93年3月に23年ぶりの総選挙が実施され、バソト会議党(BCP)が与党バソト国民党(BNP)に圧勝し、BCP党首モケシュレが首相に就任した。98年5月の国民議会選挙では、モケシュレ派から脱退したレソト国民会議(LCD)が圧倒的勝利を収め、モシシリ新首相が選出されたが、同年8月、総選挙の結果を巡って与野党の対立が生じ、9月には南ア軍及びボツワナ軍から成るSADC(南部アフリカ開発共同体)軍の介入を招いた。その後与野党間の話し合いの結果、2002年5月には国際選挙監視団の監視の下でやり直し総選挙が行われ、当時アフリカで最も民主的と呼ばれた選挙の結果、モシシリ首相率いる与党LCDが政権を掌握するに至った。レソト国内の各政治勢力及び近隣諸国はこうしたレソトの民主化を歓迎しており、政治情勢は安定化に向かっている。
外交面では、アフリカ連合(AU)、英連邦との連携を基軸としつつ、同国が経済的に大きく依存している南アフリカとの関係を今後いかに調整するかが重要な課題である。
経済面では、6万人余りの労働者が鉱山労働者として南アへ出稼ぎに出ており、この送金がGNPにしめる割合も大きい。農業については、可耕地は国土の13%にすぎず、規模も小規模であり、また、干ばつの影響から食糧危機が起きている。他方製造業では米国によるアフリカ成長機会法(AGOA)の恩恵を受け、繊維産業が成長している。また、南ア、ボツワナ、スワジランド及びナミビアとともに南部アフリカ関税同盟(SACU)を構成し、SACUからの関税収入が財政収入の約半分を占めている。
我が国は、レソトから衣類、柑橘類等を輸入し(2001年度輸入額約2,600万円)、同国にビデオ機器、ミシン等を輸出している(同輸出額約5,200万円)。要人往来面では、2001年12月には、ツェコア外相がTICAD閣僚レベル会合に出席するため来日した。