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4 ボン サミット

宣  言(仮 訳)

1978年7月17日

 カナダ、ドイツ連邦共和国、フランス、イタリア、日本国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにアメリカ合衆国の元首及び首相は、1978年7月16日及び17日にボンで会合した。欧州共同体の権限に属する事項の討議については、欧州理事会議長及び同共同体委員会委員長が同共同体を代表して参加した。

  1.  我々は、成長・雇用・インフレ、国際通貨政策、エネルギー、貿易及び開発途上国が特別の関心を有するその他の諸問題にわたる総合的な戦略に合意した。我々は、より多くの雇用機会を創り出し、インフレと闘い、国際貿易に力を入れ、国際収支の不均衡を縮小し、為替市場において一層の安定を達成するようにしなければならない。我々が取り組んでいるのは、長期的な問題であり、これらの問題は、我々が努力を続けることによって初めて克服しうるものである。この戦略全体は、ひとつのまとまったものであり、その構成部分は、相互に依存関係にある。各国はこの戦略に対して貢献することができるし、また、この戦略から利益を得ることができる。

成長・雇用・インフレ
  1.  我々は、何にも増して世界的な失業について懸念を抱いている。なぜならば、失業は、多年にわたってあまりにも高い水準にあり、最も脆弱な立場にある人々に最も厳しい打撃を与えているからであり、また、失業による経済的な損失そしてそれ以上に人間的な損失は、大きいものがあるからである。我々は、雇用機会を増大させるため、成長を確保し及び必要とされる技能を開発するという措置を講じる。

     我々は、このような措置をとるに際し、インフレに対する闘いでこれまでに達成された進歩を基礎としつつ、この闘いにおいて新たな成功を追求していくであろう。しかしながら、我々は、国際収支の極端な黒字及び赤字を縮小するためにインフレを再燃することなく、より高い成長を実現できる国においては、そのような成長を達成することを必要としている。このことは不安定な為替相場の変動を少なくする。成長の改善は、保護主義的圧力の軽減に役立つ。それはまた経済進歩の鍵である民間投資の流れを促進するためにも必要である。我々は、国内的に、また、国際的に民間投資に対する障害を軽減することに努める。自由世界がその国民の期待及び開発途上国の要望に応えて発展できることを確保するためには、より高い成長が行われることが必要である。

  2.  着実なインフレなき成長を確保するためには、異なった状況に直面している各国の異なった行動からなるプログラムを作成することが必要となっている。すなわち、国際収支の状況及びインフレ率が特別の制約となっていない国においては、内需の拡大を速めることが要請される。価格とコストの上昇が強い圧力要因となっている国においては、インフレに抗して新たな措置をとることを意味する。

    • カナダは、インフレを抑制し、軽減する必要性と両立する限度内で雇用の拡大及び5パーセントまでの生産の増加を達成する意図を再確認した。
    • ドイツ代表団は、経済的均衡の世界的なかくら攪乱を回避することに資するため、8月末までに立法府に対し、需要を著しく拡大し成長率を高めることを意図した国民総生産の1パーセントまでに相当する数量的に相当大きな追加的措置を提案する旨表明した。上記措置の規模は、資本市場の消化能力及びインフレ圧力を回避する必要性を考慮したものとする。
    • フランス共和国大統領は、フランス政府が、インフレ率を低減するための政策を追求する一方、共通の努力に対する貢献として、1978年国家予算の赤字を国民総生産の約0.5パーセント相当分増大させることに同意する旨述べた。
    • イタリア首相は、イタリア政府が1979年の経済成長率を1978年に比し1.5パーセント高めることを約束する旨述べた。同国政府は、インフレを引き起こさずに雇用を増大させるために、投資を刺激する一方で、経常的公共支出を削減することによって、この目標を達成することを計画している。
    • 日本国総理大臣は、日本国政府が既に1978年度の実質経済成長率について内需拡大を中心として前年度実績を約1.5パーセント・ポイント上回る目標を決定し、その達成に努力していることに言及し、必要ならば適切な措置をとりその目標を実現したいとの決意を表明した。総理は、8月又は9月に追加措置が必要かどうか決定するであろう。
    • 連合王国は、インフレ率の大幅な低減及び国際収支の改善を達成し、国民総生産の1パーセント強に相当する財政上の刺激策を最近実施した。連合王国政府は、成長と雇用の見通しを更に改善するため、インフレとの闘いを継続する意図を有する。
    • アメリカ合衆国大統領は、同国の健全な経済を維持するためには、インフレの軽減が肝要であり、それ故に、インフレ軽減は合衆国の経済政策の最優先事項となった旨述べた。大統領は合衆国におけるインフレ抑制のために今まで取られた、または、現在取られている主な措置として1979年度に当初予定されていた減税幅を100億ドル縮小したこと、1978年及び1979年の政府支出予測の削減、1980年度のため準備されている高度の緊縮予算、政府の規則あるいは規制によって費用及び物価の上昇に直接的に結びつくような原因を減少させるために現在とられている諸施策、賃金及び物価上昇の速度を低めるために取られている自発的計画を指摘した。
    • 既にブレーメンで合意された欧州共同体の共通アプローチは、このプログラムの有効性を強化することを、今会議は満足をもって留意した。

