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世界経済
世界経済については、予想よりも減速しているが、健全な政策及びファンダメンタルズが力強い成長の基礎を提供しているとの認識で一致した。小泉総理からは、日本経済につき、「改革なくして成長なし」との考えの下、規制緩和、公的部門の縮小、不良債権の処理や銀行システムの改革の必要性等、改革の基本方針につき説明の上、このような改革を行うことによって世界経済における責任を果たせるとの発言を行った。小泉総理の発言に対しては、各国首脳から非常に強い支持の言葉があり、このことがG7宣言に書き込まれた。
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貿易
貿易については、WTOの新ラウンドの立ち上げについて、野心的なラウンドを立ち上げるべきであり、実施問題を含めて開発途上国の優先事項に対処すること、等について意見の一致があった。
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開発問題
開発問題については、途上国、特にアフリカにおける貧困削減に焦点があてられた。債務救済の現状のレビュー、ODAの重要性などが指摘され、一方途上国側に自助努力、良い統治を求めるべきことなどが議論された。保健、教育などの分野の重要性も強調され、特に保健分野においては、G8サミットに先だって、アナン国連事務総長と共に世界エイズ保健基金の発表が行われ、G8諸国としては約13億ドル以上のコミットがなされた(我が国の貢献は2億ドル)。
また、20日の夜には途上国の首脳7名(アルジェリア、セネガル、ナイジェリア、マリ、南アフリカ、バングラデシュ、エルサルバドル)及び国際機関の長5名(国連、世界銀行、WHO、WTO、FAO)との会合が行われ、貧困削減の問題について集中的な議論が行われた。この議論を受けた形で、21日には「アフリカのためのジェノヴァ・プラン」が発表され、2002年のカナダ・サミットに向けて具体的な行動計画の策定を、アフリカ諸国と連絡を取りつつ行うこととなった。
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地球環境
京都議定書問題を中心に活発な議論が行われ、京都議定書に関する現時点での立場の違いを乗り越え温室効果ガス削減という共通の目標を達成するためG8として集中的に協力していくというメッセージが出された。小泉総理は、米国を含むすべての国が一つのルールの下で行動することが重要であること、2002年の京都議定書の発効を目指して全力を尽くすべきことを主張され、議論のとりまとめに貢献した。
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地域情勢
主要な地域情勢についても議論が行われた。中東情勢については、G8として暴力の停止、ミッチェル報告書の実施の重要性を訴える別途の声明が発出された。朝鮮半島情勢については、韓国の包容政策を支持し、北朝鮮をめぐる人権・人道上の問題、安全保障上の問題に対する懸念に関する建設的な対応を促すこととなった。また、マケドニアにおける政治対話の進展を奨励することとなった(マケドニア及び朝鮮半島情勢については地域情勢に関するG8首脳声明としてとりまとめられた)。
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自由討議
21日夜行われた首脳間の自由討議においては、今回のデモ等を背景として、サミットの意義について議論がなされ、話し合いをすることが重要であり、話をするというランブイエ・サミットの精神に立ち返るべきであるとの意見で一致が見られた。
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以上のほか、国際金融制度の改革、食品安全、IT等の問題についても議論がなされた。 |