65年英国より独立し、68年に共和制に移行したモルディブは、78年に就任したガユーム大統領が98年の大統領選挙で5選を果たし、この間社会経済開発を積極的に推進し、政権の安定を確保している。
外交面では、非同盟路線を基本としつつ、南アジア近隣諸国との関係強化に努める一方、イスラム諸国との緊密な関係を保っている。島嶼国であるモルディブにとって地球温暖化による海面上昇の問題は水没の危機に瀕する死活問題であり、近年同国はその回避のための国際協力を目指し、国連等国際場裡において積極的に国際世論の喚起に努めている。
経済面では、土壌が農業に不向きであり、天然資源にも乏しいため、主要産業は観光と漁業である。これまで観光業の発展を背景として順調な経済成長率を維持しており、80年代には実質GDP成長率年平均9%を達成し、99年も8.5%を記録したが、2000年は建設需要の低迷や漁獲量の減少等により4.8%と落ち込んだ。モルディブ政府は、国全体の均衡のとれた経済・社会開発の推進に努めるとともに、第5次国家開発計画(97~2000年)においては、国民の生活水準・質の改善、地方の環礁区の開発と開発利益の適切な配分、適切な環境管理及び良い統治の確保を目標として、積極的な経済政策運営を行ってきた。
我が国とは友好関係にあり、93年11月のガユーム大統領の四期目の大統領就任式には、小渕恵三日本・モルディブ友好議員連盟会長(当時)が特派大使としてモルディブを訪問した。モルディブからは、ガユーム大統領(2001年)、ジャミール外相(98年、2000年)、ハミード国民議会議長(95年)が訪日している。