第5節 援助政策の立案および実施における取組
政府開発援助(ODA)大綱は、ODAをより効率的・効果的なものとするために進めるべき一連の改革措置を、援助政策の立案および実施体制、国民参加の拡大、効果的実施のために必要な事項の3つに分けて示しています。
1. 援助政策の立案および実施体制
(1)一貫性のある援助政策の立案
日本では1府12省庁(注70)がODAに携わっています。2006年4月に内閣に設置された海外経済協力会議では、議長である内閣総理大臣の下、内閣官房長官、外務大臣、財務大臣および経済産業大臣などが出席し、これまでに海外経済協力の在り方、ODAの質と量を巡る課題、地域別(アジア、アフリカ、アフガニスタン・パキスタン、中央アジア・コーカサス、大洋州など)および分野別(法制度整備支援、食料安全保障など)の海外経済協力の方針などについて審議されました。
外務大臣の下に設立されている国際協力企画立案本部では、外務省の国際協力局と地域担当局などが、国際協力の方針や地域別課題、重点課題の取り組み方などを協議し、外交政策全体の中での役割を常に確認しつつ、効果的なODAの企画・立案に努めています。2010年6月に発表された外務省による「ODAのあり方に関する検討 最終とりまとめ」においても、同本部を積極的に活用することとしています。
2006年8月に設置された外務省国際協力局は、援助に関わる政策を総合的に企画・立案するとともに、政府全体を通じた調整の中核役となっています。2009年7月には、外務省におけるODAの政策・企画立案機能強化のため、国際協力局の機構改革を行いました。ODA政策の企画・立案を担当していた総合計画課と援助手法を担当していた無償資金・技術協力課および有償資金協力課を統廃合し、国別担当課を強化しました。これにより、新設された開発協力総括課の下、3つの国別担当課による3つの援助手法が一体となった支援が可能となりました。また、二国間援助と多国間援助に関しては、これまで以上に連携を図り、国際協力の戦略性を強化し、より効果的な援助の実施に取り組んでいます。
注70 : ここでの1府12省庁とは、内閣府、警察庁、金融庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省を指す。