(1) ドー大統領政権下での政権腐敗、国内対立等を主因として89年12月反乱軍の武装蜂起により始まった内戦が7年以上続いた。95年8月のアブジャ合意に基づき和平プロセスが徐々に進展し、内戦終結後の97年7月に、国連、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)等の国際監視団の下、和平プロセスを完遂させる大統領・副大統領選挙及び上院・下院選挙が実施された。この選挙により選出されたチャールズ・テイラー国民愛国党議長を大統領とする新政権が発足したが、93年に設立された国連リベリア監視団(UNOMIL)が97年9月に撤退し、今後は新政権の国家再建と政治的安定、復興と開発に向けた取組みが注目される。
(2) 外交面では、内戦以前は、非同盟中立の立場をとりつつ、米国をはじめとする西側諸国との関係を保つとともに、近隣アフリカ諸国との関係強化を図っていた。内戦終結後、新政権が発足すると、先進諸国はリベリアに対し、民主化支援、保健・医療等の分野での支援を実施する意向を示している。
(3) 経済面では、内戦以前は、天然ゴム、鉄鉱石、カカオ、木材等の一次産品の輸出を主たる柱としていたが、内戦で推定15万人の死亡者、220万人以上の難民が出たといわれ、GDP総額も89年の11億ドルから現在は2.5億ドルへと激減するなど、経済は著しく疲弊している。
(4) 我が国は、リベリアから船舶、金属原料等を輸入し(99年輸入額24万ドル)、同国に船舶、一般機械等を輸出している(同輸出額8億637万ドル)。船舶の輸出入額が大きいのは、同国が便宜置籍船制度をとっていることによる。
(5) 在リベリア日本大使館は、89年12月に発生した内戦の影響で90年5月に館員全員が国外退避して以来、一時的に閉鎖された状態が続いている。