[47]レ ソ ト

1.概   説

 93年3月に23年ぶりの総選挙が実施され、バソト会議党(BCP)が与党バソト国民党(BNP)に圧勝し、BCP党首モケシュレが首相に就任した。98年5月の国民議会選挙では、モケシュレ派から脱退したレソト国民会議(LCD)が圧倒的勝利を収め、モシシリ新首相が選出されたが、同年8月、総選挙の結果を巡って与野党の対立が生じ、9月には南ア軍及びボツワナ軍から成るSADC(南部アフリカ開発共同体)軍の介入を招いた。その後与野党間の話し合いの結果、2002年5月には国際選挙監視団の監視の下でやり直し総選挙が行われ、当時アフリカで最も民主的と呼ばれた選挙の結果、モシシリ首相率いる与党LCDが政権を掌握するに至った。レソト国内の各政治勢力及び近隣諸国はこうしたレソトの民主化を歓迎しており、政治情勢は安定化に向かっている。
 外交面では、アフリカ連合(AU)、英連邦との連携を基軸としつつ、同国が経済的に大きく依存している南アフリカとの関係を今後いかに調整するかが重要な課題である。
 経済面では、6万人余りの労働者が鉱山労働者として南アへ出稼ぎに出ており、この送金がGNPにしめる割合も大きい。農業については、可耕地は国土の13%にすぎず、規模も小規模であり、また、干ばつの影響から食糧危機が起きている。他方製造業では米国によるアフリカ成長機会法(AGOA)の恩恵を受け、繊維産業が成長している。また、南ア、ボツワナ、スワジランド及びナミビアとともに南部アフリカ関税同盟(SACU)を構成し、SACUからの関税収入が財政収入の約半分を占めている。
 我が国は、レソトから衣類、柑橘類等を輸入し(2001年度輸入額約2,600万円)、同国にビデオ機器、ミシン等を輸出している(同輸出額約5,200万円)。要人往来面では、2001年12月には、ツェコア外相がTICAD閣僚レベル会合に出席するため来日した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) レソトに対する政府開発援助の基本的考え方
 我が国はレソトに対し、食糧援助及び保健・医療、教育、農業等の研修員受入れを中心に援助を実施している。94年4月には、無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施した。また、98年5月の総選挙に際し、UNDPを通じて20万ドルの支援を実施した。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、食糧確保を含めた基礎生活分野に対する一般無償及び研修員受入れ、草の根無償資金協力等を中心に援助実施を検討していく方針である。
(2) 2001年度の援助実績
 2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力0億円、無償資金協力41.05億円(以上交換公文ベース)、技術協力4.24億円(JICA経費ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力2.99億円(交換公文ベース)、技術協力0.53億円(JICA経費実績ベース)を行った。
 無償資金協力については、食糧増産援助及び草の根無償資金協力による協力を行った。
 技術協力については、保健医療や農業等の分野における研修員受入れを中心とした協力を行った。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
前ページへ 次ページへ