外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 G7 / G8
G7 / G8

デンヴァー・サミット:8カ国の討議・コミュニケ
(主要論点ととりあえずの評価)


平成9年6月22日
外務省

1.全般的評価

(1)今回のサミットでは、21世紀にむけて、よりよい社会、より安全な社会を次世代に引き継ぐための様々な課題について意見交換を行った。すなわち、「グローバル化」が進む国際社会全体及び市民の安全と平和を脅かす諸問題(環境、感染症、テロ、国際犯罪等)への対策を議論すると共に、既存の国際秩序の強化(国連、WTO等)の問題も議論した。なお、このような議論において、民主主義と市場経済という普遍的価値を機軸として国際社会への幅広い統合(「グローバルな統合」)を推進することが重要であることに意見の一致を見た。今年取り上げられた「アフリカ」や「民主主義と人権」も、「グローバルな統合」という観点からとらえることもできる。なお、今回のサミットでは、ロシアが一部を除いてほぼすべての協議に参加した。

(2)橋本総理が昨年リヨン・サミットで提唱した「世界福祉構想」は、高齢化を含む幅広い社会保障分野の問題に、国際的な経験交流と協力を通じて対処するものである。また環境やテロの分野では、国際社会における飛躍的な相互依存と交流拡大のなかで、いかにして市民生活の安全を地球規模で確保していくかとの問題意識のもとに有意義な議論が行われた。国連改革問題も、よりよく、安全な地球社会の実現に結びつく重要な議題として、活発な議論が行われた。こうした意見交換を通じ、各国の政策につき相互理解を深め、もって政策強調を図るとの目的は十分に果たされた。

2.主要論点

(1)世界福祉構想
 本年は高齢化と感染症対策という二つの側面に焦点が当てられ、前者については「アクティブ・エイジング」との考え方が示され、高齢者が活力ある生活を送れるような社会を実現することが強調されると共に、後者については感染症の発生状況の監視、緊急対応能力の強化のための方策等が議論された。

(2)環境
 本年は国連環境開発特別総会、気候変動枠組み条約第三回締約国会議等主要環境国連会議が開催されることもあり、環境問題に焦点が当てられ、2010年までに温室効果ガスを削減する結果をもたらすような目標への意図表明を含め、これら会議に向けた力強い政治的メッセージが発出されると共に、森林、淡水、海洋、環境関連国際機関改革につき具体的な方向性が示された。

(3)テロ
 テロリストの要求に屈することなく、断固たる姿勢でテロ対策に取り組むとの方針を再確認した。昨年7月のパリ閣僚会合で採択された25項目の勧告に基づく進展を評価するとともに、2000年までのテロ関連条約への完全加入実現を目指して外交努力を強化することとなった。

(4)アフリカ
 今次サミットでは、グローバル化が進展する中で、特に過酷な状況におかれているアフリカ諸国の開発の問題に焦点が当てられた。G8首脳は、政府開発援助、国際機関による支援、アフリカ諸国の貿易投資の自由化と先進国側の市場アクセス改善措置等の様々な措置を含め、開発に責任をもって取り組み、民主的改革、経済社会改革努力を真摯に行っているアフリカ諸国に対する支援を強化するための方策につき意見の一致を見た。また、アフリカ諸国間の紛争を予防し、また解決するための協力のあり方についても一致した。

(5)国連改革
 21世紀の世界が直面する様々な問題に対応できる国連とするために、その組織と運営を全般的に改善し、財政基盤を強化する等の改革を進める必要性につき意見が一致した。

(6)民主主義と人権
 新たに民主化した国家における民主的諸価値や基本的自由を強化し、これによって広く国際社会における平和と人権の尊重をより確かなものとする必要性につき意見の一致を見た。さらに、民主的過程への幅広い参加を確保し、社会闘争を防止するためにも、社会的弱者の保護に意を用いるべきことで一致した。

(7)地域情勢
 橋本総理のイニシアティヴでカンボディア情勢が議論され、各国の賛同を得て日仏両国から特使が派遣されることとなった。本件(及びボスニア・へルツェゴヴィナ)については、状況の重要性に鑑み、コミュニケとは独立の声明が発表された。その他、返還を目前に控えた香港、朝鮮半島、中東和平、イラン、ボスニア・へルツェゴヴィナ等が議論された。

3.我が国としては以下のような点を重視して会合に臨んだ。

(1)感染症
 世界福祉構想の一環として、感染症の発生予防対策の向上のための国際協力等に加え、寄生虫問題につき国際社会が一層の注意を払うべきであるとの考え方を強調する。

(2)アフリカ
 「新たな開発のためのグローバル・パートナーシップ」の具体化に向け、他のドナー国との援助強調、途上国との政策対話、人造り協力、南南協力等我が国の積極的取り組みを強調する。

(3)環境
 国連環境開発特別総会、気候変動枠組み条約第3回締約国会議に向けたG8の力強いメッセージの発出に向け、積極的に会合をリードする他、持続可能な開発の観点から、革新的な技術開発及びその普及を重要性を重視。また、途上国支援等として東アジアの酸性雨のモニタリングのためのネットワークの構築、東アジアの生物多様性を保全するための構想等を盛り込んだ「21世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)」を提唱する。

(4)テロ
 在ペルー大使公邸占拠事件の教訓をも踏まえ、人質事件に重点を置いたテロ対策の強化(対処能力強化、情報交換の緊密化、地域協力の推進)を提唱する。

目次

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省