(財)海外漁業協力財団(海外漁業協力事業)の概要と実績
- 経緯及び目的
第3次国連海洋法会議を契機とした沿岸国による200海里水域の設定及び外国漁船の締め出しの動きを踏まえ、我が国漁船の海外漁場の確保を図るためには、これら関係沿岸国からの多様な漁業協力要請に迅速に応えていくことが必要不可欠となった。このため、昭和48年6月、海外漁場の確保と海外漁業協力とを一体的に推進する目的で設立された。
- 事業の仕組み
(1) 概要
海外漁業協力財団は、技術協力事業と貸付事業を有機的に連携させ、関係沿岸国の漁業開発振興に協力するとともに、我が国の海外漁場確保にも資するとの基本方針の下に事業を実施している。具体的には、入漁協定を締結している等我が国と漁業関係が深い沿岸国を対象に、これら諸国からの協力要請に基づく、漁業技術の習得等のための研修生の受入れ、漁業分野の専門家の派遣及び水産資源回復のための増養殖、水産関連施設の修理・修復、沿岸漁業開発、水産流通網の整備・魚食普及等の各種プロジェクト方式技術協力を、迅速かつきめ細かに実施している。また、我が国漁業者が行う海外漁業合弁等協力事業を促進・支援するために、貸付事業を行っている。(2) 審査・決定プロセス
技術協力事業については、関係沿岸国からの要請に基づき、十分な事前調査と関係漁業団体、監督官庁との協議を行い、当該関係沿岸国の漁業振興及び我が国漁船の海外漁場確保との関連で効果的かつ妥当と認められる案件を選定、決定している。
貸付事業については、海外漁業協力事業を行う本邦邦人等からの資金の借入れ申込みを受け、海外漁業協力財団規程等の定めるところに従って審査を行い、決定している。(3) 決定後の案件実施の仕組み
技術協力事業については、関係沿岸国政府との協議のうえ当該国政府との間で締結する覚書及び実施計画書に基づき、速やかに実施している。
貸付事業については、貸付の決定後、貸付けの相手方より約定書等、貸付の実行に必要な書類を徴求するとともに、債権の保全のために必要な措置を講じ、海外漁業協力事業資金の実需に応じて貸付金の交付を行っている。
- 最近の活動内容
(1) 概要
技術協力事業においては、平成10年度は、研修生受入が125人、専門家派遣が47人、プロジェクトが24件であり、平成11年度は、研修生受入が104人、専門家派遣が34人、プロジェクトが22件であった。
貸付事業においては、平成10年度は、ミクロネシア、マダガスカル、インドネシア、スリナム、アルゼンチン、フォークランド諸島における我が国と合弁事業を行っている現地法人の漁船の購入等の設備資金及び沿岸漁業等の開発振興に必要な資金等について6か国・地域、13件を実施し、平成11年度は、アルゼンチン、ペルー、フォークランド諸島における沿岸漁業等の開発振興に必要な資金について3か国・地域、7件を実施した。(2) 地域別実績
平成10年度は、研修生受入はアジア地域が70人、次いで中南米地域が23人となっている。専門家派遣は、アジア地域が20人、次いでアフリカ地域が15人である。プロジェクトは、大洋州が13件、次いでアフリカ地域が7件となっている。
平成11年度は、研修生受入はアジア地域が62人、次いで中南米地域が18人となっている。専門家派遣は、アジア地域が16人、次いでアフリカ地域が8人である。プロジェクトは、大洋州が11件、次いでアフリカ地域が7件となっている。
(海外研修生受入事業)
地 域 平成10年 平成11年 受入人数(人) 受入人数(人) アジア 70 62 アフリカ 17 10 中南米 23 18 大洋州 15 14 計 125 104
(専門家派遣)
地 域 平成10年度 平成11年度 受入人数(人) 金額(億円) 受入人数(人) 金額(億円) アジア 20 0.34 16 0.31 アフリカ 15 0.65 8 0.48 中南米 4 0.16 5 0.23 大洋州 8 0.42 5 0.34 計 47 1.57 34 1.36
(プロジェクト方式の技術協力)
地 域 平成10年度 平成11年度 件数 金額(億円) 件数 金額(億円) アジア 2 1.3 2 1.24 アフリカ 7 6.2 7 5.20 中南米 2 1.1 2 1.35 大洋州 13 4.4 11 4.70 計 24 13.0 22 12.49 (3) 主要な事業
平成10年11月、我が国とタンザニア共和国との間で遠洋まぐろ延縄漁船の入漁に関する民間協定が締結されたことを契機として、同国政府の漁業訓練センター所属訓練船及び冷蔵・製氷装置の修理・修復並びに関連技術の移転等技術協力を実施することにより、良好な漁業協力関係が構築されている
また、インドネシアにおいて実施している漁業訓練に関する協力では、平成10年度及び平成11年度で、316人の同国の青年をマグロ延縄漁船の乗組員として養成した。これら訓練修了生の概ね9割は、現地マグロ延縄漁船に乗船し同国のマグロ漁業振興の担い手として活躍している。また、高齢化等により漁船員が不足している我が国遠洋マグロ延縄漁船へも乗船している。
さらに、太平洋関係島嶼国6か国(キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、パラオ、ツバル)においては、専門家がこれら関係島嶼国を巡回し、水産関連施設の修理・修復を行いながら当該施設のメンテナンスに係る技術移転を図る協力を実施しており、小規模ではあるが、小回りの利く、相手国のニーズに迅速に対応した技術協力で、当該関係島嶼国から高い評価を得ている。
- より詳細な情報
(1) ホームページ
http://www.ofcf.or.jp
BACK / FORWARD / 目次 |