[14]ミクロネシア

1.ミクロネシアの概要と開発課題

(1) 概要
 ミクロネシアは、1947年以来、マーシャル、パラオ、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国際連合の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していたが、1986年に米国との自由連合盟約(コンパクト)を結び自由連合国家に移行した。
 経済面では、農業(コプラ:乾燥ココナツ)と漁業を除き極立った産業はなく、生活必需品の多くを輸入に依存している。連邦歳入の約5割はコンパクトに基づく米国からの財政支援である。米国とのコンパクトは2001年10月に終了し、2003年に改訂された結果、米国は2004年から2023年まで毎年9,200万ドル(一般財政支援7,620万ドル、信託基金1,600万ドル)以上の財政支援を行うこととなった。
 我が国との関係では、かつては1914年以来1945年まで我が国が南洋群島の一部として統治していたという歴史的関係に加え、民間漁業協定が締結されているように漁業関係でのつながりも深く、国づくり、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。
(2) 開発課題
 ミクロネシア連邦は島嶼によって構成される4つの州がそれぞれ大幅な自治権を持っている。いわばひとつの国に4つの独立国が存在するような政治構造になっているため、国家としての統一した開発政策・重点課題を持つことが必ずしも容易ではない状況にある。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ミクロネシアに対するODAの考え方

(1) ミクロネシアに対するODAの意義
 ミクロネシアは、歴史的に我が国と深いつながりがあり、数多くの日系人が政・財界で指導的な役割を果たしており、経済的自立の達成に向けた我が国援助への期待は高い。また、水産分野では、ミクロネシアとの間に民間漁業協定を締結している。この友好関係を大切にし、さらに強化発展させていくことは、我が国の対ミクロネシア外交上極めて重要である。
(2) ミクロネシアに対するODAの基本方針
 我が国は、これまで一般・水産無償援助を通して、主に水産・漁業分野でインフラ整備案件を実施してきた。技術協力分野では、青年海外協力隊員の様々な分野へ派遣している他、近年では新たにシニア・ボランティア派遣を開始しており、専門家についてはヤップ島で漁業訓練プロジェクトを実施している。また、IT分野の協力についての我が国に対する期待が高まっていることから、2003年4月に企画調査員を派遣し、同分野での協力の可能性を調査した。

3.ミクロネシアに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のミクロネシアに対する無償資金協力は4.59億円(交換公文ベース)、技術協力は3.39億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力139.13億円(交換公文ベース)、技術協力53.72億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 2003年度は「ポンペイ州周回道路整備計画」を実施した。本件は、2004、2005年度に亘って継続される予定であり、ポンペイ島の人の移動や物流の改善を図るものである。
(3) 技術協力
 教育、保健医療、農林水産など様々な分野での研修員受入、ボランティア派遣を中心に協力を行ってきており、そのほか水産分野では技術協力プロジェクト「漁業訓練計画」を2000年より継続して実施している。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ミクロネシア経済協力実績

表-6 諸外国の対ミクロネシア経済協力実績

表-7 国際機関の対ミクロネシア経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度までに実施済及び実施中の技術協力プロジェクト案件

表-10 2003年度実施済及び実施中の開発調査案件

表-11 2003年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件


プロジェクト所在図


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