



(2) 我が国は、ラオスにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及び98年3月に派遣した経済協力総合調査団等によるラオス側との政策対話を踏まえ、以下の分野を援助の重点分野としている。
ラオスではあらゆる分野において人材が不足しており、人造りが最重要課題である。市場経済化促進、行政強化、農業開発、インフラ整備等に資する人材育成を重視し、特に、





(ロ) BHN支援



(ハ) 農林業
農業はGDPの約6割、労働人口の約8割を占めるが、人口増等に伴い食料輸入が増える懸念もあり、依然食料自給の見通しは定かではない。具体的には、





(ニ) インフラ整備
水力発電は重要な外貨獲得源となっているが、今後、売電以外の産業育成に努めつつ、環境配慮、近隣国の電力需要等を見極めつつ慎重に対応していく。道路及び橋の整備については、国土の東西・南北の骨格となる幹線道路整備を当面の目標とし、その後維持管理面の強化を図る。
協力に当たっては、ラオスの援助吸収能力の現状に鑑み、他の援助国・国際機関との援助調整に配慮する必要がある。また上記の合意された個々の重要分野への支援継続と並び、ラオス側の開発計画の策定と実施の体制を支えるために、分野横断的な課題として政策支援型の技術協力(政策アドバイザーの派遣、開発計画策定・政策実施の能力向上、法的・制度的基礎強化の為の支援等)も常に念頭に置く必要がある。
また、ラオスは市場経済への移行方針の下に経済運営のノウハウ修得等につき我が国への協力を求めており、我が国としてもラオスのこのような姿勢を歓迎し、支援することとしている。
(4) また、我が国は、95年2月インドシナ総合開発フォーラム閣僚会議を開催するなど、ラオスを含むインドシナ地域の開発に積極的に取り組んでいる。97年6月には、我が国を含むドナー国・国際機関他が参加し、ジュネーヴで第6回ラオス円卓会議が開催され、地域アプローチや環境保護の重要性等について確認するとともに、経済改革と社会開発・環境への配慮を通じた持続可能な成長に関するコンセンサスが得られた。同時にラオス側より、開放政策の堅持や2000年までの社会・経済計画を通じた持続的成長を目指す旨表明され、これに対し、ドナーより2000年までの支援として合計約12億ドルが表明された。一方、99年3月にはラオス政府のマクロ経済政策措置が不十分との理由で、世銀による構造調整融資が中断されている。
(5) 我が国は、91年度以降継続してラオスに対するトップ・ドナーとしての地位を占めており、98年の実績では、対ラオス援助全体の30.4%、対ラオス二国間援助の51.7%を占めている。
有償資金協力では、第5回ラオス円卓会議での表明を受け、95年5月のカムタイ首相来日時に表明したアジア開発銀行(ADB)との協調融資による「ナム・ルック水力発電所建設計画」に対する円借款の供与(供与額約39億300万円)を96年10月に実施した。なお、98年12月には、「第二メコン国際架橋事業」(約40億円)の実施につき表明している(インドシナ中央部の東西を結ぶ国道9号線のラオス・タイ国境に設置)。
無償資金協力では、ラオスがLLDCであることから、農業、農村開発、医療等基礎生活分野における援助を行うとともに、国際機関等他のドナーとの協調を図りつつ運輸インフラ整備に対する援助も実施している。99年度は、運輸インフラ(道路・橋梁)、農村開発、保健医療など、幅広い協力を行った。また、市場経済化を担う人材育成のため、「国立大学施設・日本・ラオス人材協力センター建設計画」及び「人材育成奨学計画」を実施した。
技術協力については、人造り、産業基盤整備、農林業、保健医療分野を中心に実施しており、近年実績は拡大している。90年度からは、青年海外協力隊の派遣を再開しており、92年にはプロジェクト方式技術協力が再開された(公衆衛生プロジェクト)。また、「日・インドシナ友情計画」の下、95年度から毎年20名のラオス青年を5年間我が国に招聘している。2000年4月からは経済政策支援を実施しており、また法制度整備支援にも力を入れている。2000年度からは、ラオスの市場経済移行を支える人材の育成のため、「人材協力センター」への支援も行っている。開発調査はこれまでインフラ整備、農林業を中心に実施してきたが、今後は人造り、農業、産業基盤整備、BHNの4分野を中心に協力を進めていく方針である。
(6) WID(途上国の女性支援)の分野では、96年1月の「インドシナ地域WIDセミナー」を受けて、同年6月のラオス国別ワークショップ(ラオス女性連合、日本、ESCAP、UNDPの共催)において国別行動計画が採択された。また、98年12月には、UNDP・WID基金を活用してラオス女性連盟支援プロジェクトを実施し、同女性連盟の特に地方における活動を支援した。
なお、同連盟に対しては、95年度草の根無償資金協力により、同連盟の寄宿舎建設、広報ビデオ作成等を支援した実績がある。