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重債務貧困国に対する開発と債務救済に係る包括的取り組み 1999年4月28日
基本的考え方1.重債務貧困国の債務問題が引き続き深刻な状況にあることにかんがみ、国際社会として従来の取り組みを一層強化する必要性が生じております。昨年10月、東京で開催された第2回アフリカ開発会議においても債務問題は重要な課題の一つとして採り上げられ、我が国は、債務救済のための無償資金協力の拡充策を発表し、併せ、引き続き真剣にこの問題に取り組む方針を表明しました。
2.これまで我が国は、債務返済負担の特に大きい開発途上諸国に対し、G7その他諸国とも協調し、国際的な枠組み(パリクラブ)の下でこれら諸国の債務軽減に前向きに取り組み、これまでに約9,400億円にのぼる債務繰延を行いつつ、特に我が国の二国間ODA債権については、過去20年あまりの間に27ヶ国に対し、合計約3,400億円(約30億米ドル)に達する債務の無償化の措置をとってきました。また、国際通貨基金(IMF)や世界銀行等の国際金融機関による重債務貧困国に対する債務救済基金に対し、総額約84億円(7,300万米ドル以上)の拠出を行い、他国に先がけた実質的な協力を進めてきました。
3.重債務貧困国の債務返済負担が持続可能な水準にまで軽減され、経済社会開発に取り組む力を取り戻すことを可能とするための更なる債務救済策を国際社会がとるに当たっては、次の諸点を十分に踏まえることが必要と考えます。
- 重債務貧困国の主体的責任と自助努力(オーナーシップ)が基本となるべきこと。特に当該国の経済運営や経済改革に向けての努力が進められること。
- 債務救済措置により利用可能となる財政資源が、教育、保健・医療その他社会的投資や雇用創出等の開発目標に活用されるべきこと。
- 債権国間の負担の公平が図られること、また、二国間の債権と国際金融機関の債権との間の債務救済の負担についての公平性が確保されること。
- 倫理の欠如とその波及、いわゆるモラル・ハザードの問題にも十分留意する必要があること。
- 債務救済が行われた後は、適用国に対し、新たな借款の供与は困難となり、資金協力を行う場合には無償資金が原則となること。
4.なお、被援助国に返済義務を課すODAの長期低利借款は、自助努力の理念に合致するものであり、実際ODA借款を適切に利用し、開発のテイクオフに成功した国が数多くあることを指摘したいと思います。
具体的対策
我が国としては、以上の基本的考えを踏まえ、重債務貧困国の開発と債務救済に関する包括的な取り組みの一環として、従来の取り組みに加え、今回以下を新たに提案します。
1.パリクラブ・国際金融機関を通じた重債務貧困国に対する既存の国際的な債務救済措置の枠組み(HIPCsイニシアティヴ)の下で、負担の公平性に留意しつつ既存の措置の内容の改善・拡充を図る。具体的には、
- 二国間のODA債権については、現行の削減率67%を100%に拡大する。(我が国は、債務の帳消しと実質的に同等な措置である債務救済無償資金協力の拡充により対処する。)
- 二国間の非ODA債権についても、必要に応じ、現行の削減率80%を拡大する。
- 重債務貧困国の債務負担を軽減するために、国際金融機関は、二国間債権との公平な負担を念頭におきつつ、国際金融機関に対する債務についての救済措置の拡充を図る。そのため、IMF・世界銀行が設ける債務救済を目的とした信託基金については、各国から債務救済全体に対する貢献を勘案した公平な拠出を求めるとともに、その資金の早期活用を図る。IMFにおいては、その保有する金の売却により財源の確保に充てる。
- HIPCsイニシアティブの下で、改革の達成が著しい債務国や、支援の緊急性の高い債務国等については、柔軟な取り扱いを行う。
2.以上の債務救済措置の適用を受けるためには、債務国が構造改革に積極的に取り組み良い結果が得られることを条件とする。
3.債権国側による債務救済措置をより効果的なものとするため、債務国側において債務管理能力の向上に必要な人材育成を求めるとともに、そのための技術協力を積極的に行う。
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