(4)現地機能の強化
開発途上国政府との政策の協議を強化するため、原則としてすべてのODA対象国について、在外公館(海外の大使館・総領事館)やJICAの現地事務所などで構成される「現地ODAタスクフォース」を設置しています(注1)。タスクフォースは、開発途上国の援助需要を把握した上で、国別援助方針や事業展開計画などのODA政策を決めるプロセスにも参加します。また、開発途上国政府との政策に関する協議を行います。さらに、他の援助国や国際機関と連携しながら、援助手法の面での連携や見直しに関する提言を行い、援助対象となる候補案件の検討・選定などを行っています。
また、貧困削減戦略文書(PRSP)*の策定や見直しの動きなどに合わせて、開発途上国における援助協調*が各地で本格化している状況に対応し、日本は2006年度から一部の在外公館に経済協力調整員を配置し、援助協調にかかわる情報の収集・調査を行っているほか、他国に対し、日本の政策に関する情報を発信したり、提言を現場にて行う体制をとっています。
用語解説
- *貧困削減戦略文書(PRSP:Poverty Reduction Strategy Paper)
- 世界銀行・国際通貨基金(IMF)により、1999年に導入された、重債務貧困国(巨額の借金を抱えている貧困国)が、債務削減を受けるための条件となる文書。債務削減によって返済せずに済んだ資金を、貧困削減の対応策に支出するために、教育、保健、食料保障などの分野で、3か年ごとに目標を設定する経済社会開発のための実行計画書。文書は途上国政府のオーナーシップ(主体的取組)の下、援助国やNGO、研究機関、民間部門の代表などの意見も取り入れて作成される。
- *援助協調
- 援助の効果を増大させるために、複数の援助国(ドナー)が情報共有を行い、援助の戦略策定やプロジェクト計画・実施などにおいて協力を行うこと。従来の援助協調は、案件ごとのドナー間の連携・調整に重点が置かれていたが、近年は、被援助国の開発政策に沿って、ドナーが共通の戦略や手続きで支援を行う総合的な援助協調が、サブサハラ・アフリカを中心に、世界各国で進められるようになっている。
注1 : JICAが本部で所管する一部の国を除く