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G7 / G8

デンヴァー・サミット
(7ヵ国声明の概要ととりあえずの評価)


平成9年6月21日
外務省

1.全般的評価

(1)今次サミットにおける7ヶ国の会合については、「グローバル化」(国際化に伴う競争と変革の激化)が急速に進展する中で、21世紀に向かって経済、金融等の諸分野において各国が直面している様々な課題について、G7首脳の忌憚のない意見交換が行われた。国際社会が構造的変革を遂げる中で、G7首脳が、短期的課題のみならず中長期的な視点から大所高所の議論を行い、様々な課題につき具体的な処方箋を示したことは極めて有益であった。

(2)特に市場のグローバル化に伴う問題を克服し、その恩恵をあらゆる国、あらゆる国民が享受できるようにするため、(イ)各国が、インフレなき持続的成長、雇用創出、財政の健全性を促進し、社会の高齢化に伴う課題を克服するための諸施策を実施すること、(ロ)他の諸国と共に、貿易投資の自由化の促進、全世界的な金融市場の安定を確保すること、(ハ)移行期の経済及び開発途上国の世界経済への統合を成功裡に進めること、が重要課題とされた。

(3)橋本総理は、マクロ経済、高齢化の問題等につき議論を積極的にリードしつつ、我が国が中長期的視点から持続的な経済発展を遂げるために6大改革を強力に推進していること等を紹介した。同時にアジア太平洋の視点を踏まえつつ、高齢化問題、国際金融等につき我が国の貢献を説明した。

2.主要な討議事項

(1)成長の促進
 G7経済においては、インフレ率は低く、成長率も概ね良好であるなど全般的に良い方向にあるが、財政・金融市場の健全性の確保、高失業問題などそれぞれの国によって対応を迫られている問題がある他、高齢化社会のもたらす経済的社会的影響に対応するための構造改革が必要であるとの認識が示され、OECDにおける作業をさらに進めることとなった。
 各国の経済状況に関しては、米国についてはインフレ再燃に対する警戒、財政バランスの改善、貯蓄増強が、我が国については内需主導型成長と対外黒字の著しい増加の回避、財政改革を含む構造改革の重要性が、欧州については雇用問題等の重要性が指摘された。
 ロシアの税制改革、投資環境整備、競争促進、贈賄対策等を含む経済改革の重要性が盛り込まれた。

(2)グローバルな金融システムの安定の強化
 国際金融市場は益々グローバル化しかつ複雑となっているが、その安定性、効率性の確保は世界の成長と繁栄にとって極めて重要であるとの認識の下、ハリファックス・サミット以降行ってきた金融監督当局及び国際金融機関による金融危機対応及び市場の安定性確保のための努力を評価するとともに、国際的な監督当局間の協力を一層強化するための方途につき議論した。この関連で、新興市場経済における金融システムの強化のための国際協調の重要性が認識され、更なる行動のための検討が進められることとなった。

(3)統合された世界経済の構築
(イ)国際金融機関
 世界貿易と民間資本移動の拡大のためには、国際金融機関の継続的な改革が必要との観点から、協定の改正を含むIMFの改革、貧困削減や最貧国の制度造り等に焦点を当てた世銀の改革のための作業、国際金融機関が支援するに当たっての途上国の「良い統治」及び透明性の確保の重要性等につき認識の一致をみた。
(ロ)開発のためのグローバル・パートナーシップ
 リヨン・サミットにて合意された開発のためのグローバル・パートナーシップが再認識されると共に、特に先進国においては持続可能な成長、貿易投資の自由化、適切な開発援助の確保、最貧途上国の重視と人造り支援の重要性等が盛り込まれた。途上国側においては適切なマクロ経済政策、非生産的支出の削減、効果的な経済改革、貿易・投資の自由化等が重要であることが指摘された。
 なお、リヨン・サミットで合意された重債務貧困国イニシアティブ(HIPCイニシアティブ)が実際に適用されたことが歓迎されると共に、本イニシアティブの一層の適用への期待感が表明された。
(ハ)腐敗と金融犯罪
 IMF及びその他国際開発金融機関における汚職と戦っている諸国に対する支援の強化、OECD閣僚理事会における贈賄に係る決定、金融犯罪に関する国際協力、マネーロンダリングに対する金融活動作業部会(FATF)の強化などが盛り込まれた。
(ニ)貿易と投資
 ウルグアイ・ラウンド合意の完全かつ効果的な実施、WTOシンガポール閣僚会合の成果、金融サービス合意の年内妥結、OECDにおける多国間投資協定交渉の成功、WTOのLDC支援会議への期待、WTOの参加国拡大、多国間投資協定(MAI)の成功裡の妥結等が盛り込まれた。

(4)ウクライナ
 チェルノブイリ原子力発電所の石棺問題ついては、G7として総額3億ドルのプレッジが示された。

3.我が国の主張

 我が国としては、以下のような点を重視して会合に臨んだ。

(1)マクロ経済、雇用
 我が国の6大改革の他、本年秋に神戸にて、若年者、高齢者の雇用に焦点を当てた「雇用に関する国際会議」を開催する予定。

(2)金融
 新興市場国における金融市場の安定のため、関係国の金融当局と関係国際機関の対話を行う場として、本年中に我が国で国際会議を開催する予定。

(3)開発
 リヨン・サミットで合意された、「新たな開発のためのグローバル・パートナーシップ」の考え方を具体的に移していくため、我が国としては他のドナー国との援助強調、途上国との政策対話等を推進している。具体的イニシアティブとして、アフリカにおける人造り協力のための国際的ネットワークの構築、沖縄における「開発に関する沖縄会議」(本年7月)及び「南南協力に関する国際会議」(来年)の開催等を予定している。

(4)貿易
 WTOの加盟国拡大に向け、申請国に対し一層の市場アクセス改善等の自由化約束を働きかけ、交渉の加速化を図ることが重要。

目次

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