(2)人材育成と開発研究
開発問題の多様化・高度化により、高度な知識と豊富な経験、外国語コミュニケーション能力などを備えた有能な人材の育成と確保、そして開発途上国のニーズや国際社会の動向を適切に把握するための研究活動が今まで以上に不可欠になっています。
1990年に国際開発大学構想を推進する機関として設立された(財)国際開発高等教育機構(FASID(注76))は、援助に携わる人材を対象とした研修や教育、調査・研究事業などを行っているほか、各大学の開発協力関連講座や学科に講師を派遣しています。2000年には、政策研究大学院大学(GRIPS(注77))と連携して、修士課程「国際開発(IDS(注78))プログラム」を開始しました。
JICAは、専門性や意欲を持つ人材を確保・活用するため、2003年に「国際協力人材センター」を開設し、JICAやNGO、国際機関といった国際協力関連の求人情報の提供、人材登録、各種研修・セミナー情報の提供およびキャリア相談などを行っています。また、国際協力専門員制度により、高い専門能力と開発途上国での豊富な業務経験を有する人材を確保しているほか、ジュニア専門員制度を設け、ある程度の専門性を持ちつつも経験の浅い若手の育成を目指しています。 2008年10月に創設されたJICA研究所は、開発途上国政府や国際援助コミュニティーへの発信を念頭に入れつつ、国際的に通用する方法論に依拠した実証的、政策的な研究を推進しています。
このほか、日本貿易振興機構のアジア経済研究所(IDE-JETRO(注79))では、研究者を中心に国内外の大学や研究機関などの専門家と共同で開発途上国の政治・経済・社会に関する研究を行っています。さらに、日本人と外国人を対象とした開発スクール (IDEAS(注80))を設置し、開発途上国の経済・社会開発に寄与すべく、高度な能力を持った開発専門家を育成しています。
注76 : FASID:Foundation for Advanced Studies on International Development
注77 : GRIPS:National Graduate Institute for Policy Studies
注78 : IDS:International Development Studies
注79 : IDE-JETRO:Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization
注80 : IDEAS:Institute of Developing Economies Advanced School