることを可能とする健全な高齢化政策を追求する。
     
    比較可能な長期的な調査を含め、関連する国際比較研究を拡充させるよう努力する。
     
    コミュニティ活動及びボランティア活動への高齢者の参画を推進するため、民間部門及び市民社会とともに取り組む。

  3. これらの目的を追求するに当たり、我々は、国際的な協力及び政策対話を引き続き重視し、OECDがこの分野における作業を継続することを奨励する。

  4. 我々は、11月にイタリアで予定されているG8雇用・社会問題担当大臣会合に期待する。

生命科学

(バイオテクノロジーと食品の安全性)

  1. 各国の効果的な食品安全システムの維持及びシステムに対する国民の信頼は、公共政策において決定的に重要である。我々は、食品の安全性に関する問題、食品に伴う潜在的リスク、バイオテクノロジーの発展の加速度的な進行並びに食品及び農産物の国境を越えた移動の増加に関する国民の認識の高まりにシステムが対応し得るようにするための継続的な努力にコミットしている。

  2. 科学及びルールに基づいたアプローチへのコミットメントは、引き続きこのような努力の基礎をなす基本原則である。現在国際的なフォーラムにおいて進められている、そのようなアプローチを開発し精緻化するための作業を加速する必要がある。特に、我々は、食品の安全性の分野における基準を策定する主要な機関であるコーデックス食品規格委員会(CAC)の作業を大いに重視し、同委員会のバイオテクノロジー応用食品特別部会に対し、2003年にその任務を完了する前に内容のある中間報告を作成するよう奨励する。我々は、また、入手可能な科学的情報が不完全であったり矛盾したりしている状況において、いかにして食品の安全性についての予防措置が適用されるべきかに関するより幅広い世界的な合意を得るための、CACの一般原則部会による努力を支持する。

  3. 健康の保護を促進し、貿易を円滑化し、バイオテクノロジーの健全な発達を確保し、消費者の信頼と国民による受容を育成するために、すべての利害関係者が関与し、先進国及び開発途上国がともに参加する政策対話が強化されなければならない。OECDの食品の安全性に関するアドホック・グループによる報告並びに新食品・飼料安全性に関するタスクフォース及びバイオテクノロジーの規制的監督の調和に関する作業部会の作業は、このような方向に向けての有益な一歩である。我々は、OECD加盟国の閣僚が合意した更なる作業を歓迎する。我々は、OECDが、市民社会との関わり合いを維持するとともにOECD加盟国以外の国との間で食品の安全性の分野における作業の成果の共有に努めつつ、引き続き分析作業を行い、食品の安全性に関する国際的な政策対話において効果的な役割を果たし続けることに留意し、これに賛同する。OECDが比較優位を有する分野におけるOECDの作業は、他の国際機関、特にFAO(国際連合食糧農業機関)やWHO(世界保健機関)の活動を効果的に補完することとなろう。我々は、また、FAO及びWHOに対し、科学に基づいて行う公の協議のプロセスを促進するために、食品安全規制当局の国際会合を定期的に開催することを奨励する。

  4. この対話を遂行するにあたって、我々は、開発途上国のニーズ、機会及び制約に特に注意を払う。我々は、バイオテクノロジーの潜在能力を活用するための開発途上国のキャパシティ・ビルディングに対する支援の強化に努めるとともに、世界的な食糧安全保障、健康、栄養学及び環境に関する課題への取り組みに関するもの並びに開発途上国の個別の条件に適応したものを含む、技術に関する研究開発並びにデータ及び情報の共有を奨励する。

  5. 共有された科学的理解に下支えされた、市民社会の代表者を含むすべての利害関係者との開かれた透明性の高い協議及びこれらすべての利害関係者の関与は、信頼性のある食品及び農作物の安全システムの主要な構成要素である。我々は、最近のOECDエジンバラ会議において提示された独立の国際的なパネルを設立するとの提案に留意する。この会議の成功を踏まえて、我々は、国際機関及び科学関係学術団体を含む関心を有する団体と協議しつつ、バイオテクノロジー並びに食品及び農作物の安全性のその他の側面に関するコンセンサスを形成する世界的なプロセスに入手可能な最高の科学的知識を統合する方法を探求する。

(ヒトゲノム)

  1. 生命科学の前進は、我々の生活の質を継続的に改善する。医療において新境地を開くことは、人類の利益にとって前例のない機会を示すものであり、生命倫理の原則を考慮に入れつつ達成されなければならないものである。

  2. ヒトゲノムのほぼ完全な解析がなされたことは、それ自体が極めて重大な発見であり、このような発達の更なる劇的なかつ歓迎すべき一歩をなすものである。

  3. 我々は、この解析は全人類にとって決定的に重要であると考えており、人間のDNA配列そのものに関するすべての基礎的な生データの迅速な公開が更に行われるよう要請する。我々は、また、ゲノム配列解析に続く研究を多数国間の協力に基づいて追求することの重要性を強調する。

