(5)クラスター爆弾を含む不発弾および対人地雷・小型武器等
かつて紛争中であった地域には、複数の小型の爆弾を内蔵し、それらをまき散らす爆弾であるクラスター弾などの不発弾や対人地雷がいまだに残っており、非合法な小型武器が広く使われています。これらは子どもを含む一般市民にも無差別に被害を与え、復興と開発活動を妨げるだけでなく、新たな紛争の原因になります。不発弾・地雷の除去や非合法小型武器の回収・廃棄への支援、地雷被害者の能力強化など、国内を安定させ、治安を確保することに配慮を払った支援が重要です。
< 日本の取組 >
クラスター弾については、2010年8月1日に「クラスター弾に関する条約」が発効し、日本を含む66か国が締約国(署名国は108か国)となっています(2011年11月時点)。日本は、この条約の推進に積極的に貢献しています。たとえば、2010年11月にラオスで開催されたこの条約の第1回締約国会議においては、日本は、副議長を務めるとともに、条約が広く行き渡るよう推進する議長フレンド(議長を補佐する役)を務めました。また、条約で規定されている国際的な協力や援助も着実に実行しています。
対人地雷については、日本は対人地雷禁止条約(オタワ条約)に、すべての国が広く同意するよう、地雷対策と技術開発の支援に取り組んできました。2009年のオタワ条約の第2回検討会議以降は、今後の支援の方向として、<1>被害国(者)とのパートナーシップの重視、<2>産(産業界)・官(公的機関)・学(教育機関)・民(民間機関)一体の地雷問題への取組、<3>地雷対策と被害地域の開発の広範囲での取組方法を表明してきています。
小型武器対策としては、開発支援を組み合わせた小型武器の回収、廃棄、適切な貯蔵管理などへの支援を行っています。また、武器の輸出入管理や取締り能力の強化、治安の向上などを目指して関連する法制度の整備や税関や警察など法執行機関の能力を向上する支援、元兵士や元少年兵の武装解除・社会復帰事業支援等も実施しています。
カンボジア「CMAC機能強化プロジェクト」カンボジア地雷対策センター(CMAC)事務所に展示されている掘り出された地雷(写真提供:ステファン ジャニン/JICA )
●スリランカ
「キリノッチ県における手動式地雷除去活動計画」
草の根・人間の安全保障無償資金協力(2010年11月~実施中)
2009年5月に約26年間に及ぶ国内紛争が終結したスリランカでは、主戦場となった北部州を中心に多くの地雷や不発弾が残されており、たくさんの人々が故郷の地を踏めないまま避難生活を続けてきました。日本はスリランカの地雷除去のために、これまでに草の根・人間の安全保障無償資金協力を通して総額2,000万ドルを超える協力を行っており、2010年には、地雷が特に多く残るキリノッチ県で地雷除去活動を行う現地NGOを支援しました。この活動により約4,000人が自分の村に戻り、農業等の生計活動を再開できる見込みです。また、この地雷除去活動は、失業率の高い旧紛争地域で雇用を生み出しているほか、少数派タミル人と多数派シンハラ人が一緒になって地雷除去に取り組むことで、民族和解にも大きく貢献しています。
手動式による地雷除去作業(写真提供:DASHデルボン社会調和支援)