緊急無償の概要と実績
- 事業の開始の時期・経緯・目的
(1) 開始時期
昭和48年度、「災害緊急援助」として創設。その後、平成7年度に「民主化支援」、更に平成8年度に「復興開発支援」を加え、現在に至っている。(2) 経緯・目的
(イ) 災害緊急援助
海外における自然災害及び内戦等の人為的災害の被災者を救済する目的で昭和48年度より開始。(ロ) 民主化支援
世界各地で非民主的体制が崩壊し、或いは長期に渡る内戦等が終息し、新たな選挙により真に民意を代表する政府を構成しようとする動きが近年強まっていることを背景に、平成7年度より開始。(ハ) 復興開発支援
和平成立前の難民及び被災民救済等の緊急・人道的支援と和平成立後一定期間を経てから行われる開発援助との間をつなぐ期間において行われ、かつて紛争当事者であった国或いは地域での復興・再建プロセスをスムーズに移行させるための支援として、平成8年度より開始。
- 事業の仕組み
(1) 審査・決定プロセス
相手国政府或いは国際機関からの要請に対し援助実施の必要があると判断される場合には、我が国の現地大使館からの情報などを踏まえ、援助額及び具体的な実施内容を決定する。(2) 決定後の案件実施の仕組み
案件の実施が決定すると、外務大臣は閣議にて緊急援助を実施する旨の発言を行う。我が国の在外公館は、この閣議発言後速やかに相手国或いは国際機関との間で援助に関する口上書を交換し、資金供与を行う。
緊急性を要するこの援助の特殊性から、他の無償資金協力と比較して、資金供与がなされるまでの手続きが簡素化されていることが特徴として挙げられる。
- 最近の活動内容
(1) 活動の概要
平成10年度は、件数51件(災害緊急援助38件、民主化支援8件、復興開発支援5件)、援助総額約208億円の緊急無償援助を実施し、件数、金額ともに過去最高となった(うち約110億円は第1次補正予算に計上)。(2) 分野別実績及び内容
(イ) 災害緊急援助
平成10年度は中国の洪水災害、中米諸国のハリケーン災害等の自然災害や旧ユーゴースラヴィア難民等への支援を行ったほか、インドネシアの未曾有の経済困難に鑑み、政府米貸付に伴う海上輸送費等の支援を行った結果、災害緊急援助は過去最高の約133億円の実施となった。(ロ) 民主化支援
インドネシア総選挙への支援など、平成10年度においては約43億円の援助を実施し、民主化支援実施額は過去最高を記録した。(ハ) 復興開発支援
平成10年度は、中東和平プロセスを支援するためのパレスチナへの援助をはじめ、約33億円の復興開発支援を実施した。
(分野別実績の推移)
(単位:億円)
平成7年度 平成8年度 平成9年度 平成10年度 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 災害緊急援助 19 102.06 24 61.17 25 102.71 38 132.69 民主化支援 7 2.59 5 3.01 5 5.60 8 42.74 復興開発支援 0 0.00 7 37.98 3 18.73 5 32.53 合計 26 104.65 36 102.15 33 127.04 51 207.96
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