3. 革新的資金調達

ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた取組など、日本をはじめ、国際社会は積極的な国際協力を行ってきました。しかし、世界の開発需要に対応するためには、より幅広い開発資金の動員が必要です。「革新的資金調達」とはこうした世界の開発需要を踏まえ新たな財源を確保するための取組のことです。

革新的資金調達として提唱されている手法には様々なものがありますが、既に、一部の国では航空券に課税する手法(航空券連帯税)や、援助国の資金コミットメントを担保に債券を発行してワクチン購入のための資金を調達する手法(予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm(注14)))などが導入されています。こうした取組によって調達された資金は、三大感染症(HIV/エイズ、結核、マラリア)対策などに使用され、既に大きな成果を上げています。また、検討中のイニシアティブとして、通貨取引に課税する通貨取引開発税などがあります。

革新的資金調達について議論する主要な国際会議として、2006年に「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ(LG)」が設立されました。LGの参加国は年々増え、現在は60か国に達しています。2010年6月から同年末まで日本はLG議長国を務め、12月に第8回総会を東京で開催しました。日本としては、革新的資金調達に関する内外の関心を一層喚起し、その発展に貢献することにより、議長国としての務めを果たしました。

また、通貨取引開発税を含む国際金融取引に関する革新的資金調達について話し合うため、2009年10月、「開発のための国際金融取引に関するタスクフォース」が立ち上げられました。日本はこのタスクフォースにも参加し、積極的に議論に貢献しています。


注14 : IFFIm : International Finance Facility for Immunization


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