タンザニア(国別援助方針)


  1. 基本方針

    (1)我が国の援助対象国としての位置付け

    (イ)タンザニアが東部・南部アフリカ諸国の指導的国家として積極的に活動していること、
    (ロ)86年以降、金融部門改革、公社・公団改革等の構造調整・市場指向型経済政策を着実に推進していること、
    (ハ)92年5月に複数政党制を導入し、95年10月に大統領・国会議員選挙を実施するなど民主化を推進していること、
    (ニ)我が国との関係が極めて良好であること、
    (ホ)具体的な開発目標を掲げ、経済社会開発のためのオーナーシップを発揮しているタンザニアの開発政策は、DAC新開発戦略の趣旨にも合致し、タンザニアにおいて新開発戦略の実施を重点的に支援していく状況にあること、
    (ヘ)一人当たりGNPが170ドルと最低水準にあり、援助需要が大きいこと、

    等を踏まえ、援助を実施する。
     なお、タンザニアは我が国の二国間援助実績(97年までの支出純額累計)で第20位(アフリカ地域で第2位)の受け取り国であり、また、タンザニアに対する援助国として日本は第1位(96年)である。

    (2)我が国の援助の重点分野

     我が国は、タンザニアにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及び97年2~3月に派遣した経済協力総合調査団等におけるタンザニア側との政策対話を踏まえ、以下の分野を援助の重点分野としている。

    (イ)農業・零細企業の振興のための支援

     タンザニア経済において圧倒的な地位を占めている農業・零細産業を振興するため、食糧増産のための肥料等の供与、灌漑施設の整備、農業技術の普及、零細企業振興のための適正技術の開発・普及等の協力を実施する。

    (ロ)基礎教育支援

     基礎教育就学率が低下傾向にあるため、教育環境の整備、理数科教師の派遣等による教育の質の向上により就学率の回復努力を支援する。

    (ハ)人口・エイズ及び子供の健康問題への対応並びにその一環としての基礎的保健医療サービス向上

     タンザニアの社会に深刻な影響を与えている人口・エイズ問題や基礎的保健医療サービスの供給により大きく改善される子供の健康問題等への対応として、基礎的保健医療分野での各種協力を実施する。

    (ニ)都市部等における基礎インフラ整備等による生活環境改善

     全国的に基礎インフラが不足しており、特に近年都市部においては、急速な人口増加に伴い、基礎インフラの不足等による生活環境の悪化が見られる。インフラの整備は、生活環境改善のみならず産業基盤整備という観点からも重要な課題であり、運輸、通信、電力、上水道の整備等への協力を実施する。

    (ホ)森林保全

     森林喪失が急速に進んでいるタンザニアにおいて、持続可能な経済開発を達成するために、森林保全に関し協力を実施する。

    (3)留意点

    • 新規円借款の供与については、パリ・クラブにおける債務削減措置(ナポリ・スキーム)が適用されているため現在のところ困難である。
    • ローカルコスト負担能力及び実施体制の強化等援助吸収能力の向上を含め、タンザニア側の一層の自助努力が必要である。

  2. タンザニア経済の現状と課題

    (1)主要経済指標

    一人当たりGNP (96年)と同成長率
    (90-96年平均)
    実質GDP成長率
    170ドル、▲0.2%
    (世銀資料)
    91年5.7%、92年3.5%、93年3.7%、94年3.0%、95年3.5%、96年4.7%
    (タンザニア中央統計局資料)

    (2)現状

     86年に構造調整計画を開始し、GDP成長率、財政収支赤字のGDPに占める比率の低下等マクロ経済指標に一定の改善が見られているものの、構造調整に伴う失業問題の社会問題化等の課題を抱えている。

    (3)課題

    • 国家財政の援助依存体質からの脱却
    • 累積債務の削減
    • 民間部門の活性化のための投資環境の整備、基礎インフラの整備
    • 基幹産業である農業の生産性向上、食糧自給率の向上
    • 経済社会開発の基盤である人材育成
    • 基礎的保健医療等社会サービスの向上
    • 持続可能な開発達成のための環境配慮

  3. 開発計画

    ローリング・プラン(1996年~1998年)

    (目標)

    • 年平均6%のGDP成長率
    • インフレ率5%以下
    • 財政収支黒字のGDP25%達成
    • 経常収支のGDP比10.4%への縮小
    • 金融の安定化と強化
    • 国営企業の民営化の継続

    長期開発計画「ヴィジョン2025」を現在策定中である。

  4. 援助実績

    (1)我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)

    有償無償技協合計供与先順位
    97年(暦年)-1137295524位
    97年(暦年)までの累計1267352881,14920位

    (2)DAC諸国からの実績(支出純額、96年(暦年)、単位:百万ドル)

    二国間総額1位2位3位
    605日本 106デンマーク 91オランダ 75
    (3)国際機関のODA実績(支出純額、96年(暦年)、単位:百万ドル)

    国際機関総額1位2位3位
    291IDA 121AfDF 54CEC 44
CEC:Commission of the European Communities(EC委員会)

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