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テロ対策
G8が国際的なテロ対策において果たしてきた協力の重要性が確認されるとともに、長期的な取り組みが必要であり、途上国への技術協力等の支援を更に強化していく必要があることにつき認識の一致を見た。
川口大臣よりは、テロ対策に当たっては緊急に取るべき措置をしっかり実施していくとともに、長期的に貧困や開発・教育の支援などの課題にも粘り強く取組んでいく必要がある旨指摘し、我が国がASEANやARF等の枠組みを通じて技術支援や情報交換等のテロ対策に関する地域的な協力を積極的に行っていることを紹介した。
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アフガニスタン情勢
各国より、緊急ロヤ・ジェルガ(ELJ)の開始を歓迎するとともに、今後とも、国際社会としてボン合意の実施、治安(これに関連して麻薬対策が重要)、人道・復興支援の実施を含め、アフガニスタン人の努力を引続き支援していく重要性につき認識の一致を見た。特に、中央政権に対する支援がアフガニスタンの安定にとり重要であるとの指摘がなされた。
川口大臣よりは、アフガニスタン訪問に言及するとともに、元兵士の復員に関する我が国のイニシアチブ("Register for Peace")を紹介し、政治、治安、人道・復興支援を3本柱として今後ともアフガニスタンにおける平和の定着に向け、関係各国が協力して取り組んでいく必要がある旨を述べた。
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インド・パキスタン情勢
一連の緊張緩和の動きはあるものの、危機的状況が継続する中で、パキスタン政府に対して引き続き実効的なテロ・過激派対策を強く求めるとともに、インドに対しても緊張緩和に向けた措置を求めていく必要があることにつき認識の一致をみた。また、より長期的な観点より、より安定した印「パ」関係の実現に向け、カシミール問題を含む両国間の諸問題に対する対話を促進する必要性が指摘された。
川口大臣よりは、パキスタンに対する働きかけに当たっては同国が昨年以来アフガニスタンに対する政策を変更し、改革と民主化を進めていることを考慮する必要がある旨述べるとともに、両国に対し、NPT、CTBT等の国際的な軍備管理・軍縮・不拡散の枠組みへの協力を含め、大量破壊兵器問題への前向きな対応を促していく重要性を指摘した。
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中東情勢
各国より、最近の米国の積極的な働きかけを評価するとともに、治安の回復、和平交渉促進、人道・復興支援の3つのプロセスを同時に進展させる必要性が指摘されたほか、パレスチナ暫定自治政府(PA)の行政機構の改革の重要性や国際会議の開催の必要性が指摘された。
川口大臣よりは、先般のイスラエル・パレスチナ訪問について紹介するとともに、3つのプロセスを同時に進めていく必要性を改めて強調した。また、我が国としてPA改革に対する支援を行っていく考えである旨述べるとともに、和平プロセスの進展と我が国の支援を結びつけるロードマップの考え方について説明し、我が国が中東情勢に積極的に関与していく考えを述べた
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軍備管理・軍縮・不拡散
各国より、米露の戦略核削減に関する合意を評価するとともに、新たな国際安全保障環境の中で、大量破壊兵器の拡散等、引き続き軍備管理・軍縮・不拡散の分野で取り組むべき重要な課題が存在することにつき認識が共有され、そのためにも条約等の多国間の枠組みや輸出管理のレジームの強化に取り組む必要があることが指摘された。また、旧ソ連諸国の大量破壊兵器の管理・処分に関する協力についても議論が行われ、引き続きG8で議論を続けていくこととなった。
川口大臣よりは、米露の合意を重要な一歩として評価するとともに、多国間の枠組みの役割を軽視すべきでない旨強調、特にNPT体制の維持・強化に資する具体的・現実的措置としてのCTBTの早期発効及び核実験モラトリアムの継続、軍縮会議の再活性化とカットオフ条約の交渉の即時開始、IAEA補償措置の強化と追加議定書の普遍化の重要性を指摘した。また、大量破壊兵器の管理・処分に関する協力は、テロ対策、軍縮、環境の観点から重要である旨述べるとともに、その具体化については、実施に係る様々な問題点を検討して行く必要がある旨指摘した。
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バルカン情勢
各国より、バルカンにおける前向きの動きを歓迎するとともに、今後とも地域の安定のために引き続きG8として関心を払い続けていく必要があること、今後は国際組織犯罪への対策が重要となる旨の指摘があった。
川口大臣よりは、我が国がG8の一員として、バルカンの安定に引き続き貢献していく考えである旨を述べた 。
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朝鮮半島情勢
川口大臣より、最近北朝鮮側に日、米、韓各々との対話に向けた前向きな姿勢が見られるものの、北朝鮮には、安全保障上の懸念、拉致問題をはじめとする人道上の様々な懸念が引き続き存在しているほか、中国に脱出した北朝鮮住民による最近の各国公館への「駆け込み」増大には注意を要する旨指摘するとともに、国際社会としては、北朝鮮側が諸懸念に対し前向きな対応を行うよう働きかけを継続していくことが重要である旨述べた。また、我が国としては、日朝間で対話を行う用意があり、日朝国交正常化交渉にねばり強く取り組むことを通じて、拉致問題を含む諸問題の解決に努力していく考えである旨述べた。
これに対し、他の出席者より、対話を通じて北朝鮮を国際社会に関与させていくことが重要であり、拉致問題には留意する旨の発言があった他、北朝鮮と日・米・韓との対話を歓迎する旨の発言があった。 |