第1章 実績から見た日本の政府開発援助
2010年、日本の政府開発援助(ODA)の支出純額は110億2,098万ドルで世界第5位、支出総額は188億2,818万ドルで世界第2位の実績でした。
セネガルで住民の栄養改善のために空心菜を提案する栄養士と村落開発普及員の青年海外協力隊(写真提供:廣部えりな)
2010年の日本の政府開発援助(ODA)実績は、支出純額で二国間ODAが約73億3,697万ドル(約6,439億円)、国際機関に対する出資・拠出などが約36億8,400万ドル(約3,233億円)、ODA全体では対前年伸び率16.4%増の約110億2,098万ドル(約9,672億円)となりました(注1)。なお、政府貸付などの回収額を算定に入れない支出総額でのODA実績は、対前年伸び率14.5%増の約188億2,818万ドル(約1兆6,524億円)です(注2)。
< 実績の分析 >
2010年の日本のODA実績(支出純額)は、前年に比べ約16.4%増で、OECD-DAC(ダック)(注3)加盟国における順位は、米国、英国、ドイツ、フランスに次いで、2009年と変わらず第5位となりました。また、支出総額での順位も前年と同様第2位となりました。
2010年ODA実績(支出純額)の内訳は、二国間ODAが全体の約66.6%、国際機関を通じたODAが約33.4%です。開発途上国との協議の上で実施される二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。一方、国際機関を通じたODAでは国際機関の専門的知識や政治的中立性を活用でき、さらに二国間援助が届きにくい国・地域への支援が可能です。日本は、これら二国間援助および国際機関を通じた支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図り、適切に援助が供与されるよう努力しています。
二国間ODA(支出純額)を援助手法別に見ると、無償資金協力として計上された実績は約34億6,374万ドル(約3,040億円)で、ODA実績全体の約31.4%となっています。うち、国際機関を通じた贈与は、約12億6,902万ドル(約1,114億円)で全体の約11.5%です。さらに技術協力は約34億7,848万ドル(約3,053億円)で、全体の約31.6%を占め、政府貸付などは約3億9,475万ドル(約346億円)となっています(注4)。
地域別の二国間ODAは次のとおりです。
( )内の値は支出総額ベース
◆アジア:約25億2,832万ドル(約81億591万ドル)
◆中東・北アフリカ:約15億9,176万ドル(約23億3,990万ドル)
◆サブサハラ・アフリカ:約17億3,275万ドル(約18億3,529万ドル)
◆中南米:約-3億4,355万ドル(約10億555万ドル)
※マイナスは貸付などの回収額が供与額を上回ったことを示します
◆大洋州:約1億7,629万ドル(約1億9,687万ドル)
◆欧州:約1億8,051万ドル(約2億3,245万ドル)
◆複数地域にまたがる援助:約15億6,195万ドル(約15億6,195万ドル)
注1 : 東欧諸国および卒業国向け実績ならびに欧州復興開発銀行(EBRD)向け拠出金の一部を除く。なお、四捨五入の関係上、図表などの合計が一致しない場合がある
注2 : 支出総額(グロス)と支出純額(ネット)の関係は次のとおり 支出純額=支出総額−回収額(被援助国から援助供与国への貸付の返済額)
注3 : 経済協力開発機構開発援助委員会 OECD-DAC:Organisation for Economic Co-operation and Development-Development Assistance Committee
注4 : 換算率:2010年 1ドル=87.7606円、2009年 1ドル=93.4000円(OECD-DAC指定レート)