エネルギー
  1.  現下のエネルギー情勢は、若干の改善はみられるものの、未だ不満足なものである。更に多くのことがなされる必要がある。
  2.  われわれは、輸入石油への依存度を低減することを約束する。
  3.  われわれは、欧州共同体がブレーメンにおいて、1985年の目標として次の諸点に合意したことに留意した。

    • 共同体の輸入エネルギーヘの依存度を50%にまで引き下げること
    • 石油の純輸入を制限すること
    • エネルギー消費の増加率と国内総生産の増加率との比率を0.8まで引き下げること
  4.  合衆国は、エネルギー分野における特別の責任を認め、輸入石油への依存度を低減する。合衆国は今年末までに上記努力が緊急に推進されるような総合的な政策の枠組を用意する。年末までに、1985年までに1日およそ250万バーレルの石油輸入の節約をもたらす措置が発効する。これらの目標を達成するために、合衆国は10億バーレルの戦略的石油備蓄を確立する。石炭生産を現在の2/3相当増大する。国民総生産の伸びとエネルギー需要の伸びの比率を0.8又はそれ以下に維持する。そして石油消費は、エネルギー消費よりもより緩やかな伸びになる。1978年と1979年の石油輸入量は、1977年のそれよりも少なくなるはずである。石油の過剰消費を抑制し、石炭への移行を助長するために、合衆国は国内の石油価格を1980年末までに国際水準に引き上げる決意である。
  5.  われわれは、石油輸出国が引き続き世界のエネルギー情勢の安定に寄与することを希望する。
  6.  より長期的視点から、各国はそれぞれのエネルギー計画を促進するため、その計画をレヴューする。全体的なエネルギー目標は、計画の達成度を計る有効な尺度として役立つであろう。
  7.  先進工業社会におけるエネルギー生産及びエネルギーのより効率的な利用のため、民間投資及び公共投資を増大すべきである。このことは、経済成長に寄与することが大きいであろう。
  8.  原子力エネルギーの開発を促進することは、欠くことのできないものであり、また、原子力発電計画の実施の遅れは、逆転しなければならない。原子力エネルギーの平和利用を促進し、また、核拡散の危険性を軽減するため、ロンドン首脳会議で開始された核燃料サイクルの検討は、引き続き行うべきである。合衆国大統領及びカナダ首相は、有効な保障措置の枠組み内において、引続き核燃料の信頼できる供給者となるとの固い意図を表明した。合衆国大統領は、濃縮ウランの供給のいかなる中断をも防止し、また既存の協定が尊重されることを確保するため、大統領としての全ての権限を行使する意図である。カナダ首相は、有効な保障措置に基づきカナダのウラン供給を中断しない意図である。
  9.  石炭は長期的にますます重要な役割を担うべきである。
  10.  再生可能なエネルギーを含む新規エネルギー源の開発及び既存のエネルギー源のより効率的な利用を促進するため、エネルギー研究開発を共同して又は協調して実施しなければならない。
  11.  エネルギー開発に当たっては、環境及び住民の安全は最大の注意をもって保障されるべきである。
  12.  われわれは、開発途上国を支援するため、エネルギー分野における国毎の開発援助計画を強化する。われわれは、また、再生可能なエネルギーに関する技術を実用化するための協調的な努力を行うこととし、向こう1年間のうちにそれを具体化する意図を有する。われわれは、OECDが他の国々との協力のための場を提供するよう示唆する。
  13.  われわれは、エネルギーの分野における開発途上国向け援助の改善及び協調の必要性を強調する。われわれは、世界銀行がこの分野におけるその活動を開発途上国のニーズに一層応えるように行う方途を探求し、特に、炭化水素の探査のファイナンスについて新たなアプローチが有用であるかについて検討することを示唆する。

