日本を取り巻く国際環境は日々大きく変化しています。その中で、最も重要な外交手段としての政府開発援助(ODA)の役割はこれまで以上に大きなものとなっています。日本は以下に掲げる三つの柱に沿ってODAの戦略的、効果的活用を進めていきます。
第一に、我が国は、自由で豊かで安定した国際社会を実現するために、自由や民主主義などの普遍的価値や戦略的利益を共有する国を支援するとともに、民主化や国民和解に向け努力する国をODAを通じて後押ししていきます。
第二に、途上国の成長を達成するためには、人間の生命と尊厳を守り、一人ひとりの能力の開花を国と社会の発展に結びつける「人間の安全保障」の考え方が欠かせません。2012年9月に我が国のイニシアティブにより採択された国連総会決議も踏まえ、日本は、この理念を引き続き柱に据えてODAを実施していきます。そして、国際社会における日本の存在感と日本への信頼を揺るぎないものにしたいと考えます。
第三に、ODAを通じ、日本の持つ世界最先端のインフラシステムの輸出を後押しするとともに、優れた技術を持つ中小企業をはじめとした日本の民間企業や地方自治体の国際展開を積極的に支援することで日本経済の再生に貢献していきます。途上国と日本が共に成長する国際協力をODAの基本理念として改めて明確にする考えです。
また、途上国が抱える様々な課題に効果的に対処するためには、中央政府だけでなく、地方自治体、NGO、中小企業を含む民間企業、個人など多様な担い手が力を結集することが大切です。それぞれの比較優位を活かして、知識や経験、技術、資金を持ち寄ることにより、日本の強みを最大限に発揮できると考えます。オールジャパンとして国民全体で手を携え支えていく途上国支援を進めていきます。
東日本大震災により、日本人誰もが改めて防災の重要性を深く認識しました。数多くの自然災害を克服してきた経験を生かし、我が国の教訓を世界と共有していく必要があります。防災を国際協力の重要な柱とし、災害に負けない強靱な社会をつくるため、日本が先頭に立って主導していきます。
日本には、様々な困難をくぐり抜けてきた過程で会得した知恵と経験があります。また、優れた技術も持っています。その総力を結集することで、世界に対し、日本にしかできない貢献を行うことが可能となります。それを実現するために、日本の国益に適うODAの戦略的、効果的活用に取り組んでいきます。
2013年3月