[45]リベリア

1.概  説

(1) ドー大統領政権下での政権腐敗、国内対立等を主因として89年12月反乱軍の武装蜂起により始まった内戦が7年以上続いた。95年8月のアブジャ合意に基づき和平プロセスが徐々に進展し、内戦終結後の97年7月に、国連、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)等の国際監視団の下、和平プロセスを完遂させる大統領・副大統領選挙及び上院・下院選挙が実施された。この選挙により選出されたチャールズ・テイラー国民愛国党議長を大統領とする新政権が発足したが、93年に設立された国連リベリア監視団(UNOMIL)が97年9月に撤退し、今後は新政権の国家再建と政治的安定、復興と開発に向けた取組みが注目される。
(2) 外交面では、内戦以前は、非同盟中立の立場をとりつつ、米国をはじめとする西側諸国との関係を保つとともに、近隣アフリカ諸国との関係強化を図っていた。内戦終結後、新政権が発足すると、先進諸国はリベリアに対し、民主化支援、保健・医療等の分野での支援を実施する意向を示している。
(3) 経済面では、内戦以前は、天然ゴム、鉄鉱石、カカオ、木材等の一次産品の輸出を主たる柱としていたが、内戦で推定15万人の死亡者、220万人以上の難民が出たといわれ、GDP総額も89年の11億ドルから現在は2.5億ドルへと激減するなど、経済は著しく疲弊している。
(4) 我が国は、リベリアから船舶、金属原料等を輸入し(99年輸入額24万ドル)、同国に船舶、一般機械等を輸出している(同輸出額8億637万ドル)。船舶の輸出入額が大きいのは、同国が便宜置籍船制度をとっていることによる。
(5) 在リベリア日本大使館は、89年12月に発生した内戦の影響で90年5月に館員全員が国外退避して以来、一時的に閉鎖された状態が続いている。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

 我が国は、従来、食糧増産援助、保健・医療及び電力分野等を中心とする無償資金協力、また、研修員受入及び青年海外協力隊派遣等を中心とする技術協力により援助を実施してきた。しかし、90年5月以降は、内戦の激化に伴い、二国間援助は事実上停止している。90年度から緊急人道援助として、WFP、UNHCR、ICRC等国際機関経由による国内被災民向け食糧援助・難民援助等を実施している。99年3月にはUNHCRに対して難民の帰還及び帰還民の再定住・再統合の支援のため134万ドルを拠出した。また、97年7月の総選挙実施の際には国連リベリア信託基金に対して約80万ドルの財政支援を行っている。今後の援助実施については、同国の復興・再建に資する支援につき、国内情勢の安定化、民主化等の動きを注視しつつ検討していく必要がある。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
国際機関、ODA NET
(3) 年度別・形態別実績
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