カナダ、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国、日本国、連合王国及びアメリカ合衆国の元首及び首相は、欧州共同体委員会委員長とともに第二次大戦終戦四十周年の前夜、ボンに集い、戦争行為により、または、非人道的行為、抑圧、及び専制政治の犠牲者として、生命を失ったすべての人々のことを悲しみをもって想起する。我々は、彼らの霊及び彼らに続くすべての人々に対し、我々の国々及び世界において、平和、自由及び正義を堅持する責務を有していることを認識するものである。
我々は、歴史の教訓を学んだ。戦争の終結は新たな始まりを印した。戦いの音が止んだ時、我々は、道義及び精神の両面における再生並びに物質面における復興という課題に取り組んだ。我々は、かつて我々を隔てていた対立を乗り越えて、共通の価値の下に和解と協力への歩みを開始した。今日、我々は、平和に満ち、ゆるぎない、そして永続する友情に結ばれ、我々の国々において、自由、民主主義の諸原則及び人権を堅持する決意を共有する。我々は、我々の国々の政府の正統性が自由選挙により表明された国民の意思に基づくものであることを誇りに思う。我々は、我々の国民が自由に、各人の意思のまま発言し、書き記すことができること、各人の宗教を信奉できること及び各人の意思のままに移動できることを誇りに思う。我々は、個人の創意と努力が実を結ぶことのできる社会、また、社会正義並びに義務及び権利という理念を追及できる社会の維持を保証することを決意している。
我々は、それぞれの国が個別に行うよりも相互に連携することにより、これらの目的の達成並びに技術及び産業の変化によりもたらされる機会と挑戦への対処がより効果的に行うことがきることを認識する。欧州においては、和解と共通の目的を具現する共同体は、加盟国数、その力及び豊かさにおいて更に前進を続けている。活力に満ちた太平洋地域の諸国の関係は、かつてないほどに緊密になりつつある。北米、欧州及び日本の間の連携は、世界の平和と安定を保証するものである。
第二次大戦の厳しい苦痛を我々と分かち合った他の諸国が、政治制度の根本的相違の下で、我々から分かたれている。我々は、欧州の分割を深く遺憾とする。平和、自由及び民主主義という理念を堅持するとの決意から、我々は、欧州において生じた障壁を平和的手段によって低くすることを求めている。我々は、人権を高めるとの約束を伴ったCSCE(欧州安全保障協力会議)の過程は、欧州における信頼、協力及び安全を増大する機会を提供したものと信ずる。我々は、大戦終了後四十年を経た今日、我々の間で達成されている平和と友好の環境を考慮しつつ、ドイツ民族が自由な民族自決を通じその統一を回復するような欧州の平和な状況を待ち望んでいる。我々は、アジアにおいては、当事者が朝鮮半島の分割を自由のうちに克服することを可能とするような政治環境が創られることを切望する。
国連憲章において確認されているとおり、すべての国家は、国際の平和及び安全を維持すること及びそのために武力による威嚇と武力の行使を慎む共同の責任を有する。我々は、民主主義的自由を擁護しつつ、平和を維持する決意を共有している。そのために、優位を求めず、また自らの防衛も怠らずに可能な限りの低い水準における安定した軍事力の均衛の維持及び強化に向けて我々の一人一人が努力する。我々は、東西を分断している深刻な相違に対処するために高いレベルにおける対話を探求する用意がある。我々は、平和を強化する努力及び現存する核兵器の水準の意味ある削減交渉、通常兵器の制限、化学兵器の禁止及び紛争の危険の減少を通じ、抑止を高める努力を強く支持する。我々は、ジュネーヴにおける交渉の開始を歓迎する。我々は、アメリカ合衆国の積極的な提案を評価する。我々は、同交渉において有意義な合意が達せられるように、ソ連が積極的かつ建設的に行動するよう求めるものである。
我々は、開発途上国が飢餓及び病疫と戦い、自由で繁栄した社会を建設し、平和と自由を堅持することを決意した国々の共同体に参画することが出来るように支援するため、彼らと共に働くことを引き続き追及するものである。我々は、真正非同盟を国際の安全と平和に対する重要な貢献として評価する。
第二次大戦の筆舌に尽くし難い苦痛及び平和と自由の四十年という共通の体験を回顧する時、我々は、改めて、すべての国民が平和、正義並びに抑圧、欠乏及び恐怖からの自由の思恵に浴しうる世界、即ち、個人が自分自身、家族及び社会に対する責任を果たしうる世界、大小を問わずすべての国々が全人類のよりよい将来を求め相携えて働く世界の創造のために我々自身と我々の国を捧げるものである。