地球環境ファシリティー(GEF:Global Environment Facility)の概要と実績
- 設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的
(1) 開始時期
1991年5月発足(パイロットフェーズ)。我が国は発足時より参加している。(1) 経緯・目的
1989年のアルシュ・サミットを受け、途上国の地球環境問題への取り組みを支援するファシリティーの設立が検討され、91年5月、94年までのパイロットフェーズとして設立された。その後、パイロットフェーズの経験を踏まえた改組・増資の議論が行われ、94年3月、基本的枠組み及び向こう4年間の資金規模が合意された(GEF1)。さらに、98年3月には、98年7月から4年間の活動のための増資交渉が合意された(GEF2)。
開発途上国が地球環境の保全・改善に取り組むために負担する費用を賄うため、原則として無償資金を供給することを目的としており、99年6月末現在で166か国が参加(出資国・受入国合計)。
- 事業の仕組み
(1) 概要
世銀、UNDP、UNEPの3実施機関により共同運営されており、世銀に信託基金を設置している。GEFの対象分野は、(1)地球温暖化の防止(太陽熱等のクリーンエネルギーの利用等)(2)生物多様性の保護(動物保護区の設定等)(3)国際水域汚染の防止(汚染水処理施設等)(4)オゾン層の保護(家電製品からのフロン回収等)等である。(2) 審査決定のプロセス
世銀、UNDP、UNEPの3実施機関が資金受入国と協議の上、プロジェクトを策定し、GEF評議会において審査、決定がなされる。(3) 決定後の案件実施の仕組み
世銀、UNDP、UNEPの3実施機関が事業を実施している。
- 最近の活動内容
(1) 概要
設立以来、地球温暖化防止、生物多様性保護、国際水域汚染防止、オゾン層保護の4対象分野に取り組んできている。特に、地球温暖化防止及び生物多様性保護に関しては、それぞれ気候変動枠組条約及び生物多様性条約の暫定的資金メカニズムとしてGEFが指定されている。(2) 地域別実績
1999年における地域別実績(プロジェクト数)は下表の通り。
生物
多様性気候
変動国際水
域汚染オゾン層 複数
分野合計 アフリカ 23 9 3 0 0 35 アジア 17 15 1 0 0 33 欧・中央アジア 2 7 2 10 0 21 ラテンアメリカ・カリブ 16 5 2 0 0 23 中東・北アフリカ 4 2 4 0 0 10 地域規模 5 7 0 0 1 13 合 計 67 45 12 10 1 135 (3) 主要な事業
分野別の実績は下表のとおり。
99年6月末現在注・パイロットフェーズからの通算
金額(百万ドル) シェア(%) 地球温暖化防止 960 39 生物多様性保護 884 36 国際水域汚染防止 350 14 オゾン層保護 148 6 複数分野 101 5 合 計 2,443 100 主なプロジェクトの例は以下の通り(いずれも99年12月承認プロジェクト)。
○ 中国・第2次北京環境プロジェクト(気候変動分野、総費用437百万ドル、うちGEF25百万ドル) ○ メキシコ・ハイドロソーラーサーマル発電プロジェクト気候変動分野、総費用437百万ドル、うちGEF49百万ドル) ○ コスタリカ・エコマーケット・プロジェクト(生物多様性分野、総費用60百万ドル、うちGEF8百万ドル)
- 我が国との関係
(1) 意思決定機構における我が国の位置づけ
評議会を構成する32議席の内の1つである。(2) 邦人職員
事務局職員40名中、邦人職員は1名。(2000年1月末現在)。(3) 財政負担
我が国は、米国に次ぐ拠出負担国であり、GEF1では20.5%のシェアである414.6百万ドルを拠出し、GEF2では20.0%のシェアである412.6百万ドルの拠出をコミットしている。(4) 主な使途を明示した特定信託基金への拠出、活用状況
無し。(5) 我が国ODAとの協調実績
タイ発電公社の電力消費効率促進事業について、旧・OECF(現・国際協力銀行)と協調した。
- より詳細な情報
(1) 書籍等
年次報告をはじめ各種情報は、GEFのHP(次欄参照)よりダウンロード可能。(2) ホームページ
http://www.gefweb.org/
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