貿  易

  1.  われわれは、より持続的かつ均衡のとれた経済成長を推し進める一つの力である国際貿易を拡大するとのわれわれの決意を再確認する。われわれは、共同の努力を通じて、開放的な国際貿易体制を維持し、かつ強化する。われわれは1978年7月13日にジュネーヴにおいて公表された多角的貿易交渉東京ラウンドに関する了解の枠組みのなかで述べられている進展を評価しかつ支持する。もっとも、かかる了解の枠組みのなかにおいても、いくつかの困難でかつ重要な問題が未解決になっている。

     この史上最大の交渉を成功裡に妥結することは、単に1980年代にわたる主要な貿易自由化プログラムを意味するばかりでなく、非関税措置に関してガットにおいてかつてない最も重要な進歩がなされることを意味するものとなろう。かくして、ガットの規則、特にセーフガードに関するものは、世界貿易制度の弱体化を避け、かつ先進国、開発途上国を問わずすべての貿易国に利益をもたらすような形で次の十年の要請に一層則したものとされるであろう。多くの分野における協議及び紛争処理の新しいメカニズムの創設により、国際貿易制度において、従来より相当に高い程度の衡平及び規律が達成されることとなろう。ガット規則の統一的適用が肝要であり、われわれは、この方向に出来るだけ速やかに進むであろう。

     交渉のすべての分野において、首脳会議参加諸国は開発途上国と一層緊密に協力して行きたいと考える。われわれは、たとえば、特別かつ異なった取扱いを通じて開発途上国の必要を十分考慮に入れ、かつ、世界貿易制度の利益及び義務に対する開発途上国の一層の参加をもたらすような健全かつ均衡のとれた結果がすべての参加国に対して確保されるよう努力する。

     昨年のロンドン首脳会議においてわれわれは世界貿易の保護主議への道をしりぞけた。われわれは東京ラウンドに新たな活力を与えることに合意した。われわれの交渉者はその約束を履行してきた。今日、われわれは、われわれの交渉者に対し、他の参加国と協力して、残された問題を解決し、細部にわたる交渉を1978年12月15日迄に成功裡に完了する任務を与える。

  2.  われわれは、先月行われたOECD閣僚理事会が開放的な市場指向型の経済体制を維持するとのプレッジを更新したことに満足の意をもって留意する。今日における世界経済上の諸問題は、明らさまのあるいは隠れた保護主義に逆戻りすることによっては解決することはできない。
  3.  われわれは、積極的調整政策に関するOECD諸国閣僚の声明を歓迎する。時間の経過に伴い、構造的な変化を受入れ、かつこれを促進する用意がなくてはならない。このような変化を妨げる措置は、経済の非効率性を永続的なものとし、構造的な変化の負担を貿易相手国に転嫁し、また開発途上国を世界経済に組みこむことを阻害する。われわれは、産業政策、社会政策、構造政策及び地域政策に関するイニシアティブをとるに当って、困難に陥っている部門を国際競争及び貿易の流れを妨げることなく支援することを決意している。
  4.  われわれは、大幅な経常収支の赤字を抱える国が輸出を増大し、また、大幅な経常収支の黒字を有する国が輸入増大を促進することの必要性に留意する。この関連において、合衆国はその輸出を改善するべく固く決意しており、この目的を達成するための措置を検討している。日本国総理大臣は、内需の拡大と諸々の輸入促進のための努力を通じて輸入の増大を図るべく努めたい旨述べた。

     さらに、日本国総理大臣は当面する異常な黒字に対処すべく日本政府は1978年度輸出を数量で前年度と横ばいないしそれ以下とすることをねらいとして輸出の自粛を要請するという臨時異例の措置を講じている旨述べた。

  5.  われわれは、先進国間及び先進国と開発途上国間の対外民間投資の流れの分野における協力を増大する用意があることを強調する。われわれは、OECD及びその他の場において一層の合意を得るための作業を強化する。
  6.  世界の経済活動を拡大させることとの関連において、われわれは、開発途上国の製品のわれわれの国の市場へのアクセスを改善する必要性があることを認める。同時に、われわれは、開発がより進んだ開発途上国が輸入品に対して自国の市場を開放するべく一層の用意をすることを期待する。

