1.基本方針
- (1) 我が国の援助対象国としての位置付け
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セネガルは、
(イ) 西アフリカの中心国の一つであり、政治的に大きな発言力を有しており、また、仏語圏アフリカ諸国の中でも中心的な役割を果たしていること、
(ロ) 76年に複数政党制を採用して以来、2000年3月の大統領選挙で平穏に政権交代が行われたことに示される通り、アフリカ有数の民主主義国家として政情が安定していること、
(ハ) 79年より世銀・IMFの支援の下、構造調整、経済再建に積極的に取り組んでいること、
(ニ) 人口増加率の高さ、砂漠化防止等多くの開発課題を抱え、援助需要が大きいこと、
(ホ) 我が国との関係が良好であること、
(ヘ) 具体的な開発目標を掲げ、経済社会開発のための主体性(オーナーシップ)を発揮しているセネガルの開発政策は、DAC新開発戦略の趣旨にも合致し、セネガルにおいて新開発戦略の実施を重点的に支援しうる状況にあること、
等を踏まえ、援助を実施する。
なお、セネガルは我が国の二国間援助実績(99年までの支出純額累計)で第28位(アフリカ地域で第5位)の受け取り国であり、また、セネガルにとり我が国は第3位(98年)の援助国である。
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(2) 我が国の援助の重点分野
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我が国は、セネガルにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究並びに95年3月に派遣した経済協力総合調査団及びその後の政策協議等によるセネガル側との政策対話を踏まえ、以下の分野を援助の重点分野としている。
(イ) 基礎的生活基盤の改善
生活用水
セネガルでは安全な水へのアクセスが不足しているので、衛生状況の改善、女性の水汲み労働の軽減のため、地下水開発等による生活用水の確保を支援する。
教育
基礎教育の遅れが深刻なセネガルにおいて、ハード・ソフト両面から基礎教育の充実に向けて協力を実施する。
基礎的保健・医療
セネガルの人口増加率は非常に高い水準にあり、人口が増加し、特に農村部において医療サービスの整備が遅れているため、プライマリー・ヘルス・ケア、公衆衛生等の基礎的保健・医療体制の整備を支援する。
(ロ) 環境(砂漠化防止)
砂漠化の進行、土壌の劣化が深刻な問題となっていることから、苗木供給、植林運動等林業開発の観点を含めた環境保全分野での協力を実施する。
(ハ) 農水産業
国土の砂漠化、旱魃等の厳しい条件の下、輸出用換金作物のモノカルチャー型農業生産に特化しているため、穀物の対外依存度が非常に高くなっている。従って、食料作物の生産性向上のための食糧増産援助、潅漑施設整備等の協力を実施する。また、水産品が最大の輸出品目となっており、食料供給面においても重要であることから、零細漁業の振興等を支援する。
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(3) 留意点
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- 援助を効果的・効率的なものとし、構造調整の一層の推進、マクロ経済の安定、国民の生活水準の向上を図り、最終的に持続的な経済成長を達成するためには、援助依存からの脱却に向けたセネガル側の自助努力が不可欠である。
- フランス等の他の主要ドナーとの協調を図る。
- 重債務貧困国(HIPC)として債務削減の適用を求めており、本年6月、IMF・世銀理事会で債務削減措置の適用が決定された。
- 98年10月に東京にて行われた第2回 アフリカ開発会議(TICAD
)で採択された「東京行動計画」の推進に資する協力を実施する。
- 南部の武装独立運動の動向に留意する。
2.セネガル経済の現状と課題
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(1) 主要経済指標
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一人当たりGNP(98年)と
GDP成長率(90-98年平均)
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実質GDP成長率
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530ドル、3.0%
(世銀資料)
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93年▲2.2%、94年 2.9%、95年 5.2%、96年 5.1%、
97年 5.0%、98年 5.7%、99年 5.1%(IMF資料)
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(2) 現状
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79年以来世銀・IMFの支援を受けて経済構造調整、経済再建に取り組み、また94年1月のCFAフラン切り下げ(50%)を受け、インフレ抑制策、国営企業の民営化、緊縮財政等の構造調整計画に積極的に取り組んだ結果、マクロ経済は着実に改善しつつある。現在は、回復基調の経済を持続的経済成長につなげるべく、社会・経済インフラ整備に努めている。
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(3) 課題
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- 規制緩和等経済自由化の促進、公営企業の民営化促進、投資環境の整備
- 水供給、教育、保健・医療等の社会サービスの向上
- 人口の都市集中、貧富の格差、高い失業率
- 経済社会開発の基盤である人材育成
- 食料の安定供給に向けた農水産業の生産性向上、ポスト・ハーベスト(貯蔵、流通、加工)部門の整備
- 持続的な経済成長の基盤となる経済インフラの整備
- 土壌や森林の保全(砂漠化問題)など持続可能な開発のための環境保全
3.開発計画
- 第9次経済社会開発計画(1996年~2001年)
(課題)
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- 民間主導による発展
- 国家の関与及び財政環境の改善
- 教育制度の強化、人的資源開発の継続
- 地方の統合・開発強化
- 環境資源の健全な運営/li>
- 社会における相互理解の促進
4.援助実績
- (1) 我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)
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有償 |
無償 |
技協 |
合計 |
供与先順位 |
99年(暦年) |
-1 |
50 |
10 |
59 |
30位 |
99年(暦年)までの累計 |
81 |
545 |
128 |
754 |
28位 |
- (2) DAC諸国からの実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
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二国間総額 |
1位 |
2位 |
3位 |
289 |
フランス 142 |
ドイツ 35 |
日本 34 |
- (3) 国際機関のODA実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
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国際機関総額 |
1位 |
2位 |
3位 |
211 |
EC 96 |
IDA 74 |
AfDF 17 |
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