  4. 我々は、遺伝子に基づく発明について、可能な限り共通の慣行及び政策に基づいた、均衡のとれた衡平な知的所有権保護が必要であることを認識する。我々は、バイオテクノロジー関連発明についての特許政策の幅広い調和を達成するための、関連する国際的なフォーラムにおける更なる努力を奨励する。

環境

  1. 我々は皆、汚染されていない健全な環境を子孫のために保全するために努力しなければならない。我々は、大津におけるG8環境大臣会合の結果を歓迎する。我々は、また、バイオセイフティに関するカルタヘナ議定書の採択を歓迎し、関係国がその早期発効のために努力することを奨励する。

  2. 我々は、我々のすべてのパートナーとともに、2002年の「リオ+10」に向けて未来志向の議題を準備するように努力する。我々は、京都議定書の早期発効を目指して、すべての主要な未解決の問題をできる限り速やかに解決するため、我々の間で、そして開発途上国と、緊密に協力することに強くコミットしている。そのような目的に向けて、強力な国内的措置及び補完的な柔軟性のメカニズムの実施を通じて京都議定書の目標を達成するために、我々は、気候変動枠組条約第6回締約国会合(COP6)が成功を収めるようにする決意である。

  3. 好ましい国内環境に裏打ちされた形で持続可能なエネルギーの開発及び利用に対する投資を奨励し促進するために、我々の間で協力し、そして既存の機関との間で協力することは、気候変動及び大気汚染の問題を緩和するのに役立つ。この目的のために、特に再生可能なエネルギー資源の利用が増加することによって、生活の質が、特に開発途上国において、改善する。したがって、我々は、すべての利害関係者に対し、開発途上国における再生可能なエネルギーの供給及び配分の水準を向上させる上での障壁及びその解決策を明らかにするよう求める。我々は、利害関係者に対し、次回のサミットにおける検討に向けて、開発途上国における再生可能なエネルギーの利用をより奨励するための健全な方法について具体的な勧告を準備するための作業部会に参加することを呼びかける。

  4. 我々は、持続可能な森林経営に関する我々の外務大臣の結論を全面的に支持する。これに関連して、我々は、先住民の地域社会が持続可能な森林経営を実施することを支援するプロジェクトを特に重視する。我々は、輸出及び調達に関する慣行を含め、違法伐採に対処する最善の方法についても検討する。

  5. 輸出信用政策は、環境面において極めて大きな影響を及ぼしうる。我々は、2001年までの完了が予定されるOECDの作業計画が採択されたことを歓迎する。我々は、関連する国際開発金融機関(MDB)の経験に基づいて、輸出信用機関のための共通の環境上の指針を2001年のG8サミットまでに作成するとのコミットメントを再確認する。我々は、ケルンのマンデートを履行するために、我々の作業を再活性化し強化するために協力する。

  6. 国際的な海上の安全の強化は、世界的な遺産である海洋環境の保護にとって極めて重要である。我々は、海上の安全を向上させるために共同で国際海事機関(IMO)と協力する。我々は、特に、危険な貨物や汚染源となる貨物を運搬する船舶について、安全基準を強化するとともに、旗国による国際基準の適用について、その実施や執行の状況を検証するためのIMOによる努力を支持する。我々は、また、沿岸国による、適当な場合にはIMOにおいて採択された航路指定措置や通報措置の利用を通じた、航行の安全及び海洋環境の保護を強化するための努力を支持する。我々は、これらの目標の早期達成を奨励する。

  7. 我々は、海洋汚染に関する現行の制度、特に1992年の油汚染損害の民事責任条約及び1992年の油汚染損害補償国際基金設立条約について、より良い補償のあり方などに関して、現実的な改革を追求するIMOの努力を歓迎する。

原子力の安全

  1. 我々は、世界のどこであれ原子力の利用において安全第一の政策をとること及び高い安全基準を達成することに関して、1996年のモスクワでのサミットにおいて表明したコミットメントを新たにする。我々は、高い水準の原子力の安全の促進において協力を継続することに合意した。我々は、原子力安全基金贈与取極の完全かつ時宜を得た実施を引き続き極めて重視する。

21世紀の一層の世界の安定に向けて

紛争予防

  1. 国際社会は、武力紛争を予防し解決するために迅速かつ効果的に行動しなければならない。多くの人が死傷し、多くの国の経済が打撃を受け、環境にも大きな損害がもたらされてきた。ますます相互依存的となっている世界において、このような悪影響は、急速に拡大する。したがって、地球社会全体において「予防の文化」が推進されなければならない。国際社会のすべての構成員は、国連憲章に従って平和的手段により紛争を解決するよう推進することに努めなければならない。

