(4)スーダン・南スーダン

20年以上続いた南北内戦の後、2011年7月、南スーダンはスーダンから分離・独立しました。スーダンおよび南スーダンは、両国間の諸課題について、南スーダン独立前からアフリカ連合(AU)の仲介による交渉を行ってきました。2012年9月、両国政府は、両国国境付近の治安措置や石油などの課題に関しては合意しましたが、両国が共に自国領土であると主張しているアビエ地域の帰属や係争地の問題等については、未だ合意には至っていません。2012年10月現在、スーダンおよび南スーダン両国は、平和的な共存を目指しなおも協議を継続しています。

< 日本の取組 >

日本の対アフリカ外交にとって、平和構築は重要課題の一つです。中でも、南北スーダンの安定はアフリカ全体の安定に直結することから、両国はアフリカにおける平和構築の重点国の一つとして位置付けられています。このような認識の下、日本は、2005年以降スーダンおよび南スーダン両国に対し7億3,000万ドル以上の支援を実施しています。今後、元兵士の武装解除、動員解除および社会復帰(DDR)の支援といった平和の定着に関する支援を継続するとともに、平和の定着を両国の国民が実感し、再び内戦に逆戻りすることがないよう基礎生活分野等に対する支援を行います。具体的には、スーダンに対しては、紛争被災地域を中心に、人間の基本的ニーズ(BHN)の充足の確保および食料生産基盤の整備を重視した支援を行っています。南スーダンに対しては、上述に加え、インフラ整備やガバナンス(統治)分野を重視した支援を行っています。

また、現在、南スーダンにおいて、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣されている自衛隊施設部隊が活動中ですが、南スーダンの安定と国づくりに日本が一体的に取り組むため、同部隊の行う活動との連携した案件形成を推進しているところです。

●南スーダン

「ジュバ市道路橋梁整備計画」
無償資金協力(2009年11月~2012年2月)

南スーダンは、2011年7月にスーダンから分離独立した世界で最も新しい独立国家です。南スーダンが独立する前のスーダンでは、植民地統治時代の分断政策および北部政府による南部支配などにより、南北間に大きな経済的・社会的格差が存在してきました。また、2005年1月に内戦の終結を迎えたものの、20年にわたる内戦は、経済状況の悪化を招き、住民の基礎生活環境に大きな影響を及ぼしました。

独立後、南スーダンの首都ジュバ市は急速に発展しており、人口の急激な増加等に伴い、内戦により荒廃もしくは老朽化した都市インフラを早急に整備する必要性が高まっています。特に道路の状況が劣悪であり、雨季には多くの道路が通行不能になります。また、市内の主要道路に架かる橋梁(きょうりょう)についても、損傷、老朽化が著しく、いつ通行不能になってもおかしくない状態の橋梁が多く存在しています。これらの状況を踏まえて、日本は無償資金協力により、ジュバ市内において特に重要と考えられる主要幹線道路沿いの6橋梁の架け替え、もしくは新設に対する支援を行いました。これにより、年間平均40日間に及ぶ車両通行止めが解消され、市内物流の円滑化および、これに伴う同市の社会・経済活動の活性化に貢献しています。

現地労働者と共に作業することにより、技術移転を図る日本人技術者(写真:JICS)

現地労働者と共に作業することにより、技術移転を図る日本人技術者(写真:JICS)


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