開発途上国との関係

  1.  われわれの経済を強化しようとする努力が成功することは、開発途上国の利益になることであり、また、開発途上国の経済の進展は、われわれにとって利益となる。このことは、責任を共にしているとの認識に基づく共同行動を必要としている。
  2.  開発途上国、とりわけ最も困窮している諸国は将来にわたり、その開発のための資金協力その他の協力の増大につき、われわれに期待することができる。日本国総理大臣は、日本の政府開発援助を3年間で倍増するように努力すると述べた。

     われわれは、コメコン諸国が開発途上国への資金援助における相応の分担をしていないことを極めて遺憾に思い、再度同諸国に対して相応の分担を負うよう呼びかける。

  3.  貧困開発途上国は、緩和された条件での援助をより多く必要としている。われわれは、世界銀行及び三つの地域開発銀行のソフトな融資基金を支援する。われわれは、われわれの政府が、国際開発協会が行う融資が実質価値で毎年増大しうるような規模の資金補充を支援することを誓う。
  4.  より開発の進んだ開発途上国については、われわれは、商業的条件での融資に対する需要が増大していることに応えるのに足る規模の国際開発銀行の資金補充を支援するとの誓約を再確認する。われわれは、開発プロジェクトに関し、政府及び民間がこれら銀行と協調融資を行うことを奨励する。

     開発途上国の経済成長をもたらし、開発途上国への技術移転を促進する上で対外民間投資が効果的な役割を果たしうるためには、これら開発途上国において良好な投資環境がつくり出され、かつ、外国投資に対して適切な保護がはかられるよう、これら諸国が協力することが必要である。

     われわれは、また、パラグラフ15及び16に述べられているエネルギー分野における開発途上国に関する努力に言及する。

  5.  われわれは、共通基金についての交渉を成功裡に終結するよう積極的に推進し、個別商品協定締結のための努力を引き続き行い、また、輸出所得安定化のための種々の方策の検討を完了することに合意した。

国際通貨政策

  1.  為替市場における最近数ヵ月間の不規則な変動により、コンフィデンス、投資及び成長に対して、世界的に悪影響が及んだ。為替相場の安定は、基本的には、今日の国際収支の大幅な赤字及び黒字の要因となっている基礎的な諸問題に取り組むことによってのみ達成することができる。先に述べた諸政策を協調的プログラムの枠内で実施することにより、世界的な国際収支バランスのより良いパターンが実現され、国際為替市場の一層の安定がもたらされることとなろう。この安定によりまた、コンフィデンスは高まり、経済の持続的成長のための環境が改善されるであろう。
  2.  為替相場は、各国間の基礎的な経済金融条件の変化に対応するものであるが、われわれの通貨当局は、為替市場における無秩序な状態に対処するために必要な範囲で、引き続き介入を行う。われわれの通貨当局は、それらの努力の効果を高めるため、広汎な協議を行っていく。われわれは、国際通貨制度が効果的に機能することを促進するため、国際通貨基金による監視を支持する。
  3.  欧州共同体の代表者は、より緊密な通貨協力の構想を検討するとの7月6日及び7日のブレーメンにおける欧州理事会の決定につき、会議に報告した。会議は、この報告を歓迎し、共同体がその進展につき他の参加国に常時連絡することにつき留意した。

結  論

  1.  われわれの共同の目的は、われわれの国が直面する基礎的な経済問題にとり組むことである。

     われわれが合意した諸措置は、相互に補強的なものであり、その全体の効果は、各構成部分の単なる合計以上のものとなろう。われわれは、今、これらの措置に対する議会及び国民の支持を求める。

     われわれはこれらの目的をわれわれのみで達成することを望むことはできない。われわれは他の国々と、また、適当な国際機関の枠内において、緊密に協力する。われわれのうちで欧州共同体の加盟国である国は、共同体の枠組の中において努力する考えである。

     われわれは、われわれの代表に対し、1978年末までにこの宣言をレヴューするために会合するよう指示した。われわれは、明年適当な時期にわれわれ自身の間で同様の会議を開く意向である。

 
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