(5)不発弾および対人地雷・小型武器等

かつて紛争中であった地域には、複数の小型の爆弾を内蔵し、それらをまき散らす爆弾であるクラスター弾などの不発弾や対人地雷が未だに残っており、非合法な小型武器が広く使われています。これらは子どもを含む一般市民にも無差別に被害を与え、復興と開発活動を妨げるだけでなく、新たな紛争の原因にもなります。不発弾・地雷の除去や非合法小型武器の回収・廃棄への支援、地雷被害者の能力強化など、国内を安定させ、治安を確保することに配慮した支援が重要です。

< 日本の取組 >

日本は、「クラスター弾に関する条約」および「対人地雷禁止条約」の締約国として、両条約の普遍化(なるべく多くの国が条約を締結するように働きかけること)を積極的に推進しています。また、両条約で規定されている、除去、被害者支援、リスク低減教育等にまたがる国際的な協力や援助も着実に実行しています。

たとえば、不発弾の被害が特に大きいラオスに対しては、2011年に不発弾対策に特化したプロジェクトが形成され、(1)不発弾専門家の派遣、(2)機材供与、(3)南南協力の3つの柱から成る協力が行われています。このうち、南南協力については、日本が1990年以来カンボジアに対して行ってきた地雷処理支援の経験を広める観点から、カンボジアとラオスとの間で、不発弾処理支援に関するワークショップが数回行われ、3年間にわたり技術・訓練・国家基準策定・犠牲者支援等に関する両国の知識・経験を互いに共有するための協力が行われています。

また、日本は無償資金協力を通じた二国間の協力だけでなく、アフガニスタン、スーダン、ソマリア、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国などに対して、国連PKO局地雷対策サービス部(UNMAS)を通じた地雷・不発弾対策支援(除去・危険回避教育等)も行っています。

小型武器対策としては、開発支援を組み合わせた小型武器の回収、廃棄、適切な貯蔵管理などへの支援を行っています。また、武器の輸出入管理や取締り能力の強化、治安の向上などを目指して関連する法制度の整備や、税関や警察など法執行機関の能力を向上する支援、元兵士や元少年兵の武装・動員解除・社会復帰事業支援等も実施しています。

アンゴラでのJICA地雷除去専門家によるメンテナンス指導(写真:大町佳代/JICAアンゴラフィールドオフィス)

アンゴラでのJICA地雷除去専門家によるメンテナンス指導(写真:大町佳代/JICAアンゴラフィールドオフィス)

●モザンビーク

「マニカ州人道的地雷除去計画III」
草の根・人間の安全保障無償資金協力(2011年3月〜実施中)

モザンビークでは、1975年の独立から92年の内戦終結に至るまで、推定100万個の地雷が埋められたといわれていて、内戦終結後の同国の経済社会発展の大きな妨げとなってきました。モザンビーク政府は「国家地雷除去行動計画」を策定し、オタワ条約※(地雷問題・対人地雷禁止条約)履行期限の2014年3月までに全国の地雷除去を完了させる計画を立てています。

こうしたモザンビーク政府の取組を支援するため、日本は草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて、モザンビーク国内で最大規模の地雷原があるマニカ州において、対人地雷除去および不発弾処理を実施してきました。第1期(2008年)、第2期(2009年)の支援により、マニカ州の4郡で地雷除去が行われ、約15万人が暮らす土地が安全になりました。

今回の第3期の支援により、さらに地雷原近隣住民推定9,500人に安全な生活環境が整備され、地雷原を通行・使用する約28,800人の生活向上につながります。(2012年12月時点)

※ オタワ条約:対人地雷の使用・貯蔵・生産・移譲を原則使用禁止し、締約国に貯蔵・埋設地雷の廃棄・除去を義務付けている

地雷除去作業の様子(写真:国家地雷除去院(IND))

地雷除去作業の様子(写真:国家地雷除去院(IND))


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