
.終わりに~日本が目指すべき将来の援助像~
◎ODAは、国際社会で日本という国と国民を映し出す鏡である。ODAの将来像を考える作業は、自ずから、これからの国際社会で日本がどのような国家・国民として生きていくべきかを考えることに結びつく。
◎日本のODAを囲む内外の与件に大きな変化があった。懇談会に与えられた基本課題は、「効果的なODA」を実現するための具体策の提言であり、ODA改革の方向を報告書に示した。
◎日本の立場、ODAが果たしてきた過去の実績を考えれば、ODAの「質の向上」に併せて「量の確保」においても可能な限りの努力を行うことを政府に切望する。
◎国際社会では、「人間中心の開発」が中心的な考えとなっている。経済インフラに加え社会セクターへの展開を従来より積極的に考慮する必要がある。
◎「効果的なODA」実現のための主要な柱として、国別援助計画の策定、ODA総合政策協議会の設置と現地体制及び実施機関の機能強化を掲げている。
◎「ODAの将来像」を描くためのキーワードは「連携」である。「開発途上国との連携」、「国民との連携」、「民間セクターとの連携」に加え「国際機関との連携」が不可欠の要素として加わる。
◎国際社会で、実際の援助供与に際して重視されるのは、ソフト面の能力である。ODA分野での優れた人材の育成に努め、政策立案能力も強化していかなければならない。
◎以上のODA改革を実現することにより、日本は資金力に加えて、「人格」「知力」「こころ」を兼ね備えたODAを推進することが可能となる。