[16]コンゴ民主共和国(旧ザイール)
1.概 説
96年9月モブツ政権と反政府勢力(コンゴ・ザイール解放民主勢力同盟(ADFL))との間に戦闘が始まり、ウガンダ及びルワンダの支援を得た反政府勢力は、97年5月に首都キンシャサを制圧した。この結果、カビラADFL議長が大統領に就任し、その後国名がザイール共和国からコンゴ民主共和国に変更された。しかし、98年8月初めに、再度、同国東部地域でウガンダ及びルワンダの支援を得た反政府勢力が武装蜂起し、ウガンダやルワンダも軍事介入する紛争が勃発した。その後、カビラ政権側に、アンゴラ、ジンバブエ及びナミビア等の国が派兵を行い、複雑な国際紛争に発展した。99年8月に紛争当事国間で停戦合意が成立したが、その後も散発的に戦闘が発生しており、不安定な状態が続いた。2001年1月、カビラ大統領が殺害され、息子のジョゼフ・カビラ将軍が新大統領に就任すると、同大統領は停戦合意の履行に意欲を示し、国内和平交渉(国民対話)が進展した。
外交面では、コンゴ民主共和国紛争解決のため、ルワンダ、ウガンダとの関係を改善し、両国軍のコンゴ民主共和国領内からの撤退に合意した他、欧米との関係改善に努めている。
経済面では、基本的に銅、コバルト、ダイヤモンド、石油、コーヒー等の輸出により外貨収入を得ているが、91年来のモブツ政権末期の情勢混乱、96年から97年5月のカビラ政権誕生に至るまでの紛争、98年8月からの紛争等情勢が不安定な状態が続いているため、これら主要産品にも悪影響が出ている。ジョゼフ・カビラ新大統領は為替やダイヤモンド輸出の自由化を行い、経済の復興に努めている。
我が国は、コンゴ民主共和国からコバルト、銅等を輸入し(2002年輸入額38.9億円)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額15.37億円)。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) コンゴ民主共和国に対する政府開発援助の基本的考え方
我が国は、かつては同国に対し、有償資金協力、無償資金協力及び技術協力の各形態においてアフリカの中では大規模な二国間援助を実施していたが、91年9月の暴動発生以来、治安が悪化し二国間援助の実施は事実上困難となり、その後も内政の混乱が続いていたため、同国に対する二国間援助は、草の根無償資金協力を除き原則として中断されていた。しかし、2000年度から連続してUNICEFを通じてポリオ等の予防接種の実施のための協力を行うとともに、人道的観点から緊急無償資金協力及びUNHCRを通じた拠出、並びにWFP経由の食糧援助を積極的に行っている。
今後は、同国の和平プロセスの進展や治安情勢などを見極めつつ、二国間援助の可能性を検討する。ただし、コンゴ民主共和国は拡大HIPCイニシアティブの適用を受けており、現在、新規円借款の供与による協力は困難である。
(2) 2001年度の援助実績
2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力497.54億円、無償資金協力262.15億円(以上交換公文ベース)、技術協力65.87億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力3.64億円(交換公文ベース)、技術協力0.22億円(JICA経費実績ベース)を行った。
無償資金協力については、UNICEFを通じた予防接種活動でのマルチ・バイ支援に加えて、火山災害に対する緊急無償のほか、草の根無償資金協力を実施(3.42億円)している。
技術協力については、研修員受入を中心に協力を実施した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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