  2. 我々は、我々の外務大臣による1999年12月のベルリンにおける特別会合以降の紛争予防に関する作業及び2000年7月の宮崎における外相会合の総括の重要性を強調する。我々は、特に経済開発と紛争予防、紛争下の児童及び国際文民警察に関し、これらの作業及び総括の実施に努めることをコミットする。我々は、ダイヤモンドの不正取引の収益が、特にアフリカにおける武力紛争と人道的危機の悪化に寄与していることに対し特に懸念を表明する。したがって、我々は、ダイヤモンド原石の証明に関する国際的合意の検討も含め、ダイヤモンドの不正取引と武力紛争との関連を断つための現実的アプローチを検討する国際会議の開催を呼び掛ける。この会議は、国連安保理決議1306及びとりわけ南アフリカ政府により開始されたキンバリー・プロセスに基づくものであり、その結果は国連に提出される。銃器議定書に関するできるだけ早期の合意を含め、来年の「小型武器非合法取引のあらゆる側面に関する国連会議」の成功を確保するためには強い支持が必要である。我々は、国際社会に対し、通常兵器の輸出に関し自制を行うよう要請し、この目標に向けて共同して取り組むことにコミットする。我々は、我々の外務大臣に対し、紛争予防のための一層の効果的な措置を検討するよう要請する。

軍縮、不拡散及び軍備管理

  1. 我々は、2000年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功を歓迎する。我々は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効並びに核兵器用核分裂性物質生産禁止条約交渉の即時開始及び5年以内の終結を含め、この会議において得られた結論を実施する決意である。我々は、NPTの普遍的な堅持及び遵守を促進することに引き続きコミットしている。

  2. 我々は、対弾道ミサイル・システム制限(ABM)条約を、戦略的安定性の礎石として、また戦略攻撃兵器の更なる削減の基礎として、その規定に従って維持し強化する中で、第二次戦略兵器削減条約(START II)の早期発効及び完全な実施並びに第三次戦略兵器削減条約(START III)のできるだけ早期の締結が実現することを期待する。我々は、ロシアによるCTBT及びSTART IIの批准を歓迎する。

  3. 防衛目的のためにはもはや必要でなくなった兵器級プルトニウムの透明、安全、確実、環境上適切かつ不可逆的な処分及び管理は引き続き極めて重要である。追加的な兵器級プルトニウムについての不分離に関する意図表明により強化された、プルトニウム処分に関する米国とロシアとの間の合意は、画期的な出来事である。G8諸国の間での協力は重要な成果を生みだしてきており、次なる措置はこの協力関係及び関連する国際的プロジェクトに立脚するべきである。

  4. 次のサミットに向けての我々の目標は、詳細なプロジェクト計画に基づいたプルトニウムの管理及び処分のための国際的な資金調達計画を構築すること並びにこの協力関係を調整するための多数国間の枠組みを構築することである。我々は、できるだけ広範な国際的支持を得るために他の関心国にこの協力関係を拡大し、公的資金拠出及び民間資金拠出の双方の可能性を検討する。

  5. 我々は、大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散を防止するための世界的な体制の強化を歓迎する。我々は、また、ミサイルの拡散を抑制するために更なる多数国間の措置を検討し推進する必要があることを認識する。この関連で、我々は、ミサイル輸出管理レジーム(MTCR)の重要な作業を強く支持し、「グローバル監視システム」の提案を検討する。我々は、ロシアの化学兵器廃棄計画に対する国際的な貢献を増大させるために取り組む。我々は、生物兵器禁止条約を強化する検証議定書に関する交渉を2001年のできるだけ早い時期に終結させるため、他の諸国と共同して取り組むことにコミットしている。

テロリズム

  1. 我々は、動機のいかんを問わずあらゆる形態のテロリズムに対する非難を新たにする。我々は、これらと闘う決意を有する。我々は、特にテロ対策に関する情報交換の分野における国際的協力を急いで強化すること、テロ活動への資金供与に関する対策を改善すること及びテロリストを裁判にかけるために協力することを呼び掛ける。我々は、テロリズムのための資金の供与の防止に関する条約の採択を歓迎する。我々は、すべての国に対し、テロ対策における国際的協力の強化に向けたテロ対策に関する12の国際条約の締約国となるよう呼び掛ける。

  2. 我々は、ハイジャック及び人質を取る行為を含むテロ活動の増加を深く懸念している。我々は、多くの地域においてテロ活動のパターンが継続していることに対する重大な懸念を表明する。我々は、引き続き、この問題を二国間の接触において取り上げ、進展を注意深く監視し、我々の間の緊密な協力を維持する。

  3. この点に関し、アフガニスタンのタリバーンの支配下にある領域を拠点とするテロの脅威に対する国際的な懸念を強調し、我々は、国連安保理決議1267の完全な実施を呼び掛ける。

次回サミット

  1. 我々は、ジェノバにおいて来年に会合するとのイタリアの首相の招聘を受諾した。それまでの間の意思疎通を増進するために、我々は、我々の間で電子メールのネットワークを設けることに合意した。


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