中小企業海外投資協力資金融資事業の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的

    1970年代に入り、我が国経済の国際化が一層進展する中で、我が国中小企業の発展途上国・地域に対する投資意欲も急速な高まりを見せたが、中小企業の海外投資の実施には種々の障害を伴うものであった。(財)海外貿易開発協会では、経済協力の観点からこれらの障害を軽減し、発展途上国・地域における産業の育成や国際競争力の強化に役立つ中小企業の投資の円滑化を図るため、海外投資に必要な資金について無利子融資(手数料0.75%、期間20年)を行う中小企業海外投資協力資金の制度を1973年にスタートさせ、現在に至っている。
    本事業の実施に当たっては、①発展途上国・地域の政府又は公的機関から歓迎・奨励されている事業であり、②投資受入国・地域の雇用機会の増大、原材料の活用、輸出の振興等、経済社会の発展に寄与するものであること、さらには、③事業の実施によって、環境の保全に支障を生じないこと、④我が国との貿易の振興等により経済交流の円滑化に資すること、等を融資の資格要件としている。
    また、融資条件は1984年に有利子となり、その後も金融情勢の変化に対応して変遷はあったものの、経済協カへの貢献と我が国中小企業の国際化の促進という目的を踏まえ、長期・低利の特色を維持しつつ現在に至っている。
    1998年4月現在、金利は年1.4%(=長期プライムレート―1.2%、銀行保証付の場合)、融資期間は据置期間3年を含む最高20年、融資限度は日本側投資額(出資及び貸付)の2/3以内(後発発展途上国向け案件の場合4/5以内)、等となっている。

  2. 最近の活動内容

    1996~97年度の2年間における本制度による融資承認案件は7件で、業種は①金属鋳造用模型製造、②焼酎製造、③陶磁器製造、④コネクタ製造、⑤情報通信機器部品製造、⑥粘着剤製造、⑦プリントネーム用テープ製造、投資先国は中国(3件)、タイ、フィリピン、韓国、ラオス、となっており、融資承認額累計は3億7,430万円となっている。このうち、実際に投資に至った5件のプロジェクトに対して、合計1億9,430万円の融資が実行された。


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